■沼から抜け出しきれず
ともにフィジカルに傾倒した両チームの対戦。似たような毛色のチームとの対戦はよく実力差がくっきり出やすいというのだけども、この試合は上位であるウェストハムペースというわけではなかったように思う。
おそらくだが、体のぶつけ合いに関しては少しバーンリーの方が分があったのだろう。ロングボールとフィフティーのボールの競り合いの連続はバーンリーの得意なだらっとした展開。全体が間伸びしても気にせずに、この沼にハマっていくとバーンリーの思い通りに試合が進んでいるということになる。
そんな中で互いにチャンスがあったのはセットプレー。バーンリーはグズムンドソンが、ウェストハムはアントニオが惜しいシーンを迎えるなど、立ち上がりからセットプレーだけはチャンスがあった試合だった。
ウェストハムはゲームのリズムを掌握しようとライスのサリーからボール保持でテンポを引き戻そうとする。押し込みながら大外をSBに任せエリア内に4枚揃える形でのクロスから打開を狙う。だが、ここは高さのあるバーンリーのバックスの面々。なかなか簡単にはこじ開けさせない。
30分を過ぎると、バーンリーがハイプレスを敢行して再び試合は落ち着かない展開に。落ち着こうとするウェストハムを再び沼に引き摺り込もうとする。
後半になるとようやくウェストハムが試合の展開を握れた感じに。ドリブラーでなくても前を向いて対峙できればバーンリーのバックスを揺さぶれるということに気づいた様子。ここでも効いていたのはライス。ライン間に入り込む動きや後方からのボールの持ち運びでスルスルと前まで上がっていき、バーンリーを押し込んでいく。
逆にバーンリーは正対での対人になると活路を見出せない。おそらく一番戦えるのはマクニールだろうが、それでもサイドでの1on1はほぼ完敗。後半は前半以上にチャンスの匂いがしない展開が続いていく。
ただ、ウェストハムも押し込む形はそもそも得意ではない。彼らの最大の持ち味であるスピードに乗ったロングカウンターはこの試合ではほぼ見られることがなかった。逆に終盤にはオープンになったところをバーンリーに叩かれかけてあわやというシーンも。バーンリーのFWに決め手が欠けたことに救われた形である。
結局は試合はスコアレスドローで決着。バーンリーの沼から脱出しきれなかったウェストハムはまたしても強豪相手の勝利の後の停滞を経験することになった。
試合結果
2021.12.11
プレミアリーグ 第16節
バーンリー 0-0 ウェストハム
ターフ・ムーア
主審:グラハム・スコット