■4位争いに向けて前を向ける成功体験
レビューはこちら。
遡ること4節前。アーセナルはオールド・トラフォードで敗れ、かつての定位置だった4位浮上のチャンスをフイにしてしまった。そこから2週間、各チームの日程消化の影響もあり、アーセナルは再びミッドウィークに直接対決で勝てば4位浮上のチャンスの機会を得ることとなった。
過去の戦績でいえば圧倒的にアーセナルが優位なウェストハムとの一戦はその相性が前面に出るような戦いとなった。アーセナルは早々に攻めのルートを見つけた様子。前節は中央にサイドにあらゆるところのマッチアップでサウサンプトン相手に前進を決めていたが、今節は中央でウーデゴールが降りることで8対6の数的優位を作り出しつつ、右サイドのサカに預けるやり方に偏重した。
偏重というと聞こえは悪いかもしれないが、それだけアーセナルがサカとマスアクのマッチアップに自信をもっていたということだろう。ウェストハムはここに対してライスやランシーニを当てて1対2で対応していた。すると、自身のマークが空いて時間を得ることが出来た冨安がアタッキングサードの仕上げにトライする。
冨安は前節のサウサンプトン戦のように逆サイドに振る大きな展開もありつつ、同サイド奥を使うスルーを見せる。切り返して左足も使えるバリエーションの豊富さはこれまでのアーセナルの右サイドバックにはなかったものである。
サカと冨安で敵陣に押し下げることができた好影響は守備にも波及。全体が押し上げられているため高い位置からプレスに行けるアーセナルはウェストハム得意のロングカウンターをシャットアウト。アントニオや2列目のアタッカーに前を向かせる前に取り切ることで反撃を封じる。
唯一足りなかった先制点もラカゼットとマルティネッリの連携で後半早々にこじ開けたアーセナル。追加点を得るチャンスだったPKを失敗した直後はやや消極的さが見られたため、無駄に勝ち点を落とすパターンを恐れたファンも多かったかもしれない。だが、それを払拭したのがスミス・ロウ。途中出場でワンチャンスを逃さない決定的な働きを見せて、自身のシーズンハイの得点数をまた一つ更新してみせた。
追加点を呼んだのは直前の冨安の前向きな守備だろう。とかく消極的になりやすいリードしたアーセナルの悪癖を拭い去るような前にベクトルを向けた守備はこの試合だけでなく、今後の4位争いを見据えた貴重な成功体験になるはずだ。
試合結果
2021.12.15
プレミアリーグ 第16節
アーセナル 2-0 ウェストハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:48′ マルティネッリ, 87′ スミス・ロウ
主審:アンソニー・テイラー