恩師の顔を歪ませるソロモンの一撃
上位陣にややガス欠感が見られることでCL出場権争いのチャレンジができているブライトン。対戦相手はブライトンの背後から上位を見つめるフラムである。
序盤は明らかにブライトンのゲームだったと言っていいだろう。まずは三笘がご挨拶。大外からテイテイに仕掛ける形を見せる。だが、フラムのSBはそう簡単に破れるものではない。1回目のタイマンでゴールキックに追いやる結果を出し、テイテイもまた三笘に挨拶をする立ち上がりとなった。
サイドは1on1を受け入れてくれそうなフラムだが、それは好調なSBを信頼してゆえのこと。ブライトンはこの形を作るだけでは突破の確証が得られるかは怪しい。だからこそ、次のプレーで三笘があっさりサイドチェンジを見せたのはさすがである。自らに縦以外の突破ルートがあることをテイテイに印象付け、右の大外のマーチにスペースがある状態での1on1を提供する。
ビルドアップにおける動線が豊富だったのもブライトンの特徴である。まず、必ずSH-CHの背後のハーフスペースに人が1人立つ。そして大外にもう1人、さらには裏にもう1人立つのが約束事になっていた。誰がどこにいてもいいのだが、MFラインの背後のスペースを狙うのはトップの2人のどちらかであることが多かったし、DFラインの裏に抜け出す役割はWGであることが多かった。
フラムのミドルブロックは彼らの大きな武器であったが、こうした豊富な前進手段に対して苦戦。背後のWGを使われたり、三笘を囮に抜け出してくるエストゥピニャンに手を焼くなどテイテイには負荷がかかる状況が続く。
フラムは保持に回ってもなかなか呼吸ができなかった。自陣から脱出することすらままならず、20分手前でカウンターからようやくボールを運べるという有様。前線に起点がないことが非保持で押し込まれるフラムをさらに苦しめる形となっていた。ウィリアンにボールが入れば試合は落ち着くがなかなかそうした状態にならなかった。
それでも非保持からペースをつかんだフラム。後方が積極的に縦パスの先に当たる覚悟を決めたことでライン間の起点を徐々に潰すことに成功。試合はフラットなペースに近づいてくる。
後半、中央のスペースを潰されたブライトンはサイドに助けを求める。左の大外で張る三笘にボールが集中。ここからエリア内にクロスを上げていくが、ここで往年の決定力イップスが発動。なかなかシュートが枠を捉えられない。GKがレノというのも厄介な部分。精度の高いシュートストップでブライトンの先制点を阻み続ける。
得点の欲しいブライトンが強引に試行回数を増やしていこうとする中でボールが徐々に行ったり来たりする展開に。こうなるとフラムにもチャンスがやってくる。前線にヴィニシウスという起点を作ったことと、右サイドにランプティを入れるという両サイドの攻撃性を増す采配をしたことでフラムにも保持においてはスペースが与えられるようになる。
結果的に終盤に訪れた機会を仕留めたのはフラムの方だった。ヴィニシウスのキープから抜け出したソロモンが大仕事。かつての恩師のデ・ゼルビの顔を歪ませるソロモンの決勝点でフラムが劣勢の展開での勝ち点3奪取に成功した。
ひとこと
この日のブライトンのように10回やれば7-8回勝てる内容の試合をどう処理するかは難しい。今節で言えばシティもそうなのだが、こうした試合って指揮官はどうしてるのだろうと思う。側から見れば次行ってみよう!でもいい気がするが、内容に引っ張られて成績を落とすチームも存在するので、一概にこの考え方でOK!ともならないなっていう。いや、難しい。
試合結果
2023.2.18
プレミアリーグ 第24節
ブライトン 0-1 フラム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
FUL:88′ ソロモン
主審:ダレン・イングランド