2敗目はシーズンダブル
今季ここまでリーグ戦で敗れたのは1敗のみ。リーグ最少の敗戦数でありながら、直近3試合は全て引き分けと5位以下のチームに迫られる状況になっているニューカッスル。今節の相手はその「1敗」を喫した相手であるリバプールだ。クリスティアン・アツの家族がスタンドで見守っていることもニューカッスルの選手たちに静かな闘志を与えたことだろう。
負けた相手にリベンジを果たしたいニューカッスルは立ち上がりから元気いっぱい。アルミロンを中心に速い展開でゴールに迫るが、ここはアリソン、ファビーニョ、ゴメスなどソリッドな動きを見せる守備陣にあっさりと阻まれる。ファン・ダイクの復帰で周りが自信満々でプレーできているのか、あるいはマージ―サイドダービーの勝利が彼らに自信を与えているのか、その両方という可能性もあるだろう。
リバプールの保持の仕組みはなかなか面白かった。この日はここ数試合アンカーに入っていたバイチェティッチがIHに起用されていたのだが、時折、ファビーニョを押し上げるようにスライドさせるように動きがあった。
左のIHが落ちてくるというのはチアゴもやっている形ではあるが、チアゴに比べるとバイチェティッチの降りる動きはよりアンカー的に中央側に動くことでファビーニョを押し上げるように見えた。バイチェティッチの方がより周りを巻き込んでの移動のように思える。
リバプールの先制点もそんなアンカー付近の移動から。中盤の押し上げというややアシンメトリーな移動にニューカッスルがついていけなくなってのものとなった。面白いのでぜひ映像で見てほしい。決めたのはヌニェス。なかなか仕留められずに苦しんでいたストライカーについに先制ゴールを決めてトンネルからの脱出に成功する。相変わらずゴール前に顏を出すのがやたらとうまい。
勢いに乗るリバプールは前半の内に2点目を決めてみせる。こちらを決めたのはガクポ。ターンから起点になっているバイチェティッチがまたしても重要な役割を果たしているのは見逃せないところ。すっかりリバプールの中盤を牽引する存在になっている。
またしてもリバプール戦で思ってもいない試合運びになってしまうニューカッスル。だが、2失点した後もこの悪い循環の連鎖は続く。連鎖のトリを飾ったのはポープの退場。序盤に一回成功した飛び出しの再現を行ったのだが、ボールに回転がかかっていたのは計算外だったのだろう。急失速するボールを守ろうとした動きは結果的にハンドになる。
このプレーは当然退場。そして出場停止の対象試合はカラバオカップのファイナル。カップ・タイド・ルールで2ndGKのドゥブラーフカもそもそも出場できないようで、ファイナルの舞台はアラン・カリウスが務めることが濃厚となった。
ポープの退場はこの試合以降に与えるインパクトは特大だったが、1人少ない状態でリバプールに立ち向かうことの不都合はそこまで生じていなかったように思う。サン=マクシマンやイサクといったスピードスターを軸とした縦に早い攻撃によって、ニューカッスルは10人でも問題なくチャンスは作れていた。セットプレーでのチャンス構築も十分。数的優位を得たはずのリバプールはポープの退場後にやたらバタバタしてしまったように思う。
後半もこの流れは継続。バタバタするリバプールに対してニューカッスルはイサクとサン=マクシマンを前に置く形でリバプールのゴールに迫っていく。リバプールは前半は比較的うまくいっていた高い位置からの迎撃が不発。無理な追い回しがむしろバックラインに負荷をかけてしまい、不要なピンチを招いてしまう節があった。
ボールを持ちながら落ち着きたいリバプールだが、10人のニューカッスルの勢いに気圧されてしまい、アリソンの助けを借りる場面も少なくなかった。
追いかけるニューカッスルも順調だったわけではない。70分にジョエリントンが負傷したところでついに中盤セントラルができる選手が尽きてしまい、リッチーを無理やり中盤で投入する。それでも最後まで速攻を軸にリバプールのゴールを脅かしたニューカッスルだったが、猛攻は実らず。今季2敗目はまたしてもリバプール戦という不思議な因果で5位後退することになった。
ひとこと
ニューカッスルを叩いたことでリバプールはCL経由だけでなくリーグ経由でのCL出場権獲得の兆しが少しずつ見えてきている。とはいえまずは、レアル・マドリーとのCLに集中。CLの鬼との一戦は第三者としては非常に楽しみである。
試合結果
2023.2.18
プレミアリーグ 第24節
ニューカッスル 0-2 リバプール
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
LIV:10‘ ヌニェス, 17’ ガクポ
主審:アンソニー・テイラー