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「サイドからの押し込み精度で差をつける」~2023.2.15 UEFAチャンピオンズリーグ Round16 1st leg クラブ・ブルッヘ×ベンフィカ マッチレビュー~

目次

局面のデュエルで質の差が出る

 いぶし銀のダークホース対決がベスト16で実現だ。パリとユベントスを従えての首位通過を決めたベンフィカとレバークーゼン、アトレティコ、ポルトと欧州経験値十分のグループで初戦から勝ち点を積み続けたブルッヘの戦いである。

 立ち上がり、ボールをきっちり持つ立ち上がりを示唆したのはアウェイのベンフィカだった。組み立てはCHの1枚であるシキーニョが最終ラインに落ちながら行う。相手の2トップに対しては数的優位を形成する形でビルドアップの安定を試みる。シキーニョが降りる位置はかなり自由度が高め。2トップの間に入ることもあれば、左右に動きながら片側に落ちることもしばしば。このあたりは彼を信頼してきっちり任せているのだろう。

 3枚のビルドアップ隊を最終ラインに配置するベンフィカは両脇から2トップの横を使って侵入。そのまま縦に進み、奥行きを使いながらのビルドアップを行っていく。

 大外からポイントを作って堅実にチャンスを作るベンフィカは序盤からやや優勢に立つ。サイドからの攻撃はクロスというベーシックな形だった。インサイドの高さとしては十分なように見えたのだが、ブルッヘのバックラインがギリギリのところで体を寄せているせいか、ベンフィカのヘディングはなかなか枠内に飛ぶことはなかった。

 ブルッヘも基本のルートはサイドから。CHはオドイが降りる形から縦関係を作ることでチャンスを作っていく。特徴としてはポイントを作りながら相手を引き付けていたベンフィカに比べると、ブルッヘはより直線的なスピード勝負を挑んだところである。特にWGを使ってのスピード勝負への意欲が高かったブルッヘ。最もゴールに近いストライカーは基本的には降りる動きを中心に汚れ仕事をきっちりこなして見せた。

 ブルッヘが前半に見れれた守備での試行錯誤はなかなかに興味深かった。そのままの4-4-2では守り抜くとなればなかなか難しい。ということで前から全捕まえに行くブルッヘ。しかしながら、これが思ったほどの効果を発揮しない。後方のスペースが空いてしまい、守備での脆弱性が徐々に見えてくるのである。結局はSHがSBを守備基準にするという後ろに重たいブロックで手を打つこととなった。

 ベンフィカはこれ見よがしに前からのプレスを上げていく。苦しくなったブルッヘは前線が個人で時間を作るという選択肢しか徐々になくなってくるようになった。それだけにノア・ラングが前半終了間際に得たFKはがっかり感があるものだった。あのFKはこのプランはなら何とかしておきたいところだった。ブルッヘはネットを揺らすところまでは成功したが、オフサイドでこれはノーゴール判定に。千載一遇のチャンスを生かせなかったブルッヘはベンフィカにリードを奪えず、試合はハーフタイムに。

 後半早々にベンフィカにはPKという大チャンスが訪れる。ブルッヘはエリア内の対応がやや後手に回り、甘くなってしまった。軽率に出した足で相手をひっかけてしまい文句なしのPK。これでベンフィカが後半にようやく前に出る。

 ベンフィカがリードしても試合の構図にはあまり変化がなかった。反撃に出たいブルッヘだが、結局バックラインからの繋ぎに対してからは光を見出すことができない。ベンフィカのプレスに対してもイマイチショートパスからは抜けきれなかったので、結局はノア・ラングやブキャナンといった機動力のある前進にすべてをかける格好になってしまう。

 ボール保持でもプレスのきっかけとなる場面を掴むことが出来ず、終盤には逆に交代で入ったネレスが高い位置からのツッツキでボールを奪い逆にベンフィカが2点目をリードする。

 持ち味を出し切れなかったブルッヘに対してベンフィカがリードを保つ形で試合はそのまま終了。実力十分のダークホース対決を制し、ベスト8に王手をかけた。

ひとこと

 最後までテンポを掴めなかったブルッヘ。悪くはないが、局面においてはきっちり質でぶつかった分、逆に力の差を感じる一戦だったといえるかもしれない。

試合結果

2023.2.15
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
クラブ・ブルッへ 0-2 ベンフィカ
ヤン・ブレイデル・スタディオン
【得点者】
BEN:51‘(PK) マリオ, 88’ ネレス
主審: ダビデ・マッサ

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