今年もチェルシーは「買い」なのか?
リーグ戦からの来季のCL出場はかなり絶望的な状況になっているチェルシー。CL制覇が唯一のルートのように思える。トゥヘルやディ・マッテオ、ヒディングなど監督が途中就任した年のチェルシーは買いというのが近年のCLの鉄板ジンクスになっているが、ポッターも彼らに続くことができるだろうか。
試合はドルトムントのビルドアップの局面をメインに進んでいく。バックラインは開きながらショートパスを基軸としたビルドアップを行っていく。彼らが特に大事にしていたのは中央のコンビネーションだ。相手のCH周りにIHのエズジャン、ベリンガムだけでなくアデイェミやブラントも絞りながらパスワークに参加。多くの的を用意することで相手に狙いを絞らせない。
大外はSBが主戦場で特に左サイドはゲレーロのために空けてある感じがあった。内外レーンを軸に攻勢を強める左サイドとは対照的に右サイドはハーフスペース付近に陣を取るブラントを軸としたコンビネーションから得点を狙っていく。裏へのパスやカットインなど様々なプレーを構築しつつ、攻めあがりたいチェルシーの左サイドを牽制する。
供給役となるアンカーのエムレ・ジャンは神出鬼没。どこに降りるかの場所がまちまちであり、チェルシーは高い位置からボールを奪うためのベンチマークにしずらかった。
チェルシーはミドルゾーンでブロックを敷く形でドルトムントに対抗していたが、4-3-3でのブロック崩しに対してやや後手に回っている感があった。人数をかけた崩しをサイドからできればチャンスはありそうだったが、左サイドのチルウェルは押し込まれるシーンが多く、右サイドはそもそもそうした関係性を作るのに苦戦ということでなかなか苦しむ。
結局フェリックスやムドリクといった足の長いパスとドリブルでの陣地回復が期待できる選手や後方からのタッチダウンパスで支援ができるエンソ・フェルナンデスなどから単発でのチャンスを作ることになる。中盤でのボールをひっかければいい形を作れることもあっただけに、このチームの難点は前進のメカニズム構築と能動的なハイプレスの仕組みを作ることといえるだろう。
スコアレスで迎えた後半はドルトムントのプレスが弱まったことでチェルシーは保持の機会を得る。だが、相手のプレスという重石が取れてなお、チェルシーのビルドアップからは後方の重さが抜けない。前からのプレスも不十分で、チルウェル以外のルートでの前進がなかなか機能しないこともあり、スムーズな前進にたどり着くことができない。
均衡を破ったドルトムントのゴールはロングカウンターによる独走からだった。一人で走るアデイェミがエンソを振り切ってGKとの1on1を制して先制点をゲット。ついにホームチームがリードを奪う。
終盤は畳みかける機会も得たチェルシーだが、サイドからの手数をかけた攻め込みはことごとくブロックに遭って不発。ライン間での加速からスムーズにたたみかけられるかの勝負になっていた。
最後の最後はエンソのミドルがネットを揺らしたかに思えたが、これも実らず。何とか逃げ切ったドルトムントがアドバンテージを得て、ロンドンでのリターンレグに臨むこととなった。
ひとこと
国内での戦いの課題がきっちりとCLでも出ているのは生真面目なポッターらしいチームだなと思わされる。途中解任時のチェルシーは買いというジンクスを紹介したが、今のチェルシーは監督に欧州経験があるわけでもなく、チームも若い。そういったこれまでのチェルシーと異なるチームにおいてもこのジンクスがあてはまるのかはとても注目している。
試合結果
2023.2.15
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
ドルトムント 1-0 チェルシー
シュタディオン・ドルトムント
【得点者】
BVB:63‘ アデイェミ
主審: ヘスス・ヒル・マンサーノ