1st leg
ゴールはプレスの燃料になる
立ち上がりは早いテンポでスタート。両チームとも積極的に最終ラインにプレスをかけながらの序盤戦となった。特に目立ったのはシティが保持でライプツィヒのプレスをかわす局面である。ヴェルナーとフォルスベリの2人を起点とするプレスを、シティがいなしながらスタートする。
プレス回避の部分では明らかにノーミスなシティ。3-2型のお馴染みのバックラインの形から早いボールタッチでライプツィヒのプレスを1つずつ外していく。ライプツィヒのプレスが襲いかかっているというよりも、むしろシティがハイプレスを引き寄せてライプツィヒの陣形が間延びするのを待っていたかのような振る舞いだった。
プレスを外しながら相手の陣形を十分に広げることができたと感じたら、シティはミドルゾーンで一気に加速。両WGは単騎で突撃できるグリーリッシュと、ハーフスペースの裏抜け待ちするデ・ブライネとデュオを組むベルナルド。デ・ブライネとベルナルドのコンビからの折り返しをギュンドアンが合わせる形はいかにも往年のシティといった感じである。
今までに比べればふわりとした弾道のクロスが上がってくるのはいかにもハーランド加入後のシティという感じである。ハイクロスでも十分にチャンスを作れるシティに対して、ライプツィヒはなかなか一発でボールをクリアできずに苦しむことになった。
ハーランドは崩しでも存在感。降りてきてワンタッチで味方に落とし、素早く裏に抜けるというコンボでチャンスメイクを行う。グバルディオルすら引きちぎるハーランドはやはり別格と言えるだろう。
自陣から脱出がままならないライプツィヒを押し込み続けたシティは、セットプレーからヘンリヒスのハンドを誘いPKを獲得。これをハーランドが決めて先制する。
直後にシティは追加点。ライプツィヒにプレスからロングボールを蹴らせると、これを跳ね返したところからハーランドとデ・ブライネの2人で追加点。落としを拾ったデ・ブライネのミドルがバーを叩いたところにハーランドが詰めて2点目を決める。
この2点目で前半の残り時間はややマイルドに。シティのプレスが弱まったことでライプツィヒの保持に少し余裕が出てくる。それでも隙あらば右サイドからベルナルド主体のハイプレスのスイッチが入るので、ライプツィヒとしては油断が禁物の状況が続くことになる。
ライプツィヒもヴェルナー起点のハイプレスがハマることもあったが、わずかな決定機をゴールに結びつけることはできず。逆に前半終了間際のセットプレーからハーランドに3点目を許すなど、前半だけで突破が絶望的な状況になってしまう。
後半、巻き返したいライプツィヒは縦に速いプレーを選択。あっさりと跳ね返される様子を見ると、ボールを持ちたそうにもしていたが、ゆっくりプレーをしようとするとシティがハイプレスを起動して邪魔をしてくるように。
だんだんとボールを持つ機会を増やしていたシティは後半早々に追加点。ハーランドのポストからサイドに開いたグリーリッシュで押し下げて、空いたスペースをギュンドアンで攻略して4点目をゲット。ハーフタイムに立て直したライプツィヒの気持ちはわずか数分で揺らぐことになる。
この日のハーランドは得点もそうだが、それ以外の部分での貢献も際立った。ポストプレー&裏抜けという崩しの局面での働きもそうだが、ゴールのたびに貧欲になるプレスへの姿勢もなかなか。ゴールを決めるたびにプレスを強めるという輪廻はライプツィヒにとってはおそらく悪夢のようなものだったはずだ。
さらにハーランドが2点を追加したところでシティはようやく試合のテンションを下げた感じ。64分には交代枠を使い切る形でインテンシティを減らし、ライプツィヒも主力を続々と下げる形で試合が終わったことを実質的に認めるような振る舞いだった。
ウイニングランと化していた残り時間に華を添えたのはデ・ブライネ。後半追加タイムに旗印と言えるミドルを叩き込み、ゴールショーのトリを飾った。
圧巻の7得点でシティはライプツィヒに完勝。悲願の大目標に向けてまずはラウンド16を突破した。
ひとこと
カラーの違う両WGを活用した崩しとハーランドを軸とした2人組での破壊、そしてハイプレス。これだけ武器が揃えば相手からしたらたまったものではない。これまでのシーズンのようなグアルティオラらしい発明はないが、それぞれの武器がきっちりと機能するだけでこれだけの試合ができるというインパクトはなかなかのものである。
試合結果
2023.3.14
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
マンチェスター・シティ7-0 ライプツィヒ
シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム
【得点者】
Man City:22′(PK) 24′ 45+2′ 53′ 57′ ハーランド, 49′ ギュンドアン, 90+2′ デ・ブライネ
主審:スラヴコ・ビンチッチ