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「3本目のパスが分かれ目」~2023.3.15 UEFAチャンピオンズリーグ Round16 2nd leg ナポリ×フランクフルト マッチレビュー~

目次

ロボツカの管理方法に悩まされる

 ホームで2点差の敗戦。加えて、コロ・ムアニが出場停止で不在。フランクフルトが置かれている状況は限りなく厳しいものである。

 ナポリからすればかなり勝ち上がりに楽観的な見方ができる状況。しかしながら彼らはいつも通り。人数をかけたキックオフ、素早く裏を狙い、ロストしたらGKからプレッシャーをかけていく。リードをしていてもフランクフルトに十分なプレッシャーをかけていくスタンスだった。

 それでも、立ち上がりからのスタンスにこの日のフランクフルトがその厳しさを跳ね返そうとしていたのは伝わった。前線の枚数を増やす4バックを採用し、ナポリのバックラインに積極的にプレスをかけて速いテンポで相手のゴールに迫ることを狙う。

 フランクフルトはMFのラインまではタイトな前線からのプレスについていけていたように見えたが、MF-DFのラインはやや間延びしやすい状況だった。よって、ナポリはこのゾーンまでボールを運ぶことができれば、スムーズにゴールに迫ることができる。

 バックラインからの縦パスを降りてくるIHが受けて、アンカーのロボツカに落とすというのがナポリの主なボールの動かしかた。縦パス→レイオフからの3本目となるロボツカから縦にパスが入るかどうかがボールを縦に進めるかどうかの大きな分かれ目となる。

 フランクフルトの前2枚のプレス隊はナポリのバックラインにプレスをかけていたため、ロボツカの管理まで手が回らず。中盤もロボツカを逃がしがちだったので、ナポリはここから縦にボールを進めることが出来た。ロボツカを捕まえないといけない!ということに徐々に気付いたフランクフルトは、ゲッツェとボレがロボツカを監視する形を採用するようになる。

 となると副次的に前線のプレスへの勢いは削がれることになる。そうなれば、ナポリは保持で急ぐ動機が無くなる。試合のテンポを上げて攻撃機会を増やしたいフランクフルトにとってはあまり好ましくない状況。しかも、ナポリがプレスを弱める義理は特にないので、攻撃に回った状況ではフランクフルトは特にゆっくりできない。

 フランクフルトにとってはナポリの土俵で戦い続ける試合だった。不慣れな中盤の構成からかパスミスは多く、危険な形でのカウンターを受けることもしばしば。オシムヘンとサシで対峙することが多かったヌディカは25分で警告を受けてしまうなど、苦しい状況になっていく。前半の終盤にハイプレスを強めたフランクフルトに対して、ナポリがオシムヘンへのロングボールを多用することになったのは当然の帰結だろう。

 30分の鎌田のワンタッチパスなど惜しいシーンは作ることが出来たフランクフルト。だが、点で合わせなければいけないシーンが多いせいで、なかなかピタッと合う場面を作れない。

 そして、前半終了間際にナポリがついに先制点。トランジッションからロボツカがワンタッチパスで右サイドに展開。ポリターノから上がったフリーのクロスをオシムヘンが決めて先制する。この場面でオシムヘンは完全にフリー。トゥータは完全にマークを外してしまった。

 フランクフルトは後半もショートパスから前進を模索していく。少しユルっと入った感のあったナポリだったが、キム・ミンジェのボール奪取から一気に攻め上がるカウンターで目を覚ました格好となった。

 そして、続く得点もナポリに。クワラツヘリアの逆サイドへの展開から右サイドのハーフスペースの裏抜けを行う形でゴールに迫っていく。5バックであれば抑えられたところを使われたナポリは再びオシムヘンにゴールを許すことに。

 2失点後の鎌田には直後に千載一遇のチャンスがあったが、またしても決めることが出来ず。一矢報いたいフランクフルトだが、最後までその機会は訪れることはなかった。

 極めつけとなるPKを決めたナポリが大量5得点での勝利。堂々とベスト8に駒を進めた。

ひとこと

 率直に素晴らしい180分をナポリが過ごしたといえるだろう。フランクフルトも検討したがセリエA首位の底力は伊達ではなかった。

試合結果

2023.3.15
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
ナポリ 3-0 フランクフルト
スタディオ・サン・パオロ
【得点者】
NAP:45+2′ 53′ オシムヘン, 64′(PK) ジエリンスキ
主審:アンソニー・テイラー

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