特徴的な右偏重
戦前の予想では三つ巴と目されるグループC。3強のうち、初戦でぶつかるのがインテルとバイエルン。ミラノを舞台にイタリアとドイツの雄が正面からぶつかり合う一戦である。
ボール保持の多くはアウェイのバイエルンのものだった。バイエルンの攻撃は非常に片側サイドに偏っていた。ボールを集めていたのは右サイド。同サイドのCHが右に流れながら2トップの脇に立ち、ビルドアップの入り口になる。
攻撃のイメージとしては右の4レーンに人を集約している形。サネやキミッヒのようにベースのポジションが右サイドも中央を主戦場とする選手が非常に多かった。左の大外のレーンはデイビスの独壇場。彼が1人で上下動することでほぼ独力で大外のレーンをカバーして見せた。
このバイエルンのスライドに対して、インテルがガッツリとスライドをして対抗。同サイドのチャルハノールが3枚目のプレス隊として前に出ていく。インテルの中盤はチャルハノールだけでなくブロゾビッチやムヒタリアンなどの他の選手も同サイドに流れる形をきっちり作っていた。あまり回数は多くなかったが、仮にバイエルンが逆サイドから攻められる機会が多かった場合はWBのダンフリースがストッパー役として高い位置まで出て行っていた。
インテルがボールを持っている時はバイエルンのプレスはかなり強気。前の4枚に加えて、サイドにボールがあるときはSBが素早く縦にスライドしながらWBを封鎖する。ボール回しにはなかなか時間がもらえなかったインテルだが、FWのところで勝負ができていたのは大きい。
特にジェコはバイエルンのDFに体を当てながらキープすることが出来ており、長いボールでバイエルンが対抗するための貴重な手段に。ラウタロとの2トップの連携も十分で、同サイドで縦関係に並ぶ形からチャンスを作ることが出来ていた。
しかし、バイエルンはカウンターにおいても反撃。ライン間にサネ、コマンなどの2列目が入り込み縦パスを引き出すことで一気に加速をして見せる。
そうしたライン間のシャドーの動きを何回か見せた後、裏に抜け出す形でボールを引き出したサネがGKとの1対1を制して先制。スコアで優位に立つ。先制点以降もバイエルンは堅調。右、中央でタメを作りつつ、逆サイドのデイビスを織り交ぜながら広く攻めてインテルに反撃の隙を与えない。
後半、インテルも中央に積極的にボールを入れながら左右に展開しつつWBを固めた攻撃を志向する。2トップを絡めることでより深い位置への侵入が可能になる。
バイエルンはボール保持の時間を増やしながらインテルの守備陣を自陣側に引き寄せながら戦う。リードをしているという状況を生かしながら、2列目を生かしやすいライン間のスペースを作りだしていこうというプランに見えた。
互いに攻撃の形を作りあう中で得点まで持っていくことが出来たのはバイエルン。コマンとサネのパス交換から抜け出したサネがこの日2点目のゴール関与。ダンブロージオのオウンゴールを誘発して見せた
この2点目以降は試合は非常にオープンに。インテルにも反撃の機会はある展開にはなったが、互いにこれ以上得点を重ねることが出来なかった。ビッグクラブ同士の一戦はバイエルンに軍配。敵地で先勝し、グループステージ突破に一歩前進した。
ひとこと
狭いスペースを打開するスキルの面でバイエルンに軍配が上がった感。狭いところを狭いままこじ開けられるバイエルンの攻撃陣がインテルの守備に見事に風穴を空けた試合だった。
試合結果
2022.9.7
UEFAチャンピオンズリーグ
Group C 第1節
インテル 0-2 バイエルン
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
【得点者】
BAY:25‘ サネ, 66’ ダンブロージオ(OG)
主審:クレマン・トゥルパン