保持の手ごたえと幸運に恵まれた先勝
共にバイエルンに敗れ、プルゼニに勝利を挙げた両チーム。つまり、GS突破にはこの直接対決の180分が大きく作用をすることは明らか。グループCの最重要な試合の第一ラウンドはミラノで幕を開けることとなった。
試合はバルセロナがボールを持つ形がメイン。彼らは右の大外をデンベレ、左の大外をアロンソが担当する左右非対称な大外レーンの占有で3-2-5を組んだ。今時のポジション移動が多い3-2-5と比べれば、この日のバルセロナはそれぞれが持ち場をきっちりと守る動きが多かった。いわゆる静的な3-2-5とでもいえばいいだろうか。
バルセロナの保持はやや右に偏っていた。バイエルンほど極端なものではなかったが、この試合に置いてもインテルは相手の右サイドに集中して人を置くことが多かった。バイエルン、バルセロナという両チームがたまたま右サイドに火力を有していたからなのか、そもそもインテルが片側サイドに寄せた守り方をするチームなのかは不明である。
右サイドでは囲まれてしまうバルセロナは逆サイドを出口として狙うことが多かった。パレッラの付近で上下動をする形でズレを作ったラフィーニャを起点にズレを狙う。バルセロナの選手たちはポジションを離れることもなくはなかったが、瞬間的にズレを作るという意味合い以外では効果は薄く、移動がそこまで大きな意味を持たないように見えた。むしろ、押し込んで均衡を動かすよりもカウンターからデンベレの方がバルセロナにとっては有望といってもいいくらいだった。
インテルのボール保持はゆったりとショートパスを活用したもの。広がりながらバルセロナのプレスをおびき寄せる。WGをCBが引き付けることができれば、大外レーンは空くのでそこからボールをつないでいくインテル。中央でスペースでボールを受けたIHが前を向くことができれば十分に加速ができる。
ボールを持った時のプレス回避の成功率とそこからPAまでのキャリーはインテルはかなり精度が高かった。よって、ボールを持つ機会さえ与えられれば、敵陣に攻めこむ状況は十分に作ることが出来た。
それぞれの方法でチャンスを作っていた両チームだったが、結果を出したのはホームのインテル。動きながら中盤に穴を空けたところでバイタルに侵入したチャルハノールが仕留めて先制点を奪って見せた。
後半は再びボール保持の局面でどちらが優位に立てるか?のところから試合がスタートした感があった。ライン間にガビが顔を出すなど、前半に比べて保持で上積みがあったのはどちらかといえばバルセロナの方だろう。
そして、バルサは大外のデンベレの抜ききらないクロスから処理したオナナのパンチングが距離を出すことができず、ペドリに押し込まれてしまう。しかし、これは直前のプレーでファティがハンドを犯しており、ゴールは無効に。バルサとしては痛恨の判定となってしまった。
追いつけはしなかったが、ほぼほぼ後半はバルセロナの攻めの独壇場。インテルは後半途中から保持を諦め、ロングボールからの前進を視野にいれることができるジェコを投入し、カウンター寄りの攻撃を当てる形に専念する。
しかし、押し込むバルセロナは肝心のゴールを奪うことができない。それでもおしこめば好機ができる可能性は十分にある。ダンフリースのハンドはその一環。これで同点ゴールとなるPKが与えられるかと思いきや、まさかのOFRなしという判定。インテルは命拾いをしたといっていいだろう。
終盤、インテルはジェコをSHに置く5-4-1にシフトし、逃げ切り体勢に移行しゴールに鍵をかけるインテル。幸運にも恵まれたインテルが重要な180分で先勝を挙げた。
ひとこと
ダンフリースのアレはハンドでしょうとバルサファンが怒るのは納得であった。みんなめっちゃ怒ってたもんなぁ。ただ、保持型の割にはバグの変容が少ないのはちょっとバルセロナの気になるポイントのように思う。
試合結果
2022.10.4
UEFAチャンピオンズリーグ
Group C 第3節
インテル 1-0 バルセロナ
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
【得点者】
INT:45+2‘ チャルハノール
主審:スラヴコ・ヴィンチッチ