後半の仕組み変更が自らの首を絞める
グループステージ突破に向けて優位な状況に立っているのはライプツィヒ。レアル・マドリーへの勝利とセルティックをきっちり叩けたことで2位を確保している。しかしながら、勝てば直接対決で上回れるシャフタールにも突破のチャンスは十分にある。
試合は第1節にドイツで戦った際と似たような構図になった。ボールを持つのがライプツィヒ、受け止めるのがシャフタールである。シャフタールの2列目は無理にプレスをかけることはせず、低いラインに下がりながら4-1-4-1ブロックを維持。特にラウムについていく意識が強かったペトリアクは時にWBのように最終ラインに組み込まれることすらあった。
第1節と違った部分があるとすれば、ライプツィヒに保持で効く選手がいたことだろう。CB2枚とCH2枚のボックスビルドに貢献しつつ、サイドでの崩しに顏が出せるカンプルのおかげでライプツィヒの保持はだいぶ安定したように見えた。前回対戦時はSHとSBの縦への奥行きだけで勝負していた感があったが、テイストがやや変わったのはカンプルがアクセントになっていたからだろう。
後方ではグバルディオルがボールを持ちあがりながら組み立てに貢献。シャフタールのプレッシャーがきつくないことを利用し、左サイドを起点にかなり自由に動き回っていた。彼らの存在によってライプツィヒは前回対戦時以降に左サイドを軸としてポゼッション型のチームに舵を切ったように見えた。
シャフタールの保持もバックラインにはプレッシャーがかかっていなかった分、自由にボールを動かすことが出来た。マトヴィエンコからマイカリチェンコにラインを越えるパスを出すことができれば、前進としてはスマートといえるだろう。
前回対戦ではショートパスによる前進が目立ったシャフタールだが、今回は大きな展開が多かったように思える。中盤からの大きな展開で左右にボールを振ったり、トップにボールを早い段階で当てたりなど。後者はおそらくCFがフィジカル志向が強いラシーナ・トラオレであることも関係しているだろう。こちらはライプツィヒとは逆で保持色はやや弱めたスタートとなった。
そうした中で試合を動かしたのはミスから。スダコフのミスをかっさらったヌクンクがパス交換から自らがボールを受けて先制点をゲット。突破に向けて大きく前に出ることに成功する。
先制点を奪われてもシャフタールは動かずマイペースを維持。ローラインをキープしながら虎視眈々と逆転のチャンスを狙うスタンスだ。ライプツィヒは負傷交代でヴェルナーが退いたところにフォルナルスが入ったことでさらにポゼッション色が強い陣容となる。
後半の頭、シャフタールは4-4-1-1にスタイルを変更。サイドの守備もこれまでよりは下がることはなく、陣形を維持しながら守ることを念頭に置かれているように見えた。
しかし、この仕組みの変更がシャフタールにとっては仇となる。この決まりごとの変化で真っ先に解き放たれるのはオーバーラップするラウムである。彼への対応が遅れたことからシャフタールは失点。後半早々に逆転が遠のく追加点を許すことになる。
攻撃に出ようにもシャフタールはトラオレのポジションがぐちゃぐちゃ。オフサイドでせっかくの好機を無駄にしてしまう場面が目につく。バタバタのシャフタールに対して、ライプツィヒが3点目を奪うのも時間の問題のように思えた。
その3点目が入ったのはカンプルのボール奪取からヌクンク、ショボスライと縦に進んでいってカウンターからゴールをゲット。極めつけはダニ・オルモ。交代直後に左サイドからFKのリスタートを受けると、そのまま同サイドを切り裂きファーに沈める4点目のオウンゴールを誘発して見せた。
大量リードをしてなおハイプレスの手を緩めないライプツィヒ。前回同様虎視眈々と得点を奪うチャンスをうかがっていたシャフタールだったが、今回はライプツィヒが隙を見せる瞬間が訪れることはなかった。
ひとこと
前回と似た展開でもこれだけ異なるのだからサッカーは面白い。カンプル、グバルディオルあたりの前回対戦で不在だったメンツ勝利を手繰り寄せたことには納得感がある。
試合結果
2022.11.2
UEFAチャンピオンズリーグ
Group F 第6節
シャフタール 0-4 ライプツィヒ
スタディオン・ヴォイスカ・ポルスキエゴ
【得点者】
RBL:10‘ ヌクンク, 50’ シルバ, 62‘ ショボスライ, 68’ ボンダル(OG)
主審:マイケル・オリバー