■許してしまったことが致命傷
やらかしてしまったスウェーデンのおかげで首位に立つチャンスを得たスペイン。ギリシャとの一戦で結果を出せば、最終節をかなり優位な条件で迎えることができる。
展開としては非常に静的な流れになったこの試合。トランジッションが非常に少なく、保持しているチームが長い時間ボールを回すシーンが目立った。スペインは端的に言えばそういう展開に慣れているし、得意なチームである。保持でやり直しは効くし、中盤の選手たちが相手に対しての枚数調整にも当然できる。
ギリシャがシャドーが絞る形で中央を固めながら網を張るような守備をしたことも相まって、スペインは外を回しながらやり直しを繰り返しながら、どの部分が破れそうかを検討する流れになっていた。
強力なWGがいない分、こういう流れで強引にこじ開けることが難しいのがスペインの悩みである。中を固める相手ならば、外を壊せる選手は本来ならば欲しいところである。それゆえ、セットプレーの流れからPKを獲得できたことはスペインにとって大きかった。
1点をとってしまえば、スペインの保持はゴールに向かわなくても許される部分が大きい。ギリシャは低い位置まで押し下げられてしまうと、カウンターで縦に進むことができなかった。この日は中盤から前に出ていく推進力をもたらすことができるバカセタスがいなかったのが大きかった。それを差し引いてもスペインの両CBの仕事は見事。ラポルトとマルティネスのコンビはギリシャの前線に前を向かせることなく完封して見せた。
保持で許されたスペインはボールを回しつつ、ネガトラでボールを取り返し、再び保持の循環に突っ込むことができる。新参者のデ・トーマスが当然のようにこの流れに入り込めるのはさすがだし、後半にブスケッツが登場すると、その落ち着いた流れに拍車がかかるのが匠である。
ギリシャは後半に左のWBに入ったリムニオスが終盤強引に打開を試みたものの、スペインのバックス相手には歯が立たないまま時計の針は進んでいく。1-0という最小得点差ながら、保持でも非保持でもギリシャに糸口を掴ませなかったスペイン。ゴールに向かわないことを許してしまったことでギリシャは勝ち筋を見失ってしまった印象だ。
Pick up player:エメリク・ラポルト(ESP)
こういう試合はCB。不慣れな右側でチャンスを潰し続けたラポルトをチョイス。フルタイム出ていればブスケッツだったかもしれない。
試合結果
2021.11.11
カタールW杯欧州予選 第9節
ギリシャ 0-1 スペイン
アテネ・オリンピックスタジアム
【得点者】
ESP:26’(PK) サラビア
主審:シモン・マルチニャク