三たびの同点劇
バイエルンに先を走られてしまった両チームにとって、この一戦は絶対に落とすことのできない試合。優位に立った方がグループステージの突破に大きく近づく一戦である。特に1回目の対戦で敗れてしまったバルセロナにとっては正念場となる試合である。
試合の様相は非常にくっきりしていた。バルセロナがボール保持、インテルが5-3-2のブロックで迎え撃つという格好である。バルセロナは右のSBのセルジ・ロベルトが中盤に入り込み3-1-6のような形で攻め込んでいく。5レーンというやや膠着しがちな形に1つ乱数が入る形になる前線でバルセロナは保持を行っていた。
ただ同じレーンに2人が立つような動きがどこまで効いていたかといわれると微妙なところである。インテルのバックラインは出て行く場所の優先度を定めて共有することがうまく、バルセロナの前線における数的優位を表出させないまま封じることに長けていた。デ・フライだけはその中でも少し毛色の違う仕事を任されており、レバンドフスキをきっちりつぶすことで存在感を発揮していた。逆にレバンドフスキは自身についてくることを利用してサイドにわざと流れるなど、バルセロナ目線でもここの駆け引きは面白かった。
インテルはハーフウェイラインから自陣側にブロックを構えて守る形であり、ボールを奪っても敵陣まではだいぶ距離がある状況。しかしながら同サイドに押し込むようにプレスをかけてくるバルセロナに対して、2トップを軸にプレス回避からチャンスを迎えることも。2トップとダンフリースの3枚はカウンターにおける急先鋒としてバルセロナの守備陣を脅かす。
ポゼッションのバルサとカウンターのインテルという構図が非常にはっきりしていたこの試合。先制したのはバルセロナ。右サイドをラフィーニャとセルジ・ロベルトで同サイドを攻略すると、逆サイドからエリア内に絞っていたデンベレがゲット。前半の内にリードを奪うことに成功する。3-1-6でも結局大外やん!という感じもするが、やはり大外アタッカーは正義である。
インテルもチャルハノールのキックからのセットプレーとオープンプレーの両面でチャンスを作るが、30分以降は前進の機会を得られずに苦戦。前半はスコアを動かせずにハーフタイムを迎える。
バルセロナリードで迎えた後半、早々に得点を決めたのはインテル。ブロック外からのロングボールが2トップに向けてやってこない!と判断したバルセロナのDF陣の裏をかき、背後を取ったバレッラが同点ゴールをゲット。完全にバルセロナを出し抜く形で追いついて見せる。
以降は試合がテンポアップ。バルセロナもカウンターを打つことが徐々に増えていき、前半よりもボールが行き来する展開になっていく。そうした中で結果を出したのはインテル。ブスケッツのパスミスをカットしたチャルハノールがラウタロに長いボールを送ると、左サイドからの見事なコントロールでフィニッシュまで持って行く。スーパーゴールでこの試合初めてインテルが前に出る。
この失点をきっかけにバルセロナはハーフコートゲームを展開。撤退して5バックを組むインテルを大外から攻め立てる。ハイプレス+クロスのラッシュから同点ゴールを決めたのはレバンドフスキ。エースの意地の一撃で再び試合を振り出しに戻る。
しかし、ラッシュに対してインテルも反撃。オナナがキャッチしてバルセロナの攻撃を寸断すると大きな展開からラウタロ→ゴセンスとつないで3点目をゲット。試合の終盤に勝ち越し点を奪う。
どうしても勝ちが必要ながら再びリードを奪われたバルセロナ。再びレバンドフスキがクロス攻勢からおいつくが、これが彼らの精いっぱいだった。インテルは終盤にアスラニが決定機を逃したのが痛恨。この試合で突破を決めるチャンスを逃してしまった。ムヒタリアンにパスを出せれば、無人のゴールに押し込むだけだったのだが。
それでも引き分けで直接対決の優位を確保したインテルが優位に立ったグループC。バルセロナはインテルが躓くことを祈る必要が出てくるという厳しい結果になってしまった。
ひとこと
はじめのクローズドさからは3-3で終わるというのは想像ができない。両チームのファンは心臓に悪かっただろうが、第三者的には楽しめた試合だった。
試合結果
2022.10.12
UEFAチャンピオンズリーグ
Group C 第4節
バルセロナ 3-3 インテル
カンプ・ノウ
【得点者】
BAR:40‘ デンベレ, 82’ 90+2’ レバンドフスキ
INT:50‘ バレッラ, 63’ マルティネス, 89‘ ゴセンス
主審:シモン・マルチニャク