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「メリハリはこっちも大事」~2023.3.4 J1 第3節 川崎フロンターレ×湘南ベルマーレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第3節
2023.3.4
川崎フロンターレ(8位/1勝0分1敗/勝ち点3/得点3/失点3)
×
湘南ベルマーレ(4位/1勝1分0敗/勝ち点4/得点7/失点3)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近10試合で川崎の6勝、湘南の2勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の5勝、湘南が3勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 湘南は昨シーズン川崎にシーズンダブルを達成。
    • 過去にJリーグでの対戦で湘南が川崎に3連勝したことはない。
  • 等々力における13時KOの試合は2021年11月の浦和戦以来。
    • 川崎がリーグ優勝を決めた試合。
  • 湘南は等々力におけるリーグ戦の連勝を達成すればクラブ史上初。
  • カップ戦での対戦があった2013年(Jリーグカップ)と2018年(天皇杯)において、川崎はリーグ戦で湘南に勝てていない(D1,L3)。
    • 2023年はルヴァンカップのグループステージで対戦が決定している。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • レアンドロ・ダミアンは右足関節の手術の影響で離脱中。
  • 小林悠は左足の負傷で離脱。
  • ジェジエウは出場停止から復帰。
  • 山村和也は鹿島戦での退場の影響で1試合の出場停止。
  • 永長鷹虎、高井幸大はU-20日本代表選出により離脱中。
  • 車屋紳太郎は右ハムストリングの肉離れで6週間の離脱。
  • 登里享平は左ヒラメ筋肉離れにより5週間の離脱。
湘南ベルマーレ
  • 石原広教は前節の横浜FC戦で負傷交代。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • ホームでの開幕2連敗になれば23年ぶりのこと。
  • 2023年の試合は2試合ともここまで5分以内に先制を許している。
  • リーグ戦は3試合連続で退場者を出している
    • 今季は2試合で2人退場。2019-2021年の3年間のリーグ戦と同じ退場者数。
  • リーグ戦では9試合連続でクリーンシートがない。
  • 今季の得点は全て10人の時間帯に挙げたもの。
  • 瀬川祐輔は湘南戦7戦で4勝を挙げており、5試合以上対戦しているJ1クラブの中ではG大阪に次いで勝率が高い。
  • 家長昭博は直近4試合のリーグ戦で4得点に関与している(2G,2A)。
湘南ベルマーレ
  • リーグ戦は4試合無敗。
  • 7得点は2位以下に3得点以上をつけるJ1最多得点。
  • リーグ戦開幕2試合を無敗に終わったのは2018年(13位フィニッシュ)以来。
    • この年の3戦目は名古屋戦で引き分けに終わっている。
  • 3月のリーグ戦は直近5試合で未勝利(D2,L3)
  • 町野修斗はここまで枠内シュート6本でリーグ最多。
  • 大橋祐紀が放った今季の枠内シュート3本はいずれも得点となっている。

予習

第1節 鳥栖戦

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第2節 横浜FC戦

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展望

ブラッシュアップが好調の理由

 J1はまだたった2節しか消化していないので、この段階でチームの好不調を語るのはいささか早計な感じがある。だが、それでも開幕2節でインパクトを残したチームの話をするならば、湘南は相当早い段階で名前が挙がるチームといえるだろう。リーグ最多得点を記録し、開幕2戦で1勝1分と無敗。ちなみに川崎目線でいえば、前節の相手の鹿島も開幕戦勝利、そして次節対戦予定の新潟も2節まで無敗とここまで負けていないチームとばかりの対戦になっている。

 湘南が好調な理由は端的に言えば昨シーズンのプランのブラッシュアップ(ブラッシュアップライフおもしろいですよね)を図っているからだろう。湘南というと足を止めない持続的なプレッシングのスタイルがパブリックイメージとして定着している。だが、昨シーズンの湘南はこのプレッシング周辺の事象を制御することにより、引き締まったチームを作り上げたといえるだろう。

 守備ブロックはミドルゾーンよりも高めに設定されるのはこれまでとは同じ。だが、3-5-2の2トップはむやみやたらに前からプレスに行かず、パスコースを切る形で徐々に外に追いやっていく。ある程度、コースが制限されたタイミングでスイッチを入れて一気に刈り取る。

 以前のスタイルは縦横無尽な運動量で押し切る側面が強かったが、スイッチ的な話でいえば、常に入れっぱなしのイメージになるのでメリハリが出てこない。そうなってしまうと、どこに追い込むかの共有がなされず、ダラダラと追い回してしまうケースが出てくる。その結果、2人目や3人目の連動が甘くなり、ボールホルダーのチェックに遅れて出て行くことで後方が管理するスペースをいたずらに増やすことになる。足が止まっていないのに悪循環を迎えるケースがあったのは、遅れているけどとりあえず出て行くという原則を下手に守り続けていたからである。

 そうしたデメリットを減らすために、昨シーズンは我慢を覚えた1年だった。メリハリを取得したのが去年だとしたら、今年はさらにそのメリハリをつけるタイミングの頻度を上げること、またスイッチを入れたタイミングできっちりボールを奪うことを掲げているように見える。頻度のアップと精度の向上が彼らのプレスの目的だ。

 もう一度、フォーメーションをベースに彼らの守備の狙いを振り返る。ベースは3-5-2の形。2トップはCBを監視しながらスイッチを入れるタイミングをうかがう。スイッチになるのはIHの平岡と小野瀬。彼らが高い位置に出て行くことで後方の選手に連動を促していく。

 もちろん、スイッチ役のプレスも重要なのだが、今季の湘南が見事なのは後方の連動だ。湘南の得点を見ると、バックラインが押し上げた守備を起点とした得点が多い。鳥栖戦でいえば、石原や杉岡といった選手が得点につながる前向きなボール奪取から得点。鳥栖がめった打ちにされた理由の1つはこれだろう。

 迎え撃ってのカウンター一辺倒であれば、試合はコントロールしにくい。だが、保持からのコントロールも湘南はチームとして取り組んでいる。バックラインはボールを持つことを恐れず、対面の選手を引き付けることができる。相手が出て来たところをミドルゾーンに刺しこんで一気に加速。これが湘南側が描く青写真だろう。

 ミドルゾーンまでたどり着くと主役になるのは小野瀬。右のハーフレーン付近でボールを持ち、キープしながら次の一手を生み出す時間を稼ぐことができる。湘南はもともと次の一手をオフザボールで作り出すのはベラボーにうまいチームだ。後方の選手の追い越しに寄るフォロー、前線の選手の裏やサイドへの動き出し、サイドに流れた選手に代わってエリア内に飛び込むWBやIHなどその先の一手まで用意してあることもある。

 こうした飛び出しは小野瀬のように信頼してボールを預けられる選手がいるとさらに際立つ。「小野瀬にボールが入ったら動き出す」というタイミングを共有できることで、同じ崩しの画を共有しやすくなるのだ。そういう意味では保持において小野瀬の加入でよりメリハリがついたといえるかもしれない。

 2トップの動きは今の湘南の大きな武器だ。町野の動き出しは単に相手を動かす手段に留まらず、そのままゴールに突き進めるより直接的な手段になっている。仮にサイドに流れる形になってもインサイドにはシュートタッチが好調な大橋が待ち構えている。町野自身も決定率の部分では不完全燃焼なはず。横浜FC戦のリベンジの闘志を川崎にぶつけてきたら非常に厄介になるのは間違いない。

出て行くと潰すはセットで

 川崎が湘南と戦うためのヒントは横浜FCが与えてくれた感がある。鳥栖戦と比べると、横浜FC戦の湘南はプレスのスイッチが入れにくそうだった。理由として考えられるのはバックラインの幅である。横浜FCはバックラインの幅が広くなっていた。

 こうなると湘南はプレスのスイッチを入れにくい。先にも述べたが湘南のスイッチ役はIHである。広がったCBに対しては物理的な距離が開きやすい。なので、スイッチを入れるのに時間がかかる。またIHが外に出て行く形になるので、出て行った中盤に広大なスペースが広がりやすい。こうなると、湘南は2トップがプレスバックできるかが重要になる。

 正直、湘南の2トップは動けるのでプレスバックは出来る。だけども、仮に川崎がここで引っ掛けたとしても、ボールを奪うベクトルはやや後ろ向きである。カウンターに打って出るには前の人数が足りなくなる可能性もある。仮に幅を取らずにシンプルにボールを縦に入れれば、奪われた時に前向きなベクトルでカウンターを受ける公算が強い。こうなれば鳥栖の二の舞である。

 よって、中盤を広げたい+ボールを取られても最悪な状況は避けたいという2点を踏まえれば、CBは幅を取るべきだ。大南とジェジエウという2人は保持には明らかに不安があるが、かといって幅を取らないとなるとより首が締まることになるだろう。GKとCB2人で解決できれば理想だが、アンカーが最終ラインに落ちる形を使ってでも横幅は確保すべきである。いずれにしても中盤3枚と両SBがCBをいかに保持でフォローするかはこの試合のターニングポイントになる。

 前線で期待したいのは宮代だ。中盤の動きが大きい相手に対してはCFが動き回ることでプレスの脱出口になれる。ただ、体をぶつけての競り合いで良さが出るタイプではなさそうだし、湘南はそうした選手への迎撃が得意なので、デュエルっぽくなる形は避けたいところ。川崎のFWはゴール前で待っているだけでは物足りないし、個人的には彼にはJリーグの日本人のエースになってほしいので要求は高く持っておきたい。

 非保持においては小野瀬のところをいかに潰せるかはポイントになる。特に右サイドの動き出しとセットになることが多いので、川崎のこちらのサイドの選手は素早いプレスバックが欲しいところ。大島が鹿島戦でもカバー範囲的な部分で限界を見せていたこと、そしてこの湘南戦の局面が鹿島戦ほど川崎の保持に偏らないことを踏まえれば、左のIHの先発には遠野を推したいところだ。

 基本的には小野瀬の周辺をケアし、後方が後手に回らないようにしたいところ。ただし、後手に回ったとしてもCBコンビがセーフティネットになる可能性はある。大南とジェジエウの2人であれば、広い範囲をカバーできるし、機動力の高い湘南の前線との相性は悪くないはず。

 DFは持ち場から出て行くならばきっちりと潰す。川崎サイドもまたメリハリがキーワードになる。昨年の等々力での湘南戦は車屋と山村がこのエラーを犯し続けたせいで、はっきり言って相手と戦う土俵にすら上がれていなかった試合だった。自分が川崎を見始めてからのワーストゲームといってもいいくらいだ。このコンビで同じ轍を踏むのは絶対に許されない。

 プレスに関してもメリハリは重要。鹿島戦では相手が保持を早々に放棄したせいでハイプレスの機能性は確かめられなかった。おそらく、よりショートパスをつないでくる意識が高い湘南であれば、今季のプレスの精度は見えてくるはず。高い位置からのプレスでの相手との距離感をきっちりと図り、プレスにもメリハリをつけていきたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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