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「GK能動的活用のススメ」~2023.4.1 J1 第6節 北海道コンサドーレ札幌×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第6節
2023.4.1
北海道コンサドーレ札幌(11位/1勝3分1敗/勝ち点6/得点7/失点7)
×
川崎フロンターレ(14位/1勝2分2敗/勝ち点5/得点4/失点5)
@札幌ドーム

戦績

近年の対戦成績

直近10試合で札幌の2勝、川崎の7勝、引き分けが1つ。

札幌ホームでの戦績

直近10戦で札幌の2勝、川崎の7勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 23試合の未勝利記録が止まった2020年以降、札幌は直近5戦で2勝を挙げている。
  • 直近2回の対戦はいずれも合計7得点を挙げ、ホームチームが勝利している。
    • 後半は直近2試合で9得点。
  • 札幌ホームでのリーグ戦で川崎が敗戦したのはJリーグ創設以降は昨年が初めて。
  • 川崎は直近5年間の札幌アウェイでいずれも複数得点を挙げている。

スカッド情報

北海道コンサドーレ札幌
  • 離脱中だった青木亮太、キム・ゴンヒ、浅野雄也は練習復帰。
  • キャンプ以降離脱が続いていたルーカス・フェルナンデスは全体練習に合流。
  • 左膝前十字靭帯を負傷した駒井善成もフルトレーニング復帰。
  • 右膝前十字靭帯を断裂した深井一希は長期離脱中。
川崎フロンターレ
  • 右足関節の手術の影響で離脱していたレアンドロ・ダミアンと右ハムストリングの肉離れで6週間の離脱中の車屋紳太郎は完全合流。
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
  • 山村和也、大島僚太は新潟戦で負傷後4週間の離脱と診断。現在はラントレを再開。

予想スタメン

Match facts

北海道コンサドーレ札幌
  • 公式戦直近5試合無敗(W2,D3)
  • ホームでのリーグ戦は9試合連続で引き分けがない。
  • 公式戦10得点中76分以降の得点が4点。
  • 直近4試合のリーグにおけるホームゲームの勝利のうち、3試合が4得点を挙げている。
  • 直近の2試合のリーグ戦ではいずれも2得点。いずれの試合も得点者は小柏剛と小林祐希。
    • どちらの選手も昨年川崎相手に得点を決めている。
  • ミハエル・ペドロビッチ監督にとって川崎はキャリアにおいて最も敗れているクラブ(23敗)であり、38回の対戦で合計100失点を喫している。
    • 札幌就任以降は11戦で2勝。
川崎フロンターレ
  • 公式戦5試合未勝利(D3,L2)
  • アウェイでの公式戦は2連敗中。
  • 公式戦3試合連続で無得点。
  • 今季ここまでリードした展開は鹿島戦の家長のゴール以降の数分のみ。
    • 90分の中でリードした時間帯はない。
  • 今季のリーグ戦では80分より前の得点がない。
  • 小林悠は出場した札幌との公式戦直近12試合連続で得点を挙げている。
    • 直近5試合中4試合は途中交代にも関わらず6得点。

予習

第3節 新潟戦

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展望

攻守に前線のユニットは変形する

 開幕3試合は勝利を挙げられずに苦しんだが、第4節に昨季の王者である横浜FM相手に今季初勝利を挙げることに成功。以降も粘り強く引き分けで勝ち点をもぎ取る戦いが続いている。

 基本的なスタンスは昨シーズンとは大きく変わってはいない。守備は人基準の色が非常に濃く、オールコートマンツーマンのような形で敵陣からボールを追いかけまわしている。守備が苦手というわけではないが、機動力に難があった興梠やシャビエルから小林や浅野といった選手に入れ変わった前線はよりこうしたプランに沿った人選になっているといっていいだろう。

 基本的には一番前に小林を置く形で脇を小柏や浅野が埋める形になるが、相手によって微妙に位置関係は変わっている。例えば、2CH+2CBで組み立てを行う横浜FM相手であれば小柏が一列下がるが、アンカーを置いているG大阪に対しては小林がアンカーにマンツーでつく形で対応する。G大阪はショートパスからの組み立てを大事したいチーム。CBが距離を取りながらボールを持つので、CBが開く位置に立つ分小柏と浅野がケアをするのが自然ということだろう。

 また、札幌はハイプレス型のチームにしては相手のGKにプレスをする頻度が低いチームに思えた。少なくとも、一森と東口に対してはある程度もたせてOKのスタンスをとっており、FPは自分の担当マークを離さないことを優先しているように見えた。

 後方の選手の迎撃性能にはそれなりに自信がある。実際、岡村や田中など後方の迎撃性能はある時期を境目に上がっていおり、十分な跳ね返しの精度が期待できる。相手のGKは全てのFPにマークがついている状態なので、前線に当てるか、裏に蹴るかの二択になりやすいが、札幌はこうしたアバウトな展開になっても当たり負けしないバックラインの強度を有している。

 むしろ、新潟戦のように途中からアバウトなロングボールが増えた相手に対してはフィジカル的な優位を見せることも。新潟はボールを札幌に奪われてからのカウンターに苦戦。スピード豊かな札幌のアタッカー陣に対して明確に苦労していたように見えた。

 ボール保持に関してもアタッカーのスピードは生かす方向性。特に狙っているのは右サイドの裏のスペース。このサイドからの裏抜けを小柏が狙うことで、積極的に奥行きを作っていく。

 裏抜け一発という一の矢が効かなくても、右サイドにはインサイドにカットインからファーへのクロスを送ることができる金子がいる。シャドーの裏抜けと金子のカットインというベクトルが違う武器で敵陣に襲い掛かることができる。明確な武器がある右サイドに攻撃はやや偏っている感がある。

 シャドーに関しては左右の入れ替えに問題はなし。浅野は機動力に関しては小柏には劣るが、右はもともと広島時代に主戦場にしていたし、オフザボールへの適応も十分である。小林の可動範囲の広さなども含めて3トップは捕まえるのが難しいユニットになっている。

「相手が嫌がる選択」ができるかどうか

 川崎がここまで苦手とする守り方をしているチームは大きく分けて2つ。前線の守備がインサイドに傾倒しており、中盤中央という川崎が最も使いたいスペースを場所ごと潰してくるチームが1つ。

 もう1つはバックラインに強気でプレスをかけていくことで時間を奪ってくるチーム。谷口がいなくなったバックラインはプレスの耐性が低くなっており、時間を奪われてしまうとミスが多くなってしまう。

 主に川崎がここまで苦しんできたのは前者。使いたい場所に網を張って、そこに突っ込んでいくという流れで悪循環を生み出している。

 後者についてバックラインの枚数を増やした仕組みになっているので、マンツーでやり切るチームはあまり多くはない。鹿島とか横浜FMの立ち上がりなど時間帯を限った運用になることが多い。

 だが、札幌はマンツーをやり切ることができるチームである。よって、今回川崎は後者の対策をきっちりと準備する必要がある。真っ先に候補に挙がるのはレアンドロ・ダミアンの活用である。1on1でも優位を取れる場所をきっちりを作るためにロングボールの収めどころを前線に作るというのが案の1つ目。

 もしくはGKを活用したビルドアップ。固まった状態であれば持たされる状況になってどうしようもないだろう。だが、札幌とは言えさすがにボールと遠い位置であればマンツーは弱まりやすい。ルヴァンの湘南戦の後に上福元がビルドアップにおけるGKの活用法は「相手が嫌がるような選択ができないといけない」といっていたが、「プレス隊が同サイドに寄せたと思いきや、GKを経由して逆サイドに脱出される」などはそのプレーに合致するだろう。マンツー相手にはハマりそうな策である。

 よって、GKには逆サイドへの脱出をより期待できる上福元を推したい。GKは相手の性質において替えにくいポジションではあるが、後方のカバー範囲も含めて対札幌の適性は現状ではソンリョンよりも上福元にあるように思える。

 GKを能動的に活用できれば、札幌のプレス隊もGKを放っておくわけにはいかなくなる。そうすれば、時間を貰うことができる他のバックラインも余裕を持った前進も可能になるはずだ。

 仕組みの話でいえば、縦関係を作りポストプレーをワンタッチで落としてフリーでボールを受けるやり方を使っていきたい。G大阪が札幌相手に後半に巻き返したのはネタラヴィをこの仕組みで解き放つことができたから。川崎もマルシーニョとシミッチで全く同じ形の再現は可能である。

 ポストからの縦関係など縦方向の関係性を作る動きは一撃必殺以外にも活用可能。マンツーに対して縦関係を入れ替えることは相手からするとついていくか入れ替わるかという大きな迷いを産むことになる。

 ちなみにSBの絞る動きが効くとどうかはわからないからやってみよう!というスタンス。上記のような効果が得られるのであればやればいいと思う。そこは相手次第である。いずれにしても札幌相手のマンツーで殴り合い続ければ間違いなく勝てる時代は終わったのである。それでもきっと終盤戦は殴り合いになるだろうけども。殴り合いになる前の時間を制御したい。

 ブロック守備に関しては相手の右サイドを警戒していきたい。先に述べたように札幌の右サイドは1人が動いた後のもう1人のベクトルの違う動きがキーになる。ハーフスペースの裏抜けと金子の大外からのカットインの両にらみを解決できるかどうか。

 どこに誘導するかとか、1人が空けた場所のカバーは川崎の苦手分野。だが、札幌は非常にプレーブック的に得意なプレーを繰り返すチームだし、選手ごとに得意なプレーもかなりはっきりしている。穴を空けてくるアクションに対して、どのように埋める動きを準備するかが重要である。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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