Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第7節
2023.4.9
ガンバ大阪(16位/0勝3分3敗/勝ち点3/得点7/失点15)
×
川崎フロンターレ(11位/2勝2分2敗/勝ち点8/得点8/失点8)
@パナソニックスタジアム吹田
戦績
近年の対戦成績
直近5年間でG大阪の2勝、川崎の8勝、引き分けが2つ。
G大阪ホームでの戦績
直近10戦でG大阪の3勝、川崎の3勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- 直近の公式戦9試合のG大阪戦で川崎は無敗(W7,D2)
- 直近5試合のG大阪戦で川崎はいずれも複数得点。
- 3回は4得点以上。いずれも等々力開催。
- G大阪ホームの試合においては直近5試合で川崎の2勝2分1敗。
- 川崎がG大阪ホームで記録した3つのリーグ戦の勝利はいずれもクリーンシート。
- 川崎の最後のリーグでのクリーンシートでの勝利は2022年9月の広島戦。
スカッド情報
- 右太ももを負傷していた宇佐美貴史は週末のスカッド入りを示唆。
- 山本悠樹はFC東京戦で左膝を負傷し途中交代。
- 鈴木武蔵も先週末の湘南戦で負傷交代している。
- ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
- 山村和也、大島僚太は新潟戦で負傷後4週間の離脱と診断。部分合流済み。
- マルシーニョは左ハムストリングの肉離れで8週間の離脱。
- 小林悠は札幌戦で負傷交代。
予想スタメン
Match facts
- 今季の公式戦2勝はいずれもルヴァンカップで挙げておりリーグ戦では未勝利。
- 失点15はリーグで最多。
- 水曜日のFC東京戦で今季初のクリーンシートを達成。
- ホームでの公式戦は直近8試合で1敗のみ(W2,D5)。
- 4月のリーグ戦は3連敗中。
- ファン・アラーノにとって川崎は現在のJ1で勝てていない3つのチームの内の1つ。
- 鹿島はここまで1戦のみ、新潟とは未対戦。
- 今季ここまでオフサイドは6回。これより少ないのは福岡だけ。
- 公式戦では4試合負けなし。
- うち3試合はスコアレスドロー。
- ホームでの公式戦は直近8試合で1敗のみ(W2,D5)。
- 4月のリーグ戦は3連敗中。
- ここまで先制点を取れている試合がなく、立ち上がりの15分で失点は5。
- 2022年は年間を通して開始15分は4失点だった。
- 瀬川祐輔は今季ここまで2得点でチームのトップタイのスコアラー。
- 2020~2022年はいずれもリーグでは年間2得点。
- レアンドロ・ダミアンはG大阪戦直近5試合連続得点中(6G,2A)
- ボタフォゴ、サンパウロに並びキャリアで最も得点を挙げている相手。
予習
第4節 広島戦
第5節 札幌戦
第6節 湘南戦
展望
ボールだけが前に行ってしまう苦しみ
徳島からダニエル・ポヤトスを招聘し、大物外国人選手のリクルートにも成功。片野坂監督のもとで実現できなかったボール保持を主体とするスタイルへの再チャレンジへの土壌は整っていると言えるシーズン開幕のスカッド構築だった。
しかしながら、蓋を開ければここまでリーグ戦は勝ち星がなく苦しんでいる状態が続いている。まずはなんとしてもリーグ戦初勝利が欲しい!という気持ちで川崎に襲いかかってくるだろう。
G大阪のフォーメーションは4-3-3が主体。CBが大きく幅を取り、SBを押し上げつつ、IHが列を降りながらボールを引き出す。中盤の3枚の起用はやや流動的ではあるが、基本的にはアンカーにネタ・ラヴィを配置する形が多い。その他の2つの中盤は山本悠樹、山本理仁、ダワンあたりが争っている。負傷してしまったが宇佐美もこのポジションで起用されている。タイプ的にもさまざまで現状では最適解を探している最中と言えるだろう。メンバーが固まるのはもう少し先の話のように思う。
攻撃の形としてはアンカーのネタ・ラヴィがボールを持って前を向く形を作るのが基本。彼にボールを持たせることができれば、攻撃の形はある程度充実したものを望むことができる。札幌戦では彼に前を向く形を作れるや否や2点のビハインドを一気に埋めてしまった。精度の部分では信頼ができる形である。
CBが開き、IHが降りて、SBが高い位置をとり、アンカーの足の長いパスから一気にチャンスメイクを行う。形としては川崎がシミッチをアンカーに置き、SBが絞らない位置を取るフォーメーションと似ていると言える。
であれば、当然問題点も似てくる。シミッチが足の長いパスを送る相手としてパッと思いつくのはもちろんマルシーニョ。縦に早いパスから一気に抜け出し、ゴール前で1on1を作るのが理想系になってくる。
この形の問題点は縦に抜け出す形から一気に決めきれなかった時に、ボールだけが前に行ってしまう点にある。時間と人は後ろに置き去りのまま、前の少人数で解決しなければ相手の守備の網に絡み取られてしまうのだ。
マルシーニョほどの脚力がある選手がいれば良いのだが、G大阪にはそういった全てを引きちぎるスピードがある選手はいない。なお、マルシーニョは怪我してしまったので川崎にも今はいない。ヨーイドンで抜け出せる形を約束できるジョーカーがいなければ、この形からゴールまで辿り着くのは難しい。
よって、G大阪はネタ・ラヴィに前を向かせることができたとしても、ゴールの前にもう一山ある印象だ。かといって、後ろから時間をかけて1つずつ押し上げていくという形は現状では未整備。人と時間を前に送るのには非常に苦労している印象だ。
特に前線の選手が降りるアクションに終始しているのは気がかり。左のSHのアラーノがボールを引き取りに下がってくるのはしっくりくるが、鈴木武蔵が降りてきてボールを受けることに少しこだわりすぎている感があるのは気がかり。チームとしても裏を取る動きが不足しているように思うので、彼は奥行きを取る動きを見せても良いと思う。
前線に限らず、降りてくる選手に対してとりあえずつけるアクションを選択した結果、ハイプレスに潰されてしまうケースが多いのも気になる。広島戦の東口→ネタ・ラヴィへのパスがきっかけでPKを献上してしまったシーンもこれにあたる。
アタッキングサードにおいてはサイドでの決め手が欲しいところ。連携面ではまだ改良の余地があるとは思うが、MFタイプがワイドを張るケースも多いので、大外に起点を作るのに苦労するパターンも多い。
かつエリアにはターゲットタイプがいないとなれば連携の構築は急務なように思う。ただ、ここに来てジェバリがフィットしているのは朗報。深い位置のポストで相手のDFラインを規定したり、エリア内のターゲット役ができる彼を軸にできれば、連携の構築も促進するだろう。そうなればここまで見てきた課題のいくつかは改善される可能性もある。
似たもの同士の脱却が勝利への近道
「G大阪の悪いところばかり言いやがって!川崎ファンを安心させたいだけだろ!」とここまでを読んで思った読者もいるかもしれない。だが、ここまでの項を読んで安心する川崎サポはあまり多くないのではないか。
むしろ、川崎ファンは現状のG大阪の問題点が川崎と少し似ているイメージを持ったのではないだろうか。人と時間を前に送れない問題、機能しきれないサイド攻撃、降りてくる選手にボールをつけてハイプレスにあっさり捕まるなど。GKの決定的なミスからの失点は開幕してから5分ですでにやっている。誰よりも先輩である。G大阪への上記の指摘はあまり人ごとではない。
よって、日曜日は似たもの同士の対戦ということになる。ただ、川崎はルヴァンカップの浦和戦で少し変化の兆しを見せた。バックラインから直接中盤に縦パスを強引につけるのではなく、サイドを経由しながら浦和の中盤のプレスを広げることで、時間を作りながらボールを前に送っていた。
今季の川崎は中盤にポイントを多く作り、そこから縦にパスを刺すことで前進していく形を目指すことが多かった。だが、浦和戦でのスタイルは少しその文脈からは離れたものだったように思う。
個人的には浦和戦のバランスは歓迎だ。バックラインは中央にこだわりすぎていたように思うし、外を使うことで逆に中が広がるパターンも見えた。湘南×G大阪を見ると、外側での人数をかけたボール回しに守備に回ったG大阪のCHが外に引っ張られるシーンが散見される。それを踏まえれば相手との相性も悪くないプランのように思う。
というか、マルシーニョを失った現状の川崎にはきっちりと人と時間を前に送る形を作り直すしか方法はないと思う。前節の札幌戦は山田へのロングボールからチャンスを作ったが、今の彼にG大阪のDF陣には同じ形が通用するかはわからない。少なくとも三浦を相手に回したらそんなことは簡単にはできないだろう。
チャレンジを求めたいのは大南。ルヴァンカップの高井のパフォーマンスは落ち着いたものであり、保持における存在感も十分だった。開幕当初は興味深いチャレンジも多かった大南だったが、勝てない時期が続くことでやや安全策に舵を切りすぎている嫌いがある。
前にスペースが空いている時は持ち上がる、縦パスを入れてリターンを受けながら開く場所を狙っていく。プレスがキツくない相手に対してはそうしたトライをもう少しして欲しいところである。非保持ではすでに十分な存在感を発揮しているだけに頑張ってほしい。
G大阪のボール保持に対してはまずは降りていく選手たちへの対応をはっきりさせたいところ。このアクションが顕著なのはアラーノ。対面の山根はきっちりとついていく形で潰すのがベターのように思える。
G大阪のCHが降りていく動きにもついていきたい。浦和戦ではCHの迎撃性能の高さから敵陣でのプレータイムを増やしていた川崎。とりあえずつけてくる縦パスは積極的に潰しに行きたいところ。安易な中盤への縦パスをカットし、決定的なショートカウンターのチャンスの創出を狙っていきたい。
ショートパスにビビって蹴ってもらうところをマイボールにできれば波状攻撃は成立するだろう。両チームともビルドアップには不安要素があるが、前線にはジェバリとダミアンが張っており、ロングボールの有効性は変わってくる可能性がある。相手のCB陣との力関係も早めに測っておきたい。
苦しい序盤戦から試行錯誤して脱出していく両チーム。吹田で対峙するのは『似た者同士』の2チームなのか、それとも課題の打開のきっかけを掴むチームはいるのか。仮に後者であればそのチームが大きく勝利に近づくのは間違いないだろう。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)