同じスキームだとしても
首位を快走するナポリの今節の相手はサレルニターナ。前節のアタランタ戦で8失点を喫し、ニコラ監督を解任する流れになったが、代わりの監督が見つからずにニコラ監督が復任するというドタバタ劇があったチームである。
立ち上がりからペースを握ったのはナポリ。ボール保持でサレルニターナを押し込んでいく。サレルニターナの4-5-1のブロックはリトリートが早め。SHがきっちりと下げたポジションを取り、相手からスペースを奪うように振る舞っていく。よって、試合の局面はほぼナポリの保持がサレルニターナの4-5-1を攻略できるかに集約されていた。
ナポリの攻撃はかなり多彩だった。起点としていたのは1トップを張るピョンテクの脇。このスペースにIHのジエリンスキが降りてきたり、ミンジェが上がってきたり、あるいはマリオ・ルイが絞ってきたりなど多彩なやり方でここを入り口にする。
基本的には攻撃のルートはワイド。大外を軸に大体は3人程度の関係性を使いながら崩していく。基本的にはサレルニターナのサイド封鎖にかかる人数はナポリよりも1人多いか、間に合いきっていない時でも同数での対応がベース。頭数的にナポリの保持側の人数が余ることはなかった。
だが、それでもナポリはフリーの選手を作ることが出来ていた。やはりキーとなるのはオフザボールにおける動きの多さだろう。特に縦と斜め方向の動きが多く、サレルニターナの選手たちはどこまでついていくかの判断が非常に迷うことが多かった。
先制ゴールもまさに動くことで相手を外す形だった。左サイドから数的優位ではない状況でマークのズレを引き起こしてからPA内に侵入。最後に仕留めたのは逆サイドからPAに入り込んできたディ・ロレンツォだった。
後半に生まれた2点目のゴールは左サイドのペナ角付近で相手を裏切るエルマスのインサイドへのターンがキー。この流れでエルマスが放ったミドルがバーをとらえ、最後はオシムヘンが押し込んだ。過剰に人数をかけずに駆け引きと相手を外すスキルで勝負したナポリが2点を奪い、セーフティリードを手にする。
サレルニターナの攻撃はCFにとっととロングボールを蹴り込むパターンと、サイドを変えながらのショートパスでの前進を狙うパターンの2種類がある。一発で跳ね返される前者よりは、ショートパスで敵陣に迫る方がまだ可能性は感じるが、単純にナポリのハイプレスを回避するのに労力を使うのと、敵陣での崩しが少ない試行回数で実らない。大外→ハーフスペースの走り込み利用など、エッセンスはナポリと似た大外攻略だが、頻度とスキルで段違いの差があるのは否めない。
ボールをカットされてしまうと、オシムヘンへのロングカウンターなどから一気に裏返される可能性もあり、ボール保持側としては油断ができない。そうしたプレッシャーの中で限られた攻撃を成功させることが出来なかったサレルニターナ。84分に迎えたピョンテクの決定機も逸してしまうことに。
サレルニターナの4-5-1を粉砕するというミッションを達成したナポリ。敵地で勝利を挙げて首位固めに成功した。
ひとこと
ナポリ×アーセナルは相当見てみたい。
試合結果
2023.1.21
セリエA 第19節
サレルニターナ 0-2 ナポリ
スタディオ・サン・パオロ
【得点者】
NAP:45+3’ ディ・ロレンツォ, 48’ オシムヘン
主審:ダニエレ・チフィ