タイトル凱旋試合で勝ち点とシュクリニアルを失う
スーペルコッパ・イタリアーナを制し、今季1つ目のタイトルを手にしたインテル。今節は週末からミッドウィークにスライドしているリーグ戦を消化することになる。
インテルは5-3-2、エンポリは4-3-1-2と共に中央に陣形が集まりやすい状況だった。まず、インテルの保持は3バックからゆったりとショートパスを回す形。トップ下のバイラムはCBの中央にいるデ・フライとアンカーのチャルハノールを行ったり来たりしつつプレスの重心を調整する。
4-3-1-2を相手にしたときに安全地帯ともいえるサイドからインテルはボールを持ちあがっていく。エンポリはIHが上がることでこの動きに対応し、高い位置から止めていくトライを行う。
インテルは中央からの対角パスで一気に左右に揺さぶるやり方を選択。中央から右サイドに対角にロングパスを送り、そこからクロスを上げる。クロスに対しては逆サイドのWBのディマルコも非常に積極的にエリアの中に入っていたのが印象的だった。
一方でインテルの持ち味である2トップの連携から進む形はこの試合では封じられた格好だ。中央を手厚くプロテクトするエンポリの守備網にラウタロとコレアは苦戦。ジェコが先発していたとしても、この試合でいきなり中央からこじ開けるのはやや無理筋だったように思う。
エンポリの前進にもSBが安全地帯として使われていた。インテルも中央をまずは手厚くというフォーメーションだったため、これは妥当な流れといえるだろう。WBが早い段階で潰しに出ることで時間の経過とともにエンポリのバックラインから自由を奪うという変化も非常に似たものだった。
エンポリの前進のキーになっていたのは2トップ。とりわけ右のカンビアキは長いボールを収めることと裏抜け勝負を仕掛けることの両面で活躍していた。エンポリはこの右サイドにパスコースを多く作りインテルのプレスを回避。サイドの深い位置まで入り込むことが出来ていた。
ならばとインテルは高いラインで人を早い段階で捕まえに行く部分で勝負に出る。しかしながら、結果的にはこれが裏目に。前半の内に高い位置にチェックに出て行ったシュクリニアルが2枚目の警告で退場。インテルは50分近くを10人で戦うことになる。
これにより序盤に見られた攻撃のメカニズムは消滅。インテルはサイドの大外からのクロスで攻勢をかけるのが難しくなってしまった。
後半になると退場後に4-3-2にしていたフォーメーションを5-3-1に変更。エリア内の枚数を犠牲にしてでも、サイドの高い位置を起点にすることを優先する。
しかしながら、サイドはクロスを上げることが精いっぱい。エンポリのポゼッションもインテルが10人になってから非常に安定。落ち着いて試合を運ぶことが出来ていたのは明らかにエンポリの方だった。
そんなエンポリは右サイドのカウンターからあっさりと先制。交代で入ったバルダンツィの力強いゴールで先制点を手にする。インテルはこの時間帯、結構保持で盛り返していただけに面食らうことになった失点といえるだろう。
最後は攻撃的なタレントを投入して反撃を試みるインテルだが、エンポリの落ち着いた試合運びを乱すことは出来ずにスコアレスで終戦。タイトル獲得後の初の試合は勝ち点とシュクリニアルを失うというダメージの残る結果になってしまった。
ひとこと
エンポリの保持のメカニズムはなかなか面白い。前線に優れたタレントも数枚いるし、また見てみたくなるチームであった。
試合結果
2023.1.23
セリエA 第19節
インテル 0-2 エンポリ
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
【得点者】
EMP:66‘ バルダンツィ
主審:アントニオ・ラプアノ