MENU
カテゴリー

「Catch up Serie A」~2023.2.5 セリエA 第21節 インテル×ミラン ハイライト

目次

重い腰が上がらない宿敵にインテルが盤石の逃げ切りを決める

 首位のナポリを追うスピードは明らかにダウン。CL出場権争いに巻き込まれつつある両チーム。ともに好調とは言えない状況で迎えたミラノ・ダービーである。

 スターターに大きな変化が表れているのはミランの方だった。インテルと比べてもより不振が深刻で失点を多く重ねているミランは5バックにシフト。後ろを手厚くする形で宿敵を迎え撃つ。

 ミランの5バックは文字通りの後ろ重心のプランだったと言っていいだろう。2トップのジルーとオリギは縦関係でオリギはアンカーのチャルハノールをメインに監視する。3枚同士で噛み合う中盤のヘルプに入る形である。ミランはいくつかのポイントでマンツーを強めており、チャルハノールはそのポイントのうちの1つ。もう1つ、ミランが気にしていたのはインテルの2トップ。彼らが降りる動きを見せる時はバックラインからついていく形でケアをする。

 マンツー色を強めているポジションには後方に人を余らせているのもミランの特徴。2トップに対しては3バックで対応しているし、先に述べたように中盤の枚数も数的優位で受けている。守備が機能しない中で彼らが優先すべきものが見えてくる対応である。

 インテルサイドで狙いたいのはライン間のスペース。ミランのDF-MFの間を広げ、インテルの2トップが前を向くことができればここからチャンスを作ることができる。ジェコが前を向き、PA内に侵入してPKを主張したシーンなどはその代表例と言えるだろう。だが、そうしたチャンスは限定的。ミランが後ろを十分にケアしていることもあり、中央の侵入からチャンスを作れるシーンは稀。狙いは大外か3センター脇からのアーリー気味のクロスが主になった。

 きっちりと守りに入ったミランが順調だったかというとそういうわけではない。とにかく、攻撃に出ることができない。後ろへの重心が重たく、ボールを奪った後に時間を作れない。トップのジルーはポストはうまいが、キープができるわけではないので、ロングカウンターにあまり向いているタイプのFWとは言い難い。彼のポストを中盤から選手が飛び出して受けるが、そこから先がないという状況でなかなかボールを前に進めることができなかった。

 バックラインが数的優位であり、インテルはそこまでプレスに熱心ではなかったため、ミランにも少ないながらボール保持の機会は訪れた。しかしながら、ブロック守備に対しても後ろが重たいことに対する解決策を持たないため、ミランは前に時間とボールを送り込むことができなかった。

 押し込み続けるインテルはセットプレーから先制。正直、ミランがこれだけ押し込ませてくれるのならばセットプレーの数には困らない。ゴール方向から離れるラウタロがCKに合わせて先制ゴールをゲット。マーカーのケアーをつっかけるように回り込んだジェコの動きが見事なアシスト。ケアーのラウタロへの注意をうまく引きつけたと言えるだろう。

 後ろを固めたミランにとってはこの先制点は想定外だったはずだ。先制されてなお、遊軍を余らせる仕組みを回避することができず、前に出ていくきっかけはどこにもない状況が続く。

 後半、ミランはディアスをメシアスに代えて投入。5-3-2型から5-2-3型に変化し、わずかに攻撃色が強い形にシフトする。交代で入ったディアスはハーフスペースへの裏抜けなど、前半にはなかったアクセントにはなっていたが、大きな試合の流れを変える交代になったかと言われると疑問と言わざるを得ないだろう。

 インテルはインテルで保持を徹底するプランを重視し、試合をコントロールするプランを優先した印象だ。サイドへの裏抜けやFWへのロングボールなどできっちりとミランを押し下げて、重心が低い彼らに陣地回復のコストを払わせる。FWがジェコからルカクに代わってからはなおこうした傾向は強まったように思う。

 75分に交代で入ったレオンが抜け出す形はチャンスの糸口になりかけたが、貴重なチャンスをジルーがうまくコントロールすることができず。シュートまでいけなかった場面を取り上げたくなるくらい、ミランの攻撃は手詰まりだった。

 カラブリアをサレマーカーズに代えるなどわずかながら攻撃的な色を強める交代は後半の早い時間に行なったものの、最終的に5バックを捨てたのはケアーとレビッチをスイッチした86分。枠内シュートがちっとも生まれないのに5バックに縋り付くピオーリを前に焦ったい思いをしたミラニスタは少なくないはずだ。

 安全運転で逃げ切りを図り続けたインテルに対してはわずかな時間でのアタッカーの増員は焼け石に水。先制点以降、リードの維持に徹したインテルに対して、ミランは得点はおろか枠内シュートすら記録することができなかった。

ひとこと

 ミランのプランは前節までの流れを汲めば全く理解ができないものではなかったが、先制された後に縋り付くほど素晴らしいものでもなかったように思う。手当を優先し、いい流れを掴みにいく動きが遅れたピオーリに対しては厳しい目が向けられる可能性は高いように思える。

試合結果

2023.2.5
セリエA 第21節
インテル 1-0 ミラン
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
【得点者】
INT:34′ ラウタロ・マルティネス
主審:ダビデ・マッサ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次