Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第12節
2023.5.7
川崎フロンターレ(10位/4勝3分4敗/勝ち点15/得点14/失点14)
×
サガン鳥栖(15位/3勝2分5敗/勝ち点11/得点10/失点16)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近5年間で川崎の4勝、鳥栖の1勝、引き分けが5つ。
川崎ホームでの戦績
直近10戦で川崎の5勝、鳥栖の1勝、引き分けが4つ。
Head-to-head
- 直近4回の対戦のうち、3回はホームゲームが勝利。
- アウェイチームは直近7回の対戦で勝利がない。
- アウェイチームは直近9試合複数得点がなく、うち6試合は無得点。
- 等々力において鳥栖は直近9試合の対戦で未勝利(D4,L5)。
- 鳥栖は直近5年間の等々力遠征で得点を決めたことがない。
スカッド情報
- ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
- 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
- チャナティップ・ソングラシンは清水戦で負傷交代。
- レアンドロ・ダミアンと瀬川祐輔はベンチ外が続いている。
- ファン・ソッコと横山歩夢は第五中足骨骨折により離脱中。
- 富樫敬真は左ハムストリングの損傷で12週間の離脱中。
予想スタメン
Match facts
- 今季初のリーグ戦連勝中。
- 前節は今季初めてのクリーンシートによる勝利。
- しかし、今季の勝利は全てアウェイで挙げたもの。
- ホームでの勝ち点は3。リーグ最下位。
- リーグ戦開幕8試合はいずれも先制点が奪えなかったが、直近の公式戦4試合はいずれも先制点を決めている。
- 今季の公式戦の得点のうち、71%は後半に決めたもの。
- ジョアン・シミッチが先発した公式戦は今季8戦で無敗(W4,D4)。
- 直近3試合の公式戦でいずれも複数失点をしており合計で9失点。
- 無得点試合はここまで2試合だけだが、複数得点試合は1試合だけ。
- 今季のリーグ戦の勝利はいずれも順位が上のチーム相手に決めたもの。
- 今季の16失点のうち、アウェイでの失点は6だけ。
- 本田風智は直近2試合連続でゴールを決めており、これは自身初。
- 最後の等々力の勝利である2013年の鳥栖のメンバーにおいて現在所属しているのは藤田直之だけ。
予習
第8節 柏戦
第9節 京都戦
第11節 横浜FM戦
展望
ビルドアップの引き出しとシビアな仕上げ
ゴールデンウィークは西への遠征に勤しんだ川崎。福岡から京都に北上し、最終日となる日曜日にようやく等々力に戻ってくるスケジュールである。
しかしながら対戦相手は依然西日本のまま。ゴールデンウィークの3連戦の最終戦はホームに鳥栖を迎えての一戦だ。
鳥栖の保持はビルドアップをじっくり行っていくスタンス。横浜FM戦のように一方的に押し込まれればその限りではないが、相手からプレッシャーを受けない限りは自陣からのショートパスを繋いでいくチームである。
ビルドアップの形は大きく分けて2種類。1つはDFラインが3バックに変形するスタンスである。最終ラインが左にスライドする形にシフトし、左のCBである田代が左サイドの後方を固め、左のSBを押し上げる形である。
スカッドの編成の関係か、それともこのプランに合わせてかはわからないが、今季の鳥栖の左のSBは菊池や長沼といった前目のキャラクターが強い選手が多い。この左サイドの選手を押し上げて、左サイドを軸に攻め込んでいくのが後方3枚型のプランだろう。中盤は河原と森谷がフラットに並ぶ場合と、アンカー的に河原を置いて森谷を解放する場合の両方が存在する。これは相手の陣形次第といったところだろう。
もう1つの前進のパターンはイルギュをリベロ的に配置し、この両脇をCBで固める異なる後方3枚型である。この場合はCH2枚に加えてトップ、もしくはサイドハーフ、トップ下といった選手が中盤の3枚目となり、後方はフィールドプレイヤーが2-3のような形になる。こちらはバックラインへのプレスをあまり感じない場合に、両サイドに人数を割いて、中央に入った縦パスからスムーズにサイド攻撃に移行するパターンに使われている感じだ。
中央の攻撃は新加入の河原が一手に引き受けている感じである。もはや彼がいないと苦しいというくらい、仕事量はやや偏っている状態である。プレッシャーがゆるければ当然彼のところからインサイドに縦パスを刺すことができる。鳥栖の攻撃はサイドに枚数がきっちりかけることができれば十分な威力を発揮するため、中央で縦パスが入るかどうかは重要である。
CFは垣田や宮代の移籍や富樫の怪我などにより、FW型の存在が不足。小野と河田がプレータイムをシェアしていく。組み立てへのタスク関与や対空性能の低下により、入れるべきクロスは少しシビアになっている印象である。
非保持の局面においては4-4-2という陣形に忠実。前からのプレスとプレスバックを使い分けていく。高い位置からはマンツー気味についていく。特に同サイドに追い込むことができればよりボールを刈り取ることができる公算が強くなる。
リトリートにおいては横幅が非常にコンパクト。4-4-2でペナ幅を守る意識が強く、中央を優先してプロテクトしているプランを採用している。敵陣でプレスに行く時のオープンさを自陣の中では封じ込めている印象である。
機械的な裏抜けと3人目を登場させる中盤
この試合の川崎は特にボール保持のアクションから主導権を握るプランを組んだほうがいいと思う。まずはバックラインは広がりながら横の揺さぶりを駆使する。これは福岡戦、京都戦でできていたバックラインの距離感が非常に大事である。
次のアクションとしてはSBの背後をとる。CB→SBのパスでこれができればいいが、仮に大外を取る選手がWGになっても問題はない。
大外を取ったらインサイドでフリーになる選手が出てくるから折り返して・・・というのがいつもの攻略パターンだが、鳥栖に対してはもう少し直線的なプランのほうが刺さると思う。理由は鳥栖の守り方になる。大外の迎撃から発生するズレは彼らの非保持における脆弱さにそのまま繋がっている。
まずは大外への鳥栖のSBの迎撃がワンテンポ遅れること。よって、大外でボールを持つ選手は比較的自由にボールを持てることが多い。プレッシングから同サイドに追い込まれてしまう時はこの限りではないので、初手のバックラインでの左右の揺さぶりは重要である。
もう1つは大外に遅れて迎撃しに行った鳥栖のSBのアクションに対して、CBのリアクションがあまり見られないことである。つまり、CBとSBの間が非常に空きやすい。大外にはSBが遅れて出ていく。そして、SBが開けたスペースのケアが甘い。よって、川崎が取るべきアクションは大外で鳥栖のSBを釣り出すアクションを起こすと同時にSBの背後をとるようなややインサイドよりのフリーランを行うことである。
このアクションは個人的には初手では機会的にトライしてもいいと思う。鳥栖で見られたブロック守備を敷いた際の共通した課題だし、今の川崎であれば再現するのはそこまで難しくはないだろう。
大外からハーフスペースの裏をとることができれば、ここで逆サイドを意識してもいい。エリアに迫る頃には鳥栖はボールサイドへのスライドを開始しているはず。そうなった時に逆サイドではエリア内に飛び込むアクションが欲しい。イメージとしては福岡戦の1点目の登里のアクションである。
鳥栖のブロック守備は非常に横幅がコンパクトなのが特徴。仮にボールサイドにスライドしたら、逆サイドの外側はかなりゴールエリアに近くなる。横浜FM戦のヤン・マテウスの1点目もそうだが、ボールサイドの逆側はブロックの外側でも攻撃側は十分にシュートを狙える位置に立つことができる。
フォーメーションは4-2-3-1を推奨したい。明確にアンカーのそばに1人選手を置いたほうがいいと思うし、その選手はSBでないほうがベターである。なぜならば、SBは大外で高い位置を取って欲しいから、そして鳥栖の4-4-2にマンツー気味の意識で当たりに来てほしいから、ホルダー側は逆に噛み合わせた布陣にしたほうがいいと思う。
鳥栖の前がかりなプレスのフェーズにおいての弱みは中盤に登場する3人目である。具体的にはCHの背後のスペースに登場する選手をケアするのが非常に苦手である。川崎の2列目はこの3人目としての動きを意識してCHからの縦パスを引き出していきたいところ。トップ下が降りてもいいし、SHが絞ってもOKである。
降りるアクションをする際に気をつけたいのは下がり過ぎてしまわないこと。先に述べたように、この試合においては、大外にボールが入った場合に機械的にハーフスペースの裏抜けのアクションをする選手が欲しい。重心を下げ過ぎてしまい、ボールが前にある時にこのアクションができないのであれば意味がない。
そう考えると左はマルシーニョよりも中盤で3人目として振る舞うことができる遠野のほうが適任のような気がする。純粋な裏抜けであればマルシーニョに利があるが、鳥栖相手には引いて受けるアクションがあったほうがスムーズな前進に繋がるように思う。右サイドはトップ下やCFが助ける必要があるだろう。家長や山根が大外を取るアクションに合わせて宮代や脇坂が裏に抜ける動きを入れ込みたい。
非保持の対策の第一は押し込んでのワンサイドゲームに持ち込むこと。即時回収でサイドからガンガンPA内にスペースを作っていくアクションを繰り返していきたい。
カウンターにおいては左サイドの岩崎が最重要な人物。横浜FM戦でも特攻隊として3分のゴールを生み出したスピードスターである。同じく日本代表経験のある山根できっちりと対面を封じたいところ。
先にも述べた通り、鳥栖はサイドからはきっちり崩さなくてはいけないシビアさは増している状態。よって河原からの縦パスは封鎖したいところ。インサイドで前を向くアクションをする選手を潰して、コンパクトさを維持したいところだ。
鳥栖の狙い所は明確なので、機械的にでもいいので正しい手順を踏んでちょっかいをかけたいところ。簡単に前線に蹴り飛ばしてしまうと、鳥栖は楽になる。連戦の最後は辛いけれども丁寧に。サボらないことで楽に進めたいところだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)