VAR用の機材が届かないという部分でてんやわんやすることになったこの一戦。ホームの新潟のサポーターはJリーグへの批判と審判への激励を横断幕に込めて試合を迎えることとなった。
ボールを持つのはホームの新潟。CHは縦関係を形成しつつ段差の多いポゼッションの陣形を敷く。プレスをかいくぐってライン間にパスをつけていくといういつも通りの狙いの形といえるだろう。
これに対して柏は2トップを縦関係にすることで対抗。サヴィオにアンカー役の高を監視させる役割を果たす。
しかしながら、柏はサイドのプレッシングがやや中途半端に。外切りのような形でSHがプレスをかけていくと新潟はCBとSBの連携から脱出。柏のプレッシングを無効化していく。
押し込む手段を得た新潟はプレッシングでも十分な手ごたえ。前からのプレスに対して柏はうまくいなすことができなかった。
原因の一つは柏がビルドアップにSBを組み込まなかったこと。組み立てのほとんどはCB→CHの縦パスが多く、狭く網を張る新潟にとってはうってつけの動線だったといえるだろう。
柏が前進できるタイミングはサヴィオが根性を見せてキープに成功した時くらいのもの。もしくはこうした前段をすっ飛ばすことができるファストブレイクくらいか。
新潟からすれば、自陣からのビルドアップでの前進に加えてハイプレスからのファストブレイクにも光がある形。チャンスに偏りがある前半。ホームの新潟により手ごたえがある形で試合はハーフタイムを迎える。
後半もいいペースで進めたい新潟は保持から試合を始めていく。2トップ脇に人を積極的におろしながら前半以上に安定したパスワークを見せて、柏を苦しめていく。
一方の柏も縦一辺倒だった前半に比べればパスワークで幅をとれるようになり、安定感が出てきたといえるだろう。新潟のプレスが前からはまるケースは前半よりは減った印象だった。
しかしながら65分を境目に柏はプレッシングが燃料切れ。再び、新潟がボールを持つターンが増えてしまい、支配を新潟に引き戻されてしまうように。
押し込む状況、そしてホームというシチュエーションを考えれば、何とか勝利を挙げたかった新潟だが、最後まで柏を崩し切ることができず。試合はスコアレスドローのまま、勝ち点1を分け合う結末で幕を下ろすこととなった。
ひとこと
流れをつかむのに右往左往してしまい、最適化するのに時間がかかった印象の柏だった。
試合結果
2023.5.7
J1 第12節
アルビレックス新潟 0-0 柏レイソル
デンカビックスワンスタジアム
主審:池内明彦