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「Catch up J1 League」~2023.5.31 J1 第11節 浦和レッズ×サンフレッチェ広島 ハイライト

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違う引き出しを開けた同点弾

 湘南相手に連敗を止めることに成功した広島。上位勢に遅れをとったが優勝争いに食い込むためにはここから巻き返していきたいところ。ミッドウィークに組まれた今節の相手はACL絡みの未消化のリーグ戦という広島とは異なる理由で上位を追走する浦和である。

 端的に言えば、蹴りあいになった一戦といえるだろう。3-4-3と4-2-3-1というかみ合わせが悪い一戦は非保持側の頭を悩ませることになる。浦和がとった作戦はトップのカンテと安居を明確に縦関係にすること。つまり、広島のCBにボールを持たせることを許容し、中央を封鎖する方針である。

 広島は浦和が手厚く守っている中央を切り崩しにはいかなかった。バックラインがドリブルで駆け引きはせず、とっとと蹴り飛ばしてしまう。よって、試合は広島の前線と浦和のバックラインが削りあうような展開に。広島の前線のけん引役となったのはベン・カリファ。右に流れてのポストから何とか味方をフリーにしようとする。

 一方の浦和もバックラインから早めの前線へのフィードで勝負をかける。こちらはCHが前後分断をしていたことを見ると、ある程度あえてなのだろう。エリアに攻め込む伊藤と後方でビルドアップに関与する岩尾で機能がはっきりと分かれていた。

 後方からはショルツがロングボールでカンテを狙う。ポストプレイヤーに対する落としの準備などの前線にボールを送った後の振る舞いについては浦和の方がよく準備されていたように見える。

 ただし、後方からの押し上げを一手に引き受ける選手が浦和にはいないのが悩み。カンテはポストはうまいけど、キープして攻め上がりの時間を作ったり、自らが前に運んだりするタイプではない。前後が分断する状況では大きなチャンスを作るのは難しい。

 スコアレスで迎えた後半はさらにスローな流れになった。よって、前半に引き続き両チームともきっかけを探しつつ、地道なロングボールを刺していく隙を探す展開になった。

 この形からブレイクスルーをみつけたのはアウェイの広島。ハーフタイムに入ったドウグラス・ヴィエイラのポストから抜け出したのは川村。この試合に足りなかった縦への推進力を生かした形から最終ラインを突破。川村は一気にラインブレイクを決めて森島にアシストを決めた。

 反撃に出なくてはいけない浦和はモーベルクを軸としたファストブレイクで広島を速攻で攻略にかかる。その過程で大迫が負傷をするなど、広島には苦しめられるアクシデントが発生した。

 浦和の手ごたえとしてはブロック守備攻略よりもWGを生かしたファストブレイクの方がいい感じではあった。だが、この試合で浦和が同点弾を決めたのは定点攻撃。横パスを受けた伊藤が佐々木の背後をとった酒井にラストパスを出し、角度のないところからゴール。おそらくこの試合の中でもっともうまくいったであろう浦和の定点攻撃で試合は振出しに戻る。

 前進のきっかけをつかめない広島はプレスで反撃に出るが、これは前後分断を誘発。リスクを冒した分、酒井のロストからの決定機などもあったが、基本的にはボールを運ばれた時のデメリットが大きくなる方向性だったといえる。

 3枚替えで前線のストライカーを増やした浦和はアバウトなクロスを許容するように。決勝点はまさしくその方向性が実った形。大久保が締まらないクロスを上げてばかりの右サイドで酒井がようやく様になるクロスを上げると、これをリンセンが折り返して伊藤が押し込む。

 広島は最後までセットプレーを中心とした逆転を狙うが最後まで刺さらない。後半を優勢に進めた浦和が逆転勝ちで上位追走に成功した。

ひとこと

 いわば中盤がない試合だったので、アバウトな流れの中でエース周りの機能性をどれだけ整えられるか?という感じの展開だったかなと思う。その中で少しテイストが違ったのは浦和の1点目だったので、異なる引き出しを持っていた分の差がこの試合を分けたようにも思えた。

試合結果

2023.5.31
J1 第11節
浦和レッズ 2-1 サンフレッチェ広島
埼玉スタジアム2002
【得点者】
浦和:72‘ 酒井宏樹, 90+2‘ 伊藤敦樹
広島:50’ 森島司
主審:飯田淳平

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