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「Catch up FA Cup」~2023.1.29 FA Cup 4回戦 ブライトン×リバプール ハイライト

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勝負の10分の先に千両役者が待ち構える

 リーグ戦では圧倒的なワンサイドゲームを見せてリバプールの完全粉砕したブライトン。リバプールからすると、正直CLとリーグ戦以外に手を出している余裕はないような気もするのだが、FA杯の組み合わせの妙により負けられないマッチアップになってしまった感がある。

 立ち上がりから両チームは前回対戦のような殴り合い。エストゥピニャン不在の左サイドの裏をとるサラーと、反撃で三笘が裏を取り返すという流れ。「サラー対三笘」という地上波サッカー中継が思いつきそうなキャッチコピーが浮かんでしまうほど両者を中心とした殴り合いとなった序盤戦だった。

 試合は徐々にブライトンが支配するように。主導権の決め手になったのは攻撃ルートの豊富さである。前回対戦においてリバプールはサラーをCBにつけさせたために、放置されたエストゥピニャンからの前進ができていた。しかし、今回はサラーは右サイドに常駐。前回使えたルートが封鎖された代わりにCBが放置されることとなった。

 そうした中でうまく駆け引きをできるのがブライトンの強さである。自由にボールを持てるバックラインから積極的に裏を狙っていくCFと三笘。エストゥピニャン経由以外の出口でブライトンがゴールに迫る。三笘の斜め方向のゴールに向かう裏抜けとコナテを引き寄せるために前線に残るファーガソンの連携がすでに構築されているのは見事の一言。

 トランジッションにおいては右サイドのマーチも健在。後方のランプティもエリオットとの駆け引きからWGの背後で受けるプレーを作り出し、右サイドの攻撃ルート構築に貢献した。

 裏抜けはサラー一辺倒だったリバプールだが、前半の中盤からはややテイストを変えた攻撃をみせて反攻。キーになったのはケイタだ。早めの右サイドフォローで定点攻撃を補強。さらに先制ゴールのシーンにおいては、囲まれた状態から裏に抜けるサラーに動線を敷くなど、高い攻撃性能を見せた。

 先制点を奪ったエリオットも素晴らしい働き。中盤でのボール回し参加による数的優位創出と、ガクポを追い越しての抜け出しの二役をうまく使い分けており、先制点以外にも決定的なチャンス創出に貢献する。ガクポのファジーな動きもブライトンのDFラインが乱れることにつながっており、黒子役としていい働き。リバプールは前回対戦時のようなオフサイドを連発することはなかった。

 試合はCKからランプティのミドルを起点としたゴールで前半のうちにブライトンが追いつく。やや運のいいゴールだったが、スコアとしてはドローは腹落ち感がある。ともに保持における攻撃手段が多く、見応えのある前半となった。

 後半、再三抜かれたいた三笘への対応はよりコナテが積極的に行うように。アレクサンダー=アーノルドが抜かれることを前提で組むのは理解ができる。保持面では残したい選手であることは確かだし。

 三笘への対策はある程度手を打ったリバプールが後半の頭はやや主導権を握った印象。保持においては右サイドのプレスをサラーなしで完結するようになったし、中央ではガクポの持ち運びからのチャンスメイクも見られるようになった。

 押し込まれたブライトンは両翼を持ってしてもなかなか陣地回復ができない我慢の時間帯を迎えることになる。リバプールは畳み掛けるようにヌニェスをはじめとする3枚替えでこの勢いを強める。プレッシングを一段階強化して、ハイプレスで一気に試合を仕留めにかかるための采配だ。

 ブライトンからすれば、リバプールが3枚の交代カードを投入してから10分ほど粘ることができたのが大きかった。今のリバプールのハイプレスはそう長くは続かないし、今のブライトンのビルドアップであれば、大抵の勢いのあるプレスは10分ほどで見切ることができる。リバプールが3枚替えをしてからの10分はこの試合を大きく左右するものだった。

 10分を凌ぐことに成功したブライトン。以降の試合はオープンでフラットかややブライトンよりのペースに。しかしながら、アタッキングサードにおけるボールのズレが多く見られてしまい、なかなか普段ほどスムーズにエリアに侵入することができない。

 混沌としてきた展開に終止符を打ったのは三笘薫。フリーキックでファーから折り返されたボールを見事にコントロールし、目の前のゴメスをどかすと、アリソンが対応しきれないゴール隅にシュートを押し込んで見せた。

 リーグ戦と同じくまたしてもリバプール相手に決定的な仕事をした三笘。もはやブライトンだけでなく、プレミアリーグにおける後半戦の主役の1人と言っても差し支えないだろう。

ひとこと

 勝敗を分けたのはやはりリバプールがハイプレスを仕掛けた時間帯にスコアが動かなかったこと。クロップは賭けに負けたようなものである。退場まがいのファウルが多かったのも、ホームスタジアムの観客の応援に油を注いでしまったかもしれない。いずれにしても、この日の主役は三笘であることに相違はない。流れが二転三転する試合を千両役者が出てきて締めるという貫禄すら感じさせるパフォーマンスだった。

試合結果

2023.1.29
FA Cup 4回戦
ブライトン 2-1 リバプール
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:39′ ダンク, 90+2′ 三笘薫
LIV:30′ エリオット
主審:デビッド・クーテ

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