沼には引き込めなかったが
順位表の上では15位と16位。しかしながら両チームの勢いは大きく異なる。直近4連勝中で残留争いからやや蚊帳の外に脱出しかけている15位のG大阪と1チームでも多く残留争いに引き込みたい16位の横浜FCという構図の一戦である。
前節の京都戦と同じく、横浜FCが目指すのは整った盤面での攻略よりも肉弾戦。自陣から仕掛けていくロングボールにはそうした狙いが見て取れた。
G大阪は敵陣でのプレスをかけても蹴られてしまうのが悩みどころ。よって、ベースとしてはリトリートでWGが低い位置まで下がって自陣のブロックをプロテクトする選択肢を選ぶ。
横浜FCからすればボールを持つ機会を与えてもらうのならば、自陣からズレをポゼッションでズレを作るアクションを見せておきたいところ。ララと井上がサリーやサイドに流れながらズレを作ろうと相手を動かすアクションを仕掛けていく。
横浜FCの保持においては前線のうち食いつきがよく、戻りが遅いアラーノは狙い目だったが、G大阪は中盤がスライドして対応。左右アシメながらもバランスのいいスライドが効いているあたり、ある意味織り込み済みの仕様なのだろう。
よって、横浜FCはポゼッションよりも前線に素早く渡す形の方が有望だった。マルセロ・ヒアンの馬力は引き続き有望ではあったが、点で合わせられるようなプレーが生み出されず、なかなかゴールには直結しない。
G大阪も速攻の機会は多くなかったがサイドに流れるジェバリに合わせるようにほかの選手がインサイドに入っていく形を作れていて、それなりに脅威になっていた。
横浜FCはG大阪に比べて重心を下げてリトリートの陣形を組むことが多かった。アンカーのネタラヴィを抑えていたヒアンも、サイドに位置を移動するネタラヴィを逃がしてしまったため、左右への配球にはあまり問題はなさそうだった。
サイドへの押し込みとトライアングルの関係性づくりはG大阪にとってお手の物。前半中盤から押し込む機会を作ることができたG大阪が主導権を握って試合を進めていく。
後半のスタートは前半と同じくロングボールの応酬が続くタフなもの。なかなかチャンスを作れない両チームだったが、60分付近に決定機を作るG大阪がだんだんペースを握っていく。ジェバリのヘッドや半田のミドルなど、ブローダーセンの守るゴールマウスが脅かされる機会は増えた。
特にジェバリのヘッドのパターンは後半のG大阪の頻出の形。右サイドからファーを狙い空中戦で優位をとることで折り返しからゴールを押し込むことを目指していた。
一方の横浜FCはチャンスが遠い。選手を入れ替えても攻撃は活性化せず。この辺りは宇佐美等の交代選手がカウンターの威力増加に貢献していたG大阪とは異なる部分だろう。大外からクロスから終盤に少しずつチャンスを手繰り寄せる横浜FCだが、G大阪のカウンターの脅威にさらされる機会もその分多い終盤戦となった。
試合は結局痛み分け。できれば3ポイント欲しかった横浜FCだが、試合展開的にも1ポイントを積み上げたという事実も悪くない結果だったのではないだろうか。
ひとこと
局面局面で優位に立ったG大阪にとってはややもったいない試合内容だったが。地力がついてきたことを感じさせる内容だったが、押し込みでのサイド攻撃から高さに頼らない設計の緻密さをもうすこし模索してもいいかもしれないと思った。
試合結果
2023.7.1
J1 第19節
横浜FC 0-0 ガンバ大阪
ニッパツ三ツ沢球技場
主審:福島孝一郎