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「Catch up J1 League」~2023.7.16 J1 第21節 サンフレッチェ広島×横浜FC ハイライト

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忍者ムーブで面目躍如

 前節はコロナに多くの選手が感染したこともあり、苦しい布陣で鹿島から勝ち点1をなんとか奪い取った広島。前節に比べれば今節は比較的メンバーも揃い、十分に戦うことができる陣容だといえるだろう。

 序盤は落ち着かないロングボールが続く展開。もっとも、この流れは横浜FCにとっては織り込み済みといえるだろう。棚田を先頭に置く広島のプレス隊は横浜FCのバックラインに対してそこまでプレッシャーをかけることはしなかったが、それでもマルセロ・ヒアンに対してロングボールを積極的に放り込んでいた。

 広島の守備陣で目立っていたのは荒木。相手が外国籍選手だろうとお構いなし。おなじみの強靭なフィジカルで単調なロングボールはすべて彼の頭によってはじき返されていた。

 徐々に試合は広島がポゼッションから押し込んでいく展開に。WBにボールをつけてサイドからの切り崩しを狙っていく。前から食いついていけばミラー的にマンツーで潰せる横浜FCだが、マルセロ・ヒアンがプレスを自重するなど、前から嵌めてのプレスを仕掛けていく様子はあまり見られなかった。

 サイド攻撃をアシストしていたのはCFに起用された棚田。ヴィエイラやソティリウと比べても、かなり高い頻度でサイドに流れる。なお、これが仕込みかやりすぎなのかは不明である。いずれにしてもボックス内にCFが留まらない不具合は少々気になるところであり、サイドを崩しても出口がよくわからなくなってしまうというのはこの試合の広島の苦しいところ。

 チャンスらしいチャンスといえば、野津田から左サイドに時間を与えるようなパスくらいだろうか。左サイドで東がラインを押し下げるような働きを見せることができれば、棚田はボックス内にとどまることができる。広島はシャドーの左右を入れ替えることで利き足に変化をつけてはいたが、ボックス内にクロスを入れる部分の設計では物足りなさが残った。

 ゴールに迫る精度という意味ではロングカウンターに注力した横浜FCの方が可能性はあった。荒木を避けることだけフォーカスすれば、カウンターにもっていくことはそこまで難しくはない。特に、山下はサイドの裏抜けと降りるアクションを交互に行うことで、広島のブロックを縦に揺さぶっていく。

 特に抜け出す方のアクションはマルセロ・ヒアンの決定機を生むなど非常に効果が高かった。広島はボックス内でこれだけクリーンなチャンスを迎えることができていなかったため、カウンターで迎え撃つ横浜FCの方が優勢だった。

 迎えた後半も試合の構図は同じ。広島がポゼッション、横浜FCがロングカウンターに注力する展開となった。

 しかしながら、前半とは微妙にパワーバランスが異なる展開に。横浜FCがロングカウンターから押し返すことが明確にできなくなったというのが最も大きな変化の1つだった。跳ね返しの中核だった荒木が佐々木との接触や足を気にする素振りなどを受けて負傷交代するなど広島には不安要素もあったが、ハーフウェイライン付近から横浜FCのロングボールは跳ね返され続ける展開に。これで横浜FCは攻め手が見えなくなった。

 さらにはアタッキングサードに川村が積極的に侵入することで横浜FCはボックス内でも徐々に後追いに。左サイドを軸としたサイド攻撃に、よりボックス内で勝負する気配が強かったソティリウを入れることで、横浜FCのゴールをこじ開けに行く。

 終盤までずっとこの流れは続いたが、なんと先制したのは横浜FC。右サイドに交代で入った近藤が同サイドをちぎると、ゴール前に流したグラウンダーのボールを押し込んだのは林。両WBを使った幅を使った攻撃で終了間際に勝ち越しに成功する。

 焦る広島の中で冷静にヒットマンぶりを見せたのは柏。ブローダーセンからボールを忍者のようにかっさらい、ソティリウのゴールをアシストするという信じられない結末を見せて、試合は後半追加タイムに振り出しに。林の先制点の場面において、近藤に振り切られてしまったのは柏だったので、本人としては胸をなでおろす結末だっただろう。

 どうしても欲しかった勝ち点3をすんでのところで逃がしてしまった横浜FC。内容的には後半は苦しい展開ではあったが、失点の仕方を含めて悔しい幕切れとなった。

ひとこと

 柏の忍者ムーブ炸裂はよかったが、失点シーンの対応の拙さはそれを差し引いても気になるところだった。

試合結果

2023.7.16
J1 第21節
サンフレッチェ広島 1-1 横浜FC
エディオンスタジアム広島
【得点者】
広島:90+4′ ピエロス・ソティリウ
横浜FC:86′ 林幸多郎
主審:木村博之

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