■理想は保持で制御、現実はド派手な撃ち合い
サウジアラビアの投資ファンドとニューカッスルファンの期待を一身に背負ったエディ・ハウの初陣。肝心の本人はまさかのコロナ陽性(ただし無症状っぽい)ということで、ベンチに不在というなんとも締まらないものだったが、ボーンマスで見せてきたショートパス主体のスタイルがニューカッスルとどう融合するのか楽しみにしているファンは多かったはずだ。
だが、そんなことを確認する以前に試合は落ち着かない立ち上がりになる。前半早々にセットプレーからラッセルズが先制点を奪い、好スタートを切ったニューカッスルだったが、直後のプレーでトニーのシュートをダーロウが痛恨のファンブル。あっさりと同点に追いつかれてしまう。
1-1で試合が少しトーンダウンすると、徐々にニューカッスルはエディ・ハウ色が出てくるように。展開力に優れたシェルビーと推進力に長けたウィロックの組み合わせはいかにもエディ・ハウらしい保持局面を重視した人選。従来よりもスローにボールを回し、前線ですらジョエリントンのポストから前を向く選手を作る丁寧さ。サン=マクシマン頼みからの脱却を図るアプローチが見られたニューカッスルの保持である。
だが、両チームとも最終ラインの危うさが目につく分、この試合に関しては丁寧な前進よりもダイレクトな流れに乗る方が向いていたのも確か。どちらもバックラインの対応は怪しかったが、トニーとムベウモがポストで起点になったところからのブレントフォードの攻撃が確立されている分、ニューカッスルの方がやや守備で危うさが合ったように思う。CHに守備でフィルター役になることは期待できず、ウィロックは保持でもあわやというボールロストを犯すなどイマイチ波に乗れない。
ある程度押し上げたところからジャネルトがサイドチェンジを行いWB→WBの攻撃を完結させたブレントフォードが逆転。ヘンリーのゴールで2-1に。だが、これはすかさずやり返したのはジョエリントン。ニューカッスルは即座に同点に追いつく。
後半にいけばいくほど、試合はエディ・ハウ流の保持で制御したいスタイルから離れていくように。アップテンポで撃ち合いになった中で先に点を奪ったのはブレントフォード。こちらはややラッキーな形でラッセルズに当たったシュートがラッキーな形でゴールに吸い込まれていった。
ブレントフォードに先行を許すニューカッスル。だが、ニューカッスルは保持で落ち着いたスタイルにチャレンジこそしているものの、アップテンポな戦いが彼らに向いていないわけではない。
むしろ、この速い展開はサン=マクシマンの独壇場。ゴール前のシーンが無条件に増えるこのような試合は彼のダイナミズムさは増す一方。75分に同点弾を決めて、新監督下でも変わらない存在感を示して見せた。
ド派手な撃ち合いとなった一戦は3-3のドロー。未勝利を脱することはできなかったニューカッスル。新監督の下で早めに今季の初勝利をあげたいところだが・・・。
試合結果
2021.11.20
プレミアリーグ 第12節
ニューカッスル 3-3 ブレントフォード
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:10′ ラッセルズ, 39′ ジョエリントン, 75′ サン=マクシマン
BRE:11′ トニー,31′ ヘンリー, 61′ ラッセルズ(OG)
主審:ロベルト・ジョーンズ