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「揺さぶりは自分たちの特権」~2023.3.4 プレミアリーグ 第26節 アーセナル×ボーンマス プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第23節
2023.3.4
アーセナル(1位/19勝3分3敗/勝ち点60/得点56 失点23)
×
ボーンマス(19位/5勝6分13敗/勝ち点21/得点22 失点48)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でアーセナルの7勝、ボーンマスの1勝、引き分けが2つ。

アーセナルのホームでの対戦成績

 過去5戦はアーセナルの全勝。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • アーセナルは過去6試合の公式戦でのホームでのボーンマス戦に全勝。17得点2失点。
  • ボーンマスはアーセナルとの公式戦13戦で1勝のみ(D2,L10)。クリーンシートは1回だけ。

スカッド情報

Arsenal
  • トーマス・パーティには3週間ぶりのスターターの可能性。
  • ミッドウィークの試合終わりに足を引きずっていたエディ・エンケティアは当日評価。
  • 膝の怪我をしているモハメド・エルネニー、ガブリエル・ジェズスは欠場。
Bournemouth
  • マティアス・ヴィナ、ジュニオール・スタニスラス、マーカス、タヴァニアは当日評価。

Match facts from BBC sport

Arsenal
  • 25試合を終えての勝ち点60は03-04に並びチーム史上最多の勝ち点。
  • 25試合での60ポイントを記録して優勝できなかったプレミアのチームは過去に3つしかない。18-19のリバプール、07-08のアーセナル、95-96のニューカッスル。
  • 直近8試合の昇格組との試合に全勝。最後の敗戦は昨季の開幕戦であるブレントフォード戦での2-0。
  • 4試合連続でクリーンシートを達成した2021年の12月以来のホームでのリーグ戦での連続クリーンシートを狙う。
  • 直近17試合のエミレーツの試合においてクリーンシートは3つだけ。
  • マルティン・ウーデゴールは直近6試合の昇格組との対戦で7得点に関与(5G,2A)。うち2得点は今季はじめのボーンマス戦
  • エディ・エンケティアはリーグ戦での出場100試合まであと1試合(17試合はローンに出ていたリーズで記録)
Bournemouth
  • 2月18日のウルブス戦での勝利により、ワトフォードとフラムを撃破した2018年10月以来のプレミアリーグでのアウェイの連勝を狙う。クリーンシートをアウェイで連続で達成したのもこの時が最後。
  • アウェイでの32失点はリーグ最多。
  • プレミアにおいてその日の初めにリーグの首位にいたチームとの対戦は8戦全敗で27失点を喫している。また今季はリーグトップハーフのチームとの対戦で13試合未勝利(D4,L9)
  • ドミニク・ソランケは直近のリーグでの10ゴールのうち、8ゴールをアウェイで決めている。直近5つのゴールは全てアウェイのもの。

予想スタメン

展望

コンパクトではあるが、コンパクトであり続けられない

 前々節にウルブスに勝利し、ようやくW杯再開後初めての勝利を飾ったボーンマス。この勢いで降格圏を脱したいところではあったが、前節彼らの前に立ちはだかったのはディフェンディングチャンピオンのマンチェスター・シティ。前半だけで3失点とめったうちにされたことにより、後半は勝敗と少し違うところで試合が進んだ感があった。

 そして今節の相手はアーセナル。2週連続で過酷なチームとの対戦ということになる。エミレーツでの一戦はボーンマスにとっては踏ん張りどころである。

 ボーンマスはフォーメーションを試合によって変えるチームではあるが、戦い方自体はそこまで大きく変わるチームではない。基本的には極端にローラインなブロックは使わないし、ロングボールをすぐに蹴って相手にボールをすすんで渡すようなこともしない。

 対シティ戦の振る舞いを比較すればわかるだろう。ボーンマスの前の節にシティと戦ったフォレストは徹底的なローラインで自陣に引いていた。だが、ボーンマスはミドルゾーンで粘ることを選択した。フォレストはボールを奪ったらすぐに右サイドの裏(ベルナルドが守っていたサイドだ)にボールを送るが、ボーンマスはそこまで直線的ではない。

 かといってどんな相手に対しても繋ぐ!というほどショートパスにこだわりがあるわけではない。彼らは普通にロングボールを使う。対戦相手によってスタイルの振れ幅が小さいチームと証言するのが妥当な感じがする。

 守備においてはフォーメーションは違えど3ライン型になる5-4-1か4-4-2を好む。意識しているのは縦方向のコンパクトさだろう。ライン間のスペースを閉じながら間に入ってきた選手を潰すというのが彼らのコンセプトと言える。コンパクトではあるが、ブロックの外側の選手に対するケアは限定的。よって、一発で裏に抜けられる動きに対してはあまり強くはない。

 逆に前から選手を捕まえようとすると後方がついてこない。コンパクトな基本陣形の割にはコンパクトな形を維持するのはあまりうまくはない。ここまでリーグ最多失点というのはそれなりに訳がある。得意な守備の形があまりにも限定的なのだ。

 ライン間のコンパクトさを問題なく維持できる相手ならばいいのだろう。たとえばビルドアップで自陣に引き付けてこなかったり、あるいは積極的に裏をとらなかったりなど。だが、そんなチームはプレミアではなかなかお目にかかることができない。よって守備で苦戦するのは当然の帰結となるだろう。

 保持においては冬を超えて向上が見られる。新加入選手の中で目を引くのはワッタラ。加入後速やかにスタメンを飾り、右のWGとして定着。スムーズで淀みのないドリブルはカウンターでボールを前に進めるという役割を非常に堅実にこなしている。

 左のSHのトラオレも新戦力。W杯明けから存在感を放ち出したアンソニーも含めると開幕直後からSHの層はかなり厚くなったと言えるだろう。

 ただ、攻撃の核は新戦力ではなくソランケだ。稼働率には難があるものの、起用さえされれば前線の起点としての働きはピカイチ。とてもよく収まる選手であり、中央とサイドの両方をプレーエリアとできるのも心強い。彼がいるのといないのとでは攻撃のグレードが2~3ランク上がるイメージである。ボーンマスの残留戦線は彼の稼働率が左右するといっても過言ではない。

 ソランケにボールを当てて2列目が前を向く。そこから逆サイドへの展開というスタンスはボーンマスの攻撃のパターンとして確立されている。左のゼムラのオーバーラップを活用するとさらにサイド攻撃の威力は増す。よって、右→左の形が攻撃としては理想的だ。彼のオーバーラップの活用は相手チームの警戒すべきポイントとなる。

横スライドへの食いつきの良さは利用されたくない

 アーセナルからすると、まずはボーンマスの攻略の基本パターンを忠実に行いたい。つまり、コンパクトなラインを広げるというアクションを行うということである。

 バックラインが深い位置をとり、相手がついてくるかどうかを観察。ついてくるのであれば彼らがついてきたことで空けたスペースを使う。ついてこないのであれば、まずは裏にボールを送る。きっちりと動きながら収めるという役割をこなしてほしいのでコンディションが整っていればエンケティアをスタメンに戻すタイミングとしては悪くないのかもしれない。

 後方からのパスを放置して裏をとられるのであるのだから、危ない場面が増えれば前に出てきてプレスをかけようとする。こうなればようやくライン間の攻略を始めればいい。コンパクトなものをコンパクトなままで横着して攻略しようとしない。きっちりと広げてから攻め込む。それを大事にしたい。

 守備においては動きながらの起点作りが上手いソランケをどうケアするかが重要なポイント。サイドに流れる動きも多いので、どこまで動けるのかは難しいところ。ビリングのようにもう1枚空中戦が強いタレントがいることも想定できるので、中央を開けていいかの判断は場合による。

 ボーンマスはアタッカー陣の横のレーン移動が上手いので、レーンをクロスするような動きに気をつけたい。アーセナルのようにバックラインの横スライドの感度が良いチームならば尚更だ。横方向に逆の動きを取られるのは警戒したい。

 手薄なサイドを作られてしまったらボーンマスはそこからきっちりと攻略ができるチーム。自分たちはきっちりと縦に揺さぶるけども、相手には横には揺さぶらせない。揺さぶる動きを自分たちだけの特権として、連勝をさらに伸ばしたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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