Fixture
プレミアリーグ 第28節
2023.3.19
アーセナル(1位/21勝3分3敗/勝ち点66/得点62 失点25)
×
クリスタル・パレス(12位/6勝9分12敗/勝ち点27/得点21 失点34)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアーセナルの3勝、クリスタル・パレスの2勝、引き分けが5つ。
アーセナルホームでの成績
過去10回の対戦でアーセナルの5勝、クリスタル・パレスの1勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- アウェイでのアーセナル戦においてクリスタル・パレスは直近22試合で2勝。1994年10月のハイバリーでの2-1と、2019年4月のエミレーツでの3-2。
- しかし、アーセナルは直近4年連続でホームのパレス戦でポイントを落としている。先に挙げた2019年の敗戦以降は3年連続で引き分け。
スカッド情報
- 冨安健洋とウィリアン・サリバはELで負傷交代。サリバの負傷は日曜日までに解決する可能性もある。
- U-21のヘッドコーチであるパディ・マッカーシーが指揮を取る見込み
- アルベルト・サンビ・ロコンガは所属元クラブとの対戦なので起用不可。
- ウィル・ヒューズ、ジェームズ・マッカーサーは病気により出場可否が不明。ビセンテ・グアイタはフィットしない見込み
Match facts from BBC sport
- 勝てば10試合を残して昨季の勝ち点に並ぶ。
- 勝てばリーグ6連勝となり、10月−12月にニューカッスルが達成した今季の連勝記録に並ぶ。
- 6連勝はアルテタ政権下における最多連勝記録にも並ぶ。
- 1シーズンのロンドンダービーで9勝を挙げる初めてのチームになる可能性。今季のロンドンダービーでは9試合のうち、ホームのブレントフォード戦での引き分け以外は勝ち点を落としていない。
- レアンドロ・トロサールは9試合のアーセナルのリーグ戦出場で1ゴール、5アシスト。
- 2016年の14試合以来のリーグ戦連続未勝利記録を継続中。現在は11試合。
- 2023年における勝ち点5、4得点、26本のシュートはいずれもリーグ最低。
- リーグ戦では4試合連続ゴールがなく、2023年において前半にゴールを決めた試合はない。
- 昨季の12敗にすでに並んでいる。
- その週のはじめにおけるトップハーフとの対戦は17試合勝ちがない(D8,L9)
- ウィルフリード・ザハは直近10試合のリーグ戦の出場でゴールがない。
- ジョー・ホイットワースは19歳15日で水曜のブライトン戦でデビュー。2005年のサンダーランドのベン・アルンウィック以来最も若くしてプレミアに出場したGK。
予想スタメン
展望
ロコンガのパフォーマンスが意味するもの
エバートン戦に続きまたしても直前の監督解任である。代表ウィーク直前、そして中3日の間隔での解任というのは個人的にはかなり緊急性を持った決断のように思われる。それがいいことなのか悪いことなのかは不明だけども。
いずれにしても2023年にパレスは勝てておらず、12位ながらも残留争いに巻き込まれつつあるのは確かである。いくらパレスの日程がきついとはいえ、成績だけ見れば解任は妥当なのだろう。
チームのイメージとしてはそこまで極端にダメな出来だったわけではないように思う。ただ、プレミアのチームは良くも悪くも波がありつつ前に進んでいくところがあるので、ずーっと少しよくない状況が続くというチームはそこそこ珍しいのかもしれない。
基本的なフォーメーションは4-2-3-1を採用している。直近で苦心しているのはCHの組み合わせである。退場による出場停止をくらったドゥクレ、序列的にもコンディション的にも怪しさが漂うヒューズなどそれぞれの意味でパフォーマンスが安定しない。
シーズン途中までCHのレギュラーを務めていたシュラップはロコンガの加入以降は2列目として計算されている。そのロコンガはこの試合では起用することができない。おそらく1枚はドゥクレなのだろうが、相方が誰になるかは難しいところ。ミリボイェビッチだろうか。
ロコンガは確かに堅実な仕事をしているように映る。アーセナル時代における明確な穴のような存在にはなっていないし、レギュラーとして試合に出続けているということはチーム側としてもそのように高い評価をしているということだろう。
だが、目を見張る会心の出来かと言われると微妙なところである。守備においての安定感はそもそもパレスのMFの守備範囲がアーセナルのそれと比べて明らかに狭いことが影響しているように思う。ブライトン戦は比較的積極的にボールを狩りに行っていた試合だが、その展開においてロコンガが持ち味を発揮していたか?と言われるとなかなか頷きにくい。余談だが、この試合のハーフタイムのドゥクレ→エゼの交代は負傷でなければヴィエラらしくない采配なので、結果が彼の去就を大きく左右だったのかもしれないなと個人的には感じた。
ロコンガに話を戻すと、今の彼はある程度判断の裁量を減らすことで安定感を増しているようにも映る。ゲームメイクにおいてもそうだ。要所で光るところは見せるものの、加入初年度のプレシーズンのような流れるような舵の取り方ができているわけではない。監督が代わって不安定な時期に突入するが、こうした部分でも存在感を増すことで来季以降の自身のキャリアの選択肢が広がるシーズン残り数ヶ月を迎えてほしい。
DFラインの負傷者が与える影響を考える
ロコンガの現状はパレスのチーム全体の問題点を表しているように思う。無理をしないブロック守備においては安定感がある。不調のチームにしては明らかに失点数は少ない。2023年に勝てていない11試合のうち、複数失点を喫しているのはトッテナム戦とマン・ユナイテッド戦だけである。きっちりと固めればそれなりに守れるチームである。
その一方で能動的に相手からボールを奪いに行ったり、自分からゲームを組み立てるアクションが苦手なのだろう。そういう意味ではアーセナルやシティのように裏のスペースを空けてくれるチームは今のパレスにとってはありがたい部分もあるだろう。割り切った局面の方がやりやすいチームのように思える。
暫定監督からしたらわずかな準備期間でアーセナルを迎えるという状況も撤退してカウンター一発狙いという形と心中する決意もしやすいだろう。できることはあまり多くはない。
アーセナルからすると逆にあまりありがたくない展開での対戦ということになる。もちろん、監督ブーストという見えない力的な話も嫌ではあるのだが、やはり気になるのはDFラインの負傷者の方である。上のような展開が想定されるのであれば、ザハやオリーズのようにスピード感のあるアタッカーが広いスペースでアーセナルのDF陣と対峙する形でパレスの攻撃は進むことになるだろう。
仮にサリバが間に合わないのであれば、おそらくホールディングがRCBに収まることになるだろう。彼はこうした局面があまり得意なDFではない。ただ、希望がないわけではない。FA杯のシティ戦ではオールコートマンツーという超苦手な局面においてハーランド相手に45分は粘ることができていた。前を向かせる前に体を当てて、パレスのアタッカー陣が加速する前に対応することを地道に続ければなんとかなる可能性は十分にある。スポルティング戦を見る限り、今季不安定だったPA内での守備でのフィーリングが良さそうなのも好材料である。
となると、彼の起用により不安なのは意外と攻撃面かもしれない。おそらく、パレスはアーセナルのCBを放置するだろう。持たされた時にできることが少ないホールディングでは右サイドのボールの供給は滞る可能性がある。
それを踏まえると、保持で狙い目にしたいのは左サイド側である。このサイドでの先発が予想されるオリーズは守備で戻りはするのだが、出て行き過ぎてしまったり、ファウルを犯してしまったりなどでやや後手に回ることが多い。アーセナルの供給的な意味でも、パレスの狙い目的な意味でもこちらのサイドを積極的に狙うプランは悪くないかもしれない。
CFにトロサールやジェズスの起用の目処が立ちつつある今、左サイドにはマルティネッリを戻しやすい状況が整っている。4バックのパレスに対してはきっちりと大外、手前、ハーフスペースの裏抜けの関係性を形成し、オーソドックスなサイドの崩しを徹底したいところ。
回避しなければいけないプレスにパレスがあまり積極的ではないだろうという意味で、この試合のビルドアップの負荷はおそらくあまり大きくない。となれば、ジンチェンコにはよりPAに近いところでの仕事に専念してほしい。内外のレーン問わずにSBとして働くというこれまたオーソドックスな動きに彼のキック精度を掛け合わせれば、パレスのブロック破壊のジョーカーとなりうるかもしれない。
インサイドに保持において絞ることで機能不全となったジンチェンコ、ゴンサウヴェスのゴールに繋がるパスミスを犯したジャカ、PK戦で相手にストップをされてしまったマルティネッリ。アーセナルの左サイドはスポルティング戦で気になるプレーをした選手が多い。トーナメント敗退から切り替えてリーグ戦に臨むのであれば彼らの奮起は必要不可欠である。スカッド事情も彼らの活躍の必要性をさらに強調している。監督解任ブーストごと吹き飛ばすリバウンドメンタリティでシティを突き放す勝利を手にしたい。