長いトンネルをようやく越える
リーグ戦での最後の勝利は1月15日のクリスタル・パレス戦。チェルシーはもう1カ月半以上もリーグ戦の勝利から遠ざかっている。それどころかリーグ戦での最後の得点は2月11日のウェストハム戦。この試合を逃せばチェルシーはリーグ戦で1ヶ月ゴールがないことになってしまう。
加えて、チアゴ・シウバを失うという苦境に陥っているチェルシー。この試合でひねり出したのは3バックの採用だった。後ろに重くなりがちという問題点は今更であるし、この試合はフォファナとバディアシルという足元に自信がある2人がワイドのCBを務める。チェルシーはここ数試合の中では落ち着いてビルドアップを進められたといえるだろう。
バックラインに加えてエンソとコバチッチもビルドアップに参加。3CBに加えて5人のビルドアップ隊は左右にボールを散らしながら前進する。前後分断気味になるのはご愛敬だが、ここも4バックのリーズが大外を空けていたので効果的な配球だった。フェリックスの降りる動き、チルウェルの抜け出しなどこれまでの武器(前後分断気味だけど)も絡めながらチェルシーはうまく前進が出来ていた。
リーズはチェルシーの保持に対してどういう対策を取りたいのかはあまり見えてこなかった。2トップが無理にプレスに行かないといえば聞こえはいいが、プレッシャーのかからない中で外に展開されて危ないクロスまで入り込まれているのだから、我慢した結果の先に何も残っていないじゃないか!と言われても仕方ない状況ではあった。
奪ったら縦に早くという意識は悪くなかったとは思う。サマーフィルの突破はファウルを奪えていたし、アダムスとマケニーの中盤のデュエルも分は悪くない。
だが、カウンターでハフェルツが決定機を迎えるなど、チェルシーも早い展開はもってこい。後方のCBから中盤のデュエルに援軍が素早く来ることも踏まえると、リーズは速い攻撃で明確に主導権を握れたわけではなかった。
守備ブロックにおいてはクリバリの存在感が光った。加入当初の壁感のある守備でリーズの攻撃を次々とシャットアウト。ゴールに迫らせることはなかった。
迎えた後半も優勢だったのはチェルシー。ライン間のフェリックスから狭い幅を攻略し切ると最後はスターリングが決定機を迎えるなど、徐々にゴールに近づいている予感はしていた。
そしてゴールが決まったのはセットプレー。1か月弱ぶりとなる待望のゴールを決めたのはフォファナ。ようやくチェルシーが前に出ることに成功する。
リーズは失点以降はボールを持てるように。ただし、失点してもなかなかテンポが上がらない。ラターとアーロンソンの2人がプレスでスイッチを入れられないことが大きな要因に見える。これまでは放っておいてもプレスに出て行ったリーズの面々がビハインドでこれだけ動けないというのはあまり記憶にない。
それでもニョントとジョゼフの投入から徐々に前線に動きが出てくるようになったリーズ。終盤はチェルシー陣内で攻め込む時間を多く作れるように。チェルシーの交代選手はなかなか保持で存在感を発揮することが出来ずに苦しんでいた。
最後はメリエの枠内シュートまで飛び出したが、なんとかケパを中心にクリーンシートを死守。クリスタル・パレス戦以来1か月半ぶりとなる勝利で長いトンネルの脱出に成功した。
ひとこと
課題はあるし、リーズの出来の悪さに助けられたのも確か。それでも長いトンネルを抜けたことには意味がある。チアゴ・シウバの負傷を乗り越える手ごたえのある3バックが一定の成果を出したのは大きい。守り切るのはなんとかなる公算が付いたが問題はいかに得点を奪うか。ドルトムント撃破のポイントはここにかかっているだろう。
試合結果
2023.3.4
プレミアリーグ 第26節
チェルシー 1-0 リーズ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:53’ フォファナ
主審:マイケル・オリバー