■秋に到来するサンタクロース
前節はバーンリーに今季初勝利をプレゼントしてしまったブレントフォード。今節も同じく未勝利のノリッジとの一戦となった。
バーンリー相手にはフィジカルバトルを全面に押し出すスタイルの相性の悪さが如実に表れた印象だった。いわば、いつも通りのブレントフォードが見られなかったことが問題だった。
だけども、この試合のブレントフォードはそもそもの自分たちのスタイルを押し出すことが出来なかったように思う。高い位置からのプレスでDFラインという弱みを隠すのが彼らのスタイルなのだが、プレスの勢いがいつもと比べると明らかにスケールダウン。簡単にノリッジに運ばせる場面が目立つ。
攻撃においてもいつもとはテイストが異なる。WBが空きやすくそこまではボールを運べるものの、全体を押し上げるためのメカニズムがない。今までブレントフォードのWBがうまく攻撃に絡めたのはCFに一度当てて高い位置に進出してからボールを受けることができるからこそである。
この試合のブレントフォードはそもそも2トップへの長いボールを当てることをしなかったため、ほとんどこの形を作ることができなかった。おそらくGKがラヤでなくなったのは一因だろう。糸を引くようなフィードがなくなったのは攻撃面において大きな損失である。
それはそれとして気になるのはトニー。献身的な姿勢と競り合いをいとわない迫力はどこへやら。前半のトニーは無謀なタックルと生気を感じないパフォーマンスでまるで双子の弟がプレーしているかのようだった。
一方、がけっぷちのノリッチはむしろ保持でのやり直しなどいつもだったらできないところまで精力的にチャレンジ。ブレントフォードとは対照的なパフォーマンスとなった。保持の局面で効いていたのは左のSBのウィリアムス。左サイドのボールの預けどころして機能。対5-3-2で時間を与えられるSBとしての役割を全うし、左サイドからの前進に貢献した。
8分という開始間もなくだったノルマンのゴールはブレントフォードを押し込んでいる局面から。左サイドの突破からの跳ね返しをクリアミスしたのはここでもトニー。そのあとのボールに対する無関心さも非常に彼らしくないプレーである。
ノリッジの追加点は十八番であるプッキの抜けだしから。ようやく得意な形が今季のスコアにつながった印象である。逆にブレントフォードは負傷交代したイェルゲンセンのところから、交代したグッドが試合に入れず失点につながってしまった。
後半はトニーが自分が何者かであるかを思い出しブレントフォードが勢いを取り戻す。こちらも得意パターンであるファーへのクロスを多用しながらノリッジを押し込むように。まさしくファーへのクロスでヘンリーが一点を返したものの反撃もそこまで。
前節に引き続き、未勝利勢に初勝利をプレゼントしたブレントフォード。ユニフォームの色も相まって季節外れのサンタのように下位勢に勝ち点を配ることとなってしまった。
試合結果
2021.11.6
プレミアリーグ 第11節
ブレントフォード 1-2 ノリッジ
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:60′ ヘンリー
NOR:6′ ノルマン, 29′(PK) プッキ
主審:ジャレット・ジレット