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「Catch up League 1」~2023.1.29 リーグアン 第20節 パリ・サンジェルマン×スタッド・ランス ハイライト


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数的不利で変わったこと、変わらないこと

 リーグアンの首位を走っているパリだが、年明けからすでに2敗。無敗で折り返した2022年に比べるとやや調子を落としているように見える。中位ながらも堅い守備を誇るスタッド・ランスは厄介な相手である。

 ランスは4-3-3、パリは4-4-2がベースのポジション。普段からこの2チームを見ているわけではないので、放送席からの情報ベースだが、どちらのチームにとってもこのフォーメーションは少しスタンダードなスタンスを外す形らしい。特にランスの4-3-3はパリへの対策色が強いとのことだった。

 試合はパリがボールを握る形がメイン。CB2枚、GK、そしてCHがボールに絡みながらビルドアップを行う。特にヴェラッティは低い位置に降りながらのビルドアップが目立った。

 ランスはこのパリのビルドアップに対して、ミドルゾーンに構えながらプレッシャーをかけていく形を採用。特にIHのムネツィが少し前に出て行く様子が顕著だった。

パリが相手ということもあり、中盤のバランスは相当シビア。前提としてリトリートが遅れてしまうこととライン間のメッシとネイマールにボールを受けられることは論外なので、コンパクトさの欠如と出て行きすぎて戻れないことは避けねばならない。

その中でランスはムネツィ以外の中盤も出て行くことを大事にしていた感がある。ラインは下げない。でもコンパクトさは維持。少し前に出すぎたかな?と思った場面もバックラインが勇気をもって一段押し上げて連動するなど、ランスは組織的な守備が構築されている印象を持った。

 パリの保持の最優先事項はライン間のメッシとネイマールにボールを持たせること。だが、ランスの守備はかなりコンパクトで中央をこじ開ける機会はあまり多くはなかった。よって、狙いとなったのはミドルブロックの背後である。ムバッペも含めて前線が下がる動きを見せる中でハキミやヴィチーニャのような選手が入れ替わるように前に出て行く。抜け出したところから、点で合わせるクロスを送り一気にカタを付けるのが彼らのプランである。

 だが、前線の大駒はおとり役になっているため、抜け出す選手は他の選手。そうした選手に出すところがバレており、コースが単一しかないラストパスを送るスキルはなかなか求めにくい。そもそも出し手にはそこまで優位な状況が作れていないのである。

 リトリートも早いランスはコンパクトなブロックの維持に成功。左右のクロスからの素早いカウンターも光っており、ターゲットマンとしてのバログンも優秀。ゴールエリアに少ない枚数ながらも相手のマークを外しながらシュートまで持っていける姿にはポテンシャルの高さを感じる。保持においても前線はムネツィが出て行くことが多く、シンプルながらフィニッシュまで持って行く頻度は高かった。

 パリは4-3-3にシフトするが、前に守れない人を置き、後ろに守れる人を置く形で整理した以上の成果はあまり得られないように見えた。クロスが上がってくるサイドのプロテクトはこれでは不十分であり、なかなか後方の7人でケアしきるのは難しい。

 なかなかうまくいっている感のなかったパリだが、後半に先制点を得る。サイドからの侵入でライン間のメッシに前を向かせることに成功。彼が放ったシュートのこぼれ球をネイマールが押し込み、ようやくこじ開けて見せた。

 後方のボール保持は比較的安定していたので後は逃げ切るだけとなったパリ。しかし、ここでヴェラッティが伊東への危険なタックルで一発退場。数的不利を強いられることになる。

 パリは10人ながらもメッシ、ネイマール、ムバッペ体制を継続することに決定。パリの攻撃はどこでどういう構造を作るかに比べると、どこで誰にボールを持ってもらうかの方がはるかに重要なので、10人でも特に速攻の攻撃力が落ちないのはさすがであった。

 それでもランスの保持の局面ではゆったり攻める機会が増加。パリのカウンターの破壊力は維持されていたが、ランスの保持の局面ではさすがに10人に減った影響は見られたといえるだろう。特にバログンの相棒にドゥンビアを置いてからは前半には見られなかった中央からの打開もちらほら。少しずつゴールに迫っていく。

 だが、なかなかゴールを手にできないランス。このまま引き分けか?と思われた後半追加タイムに。パリはミスからカウンターを受ける。これを仕留めたのはバログン。抜け出したエースの一撃で試合はドロー決着に。

 パリは今年4試合目で3回目の勝ち点の取りこぼしが決定。10人の数的不利と2点目を奪えなかったことが重くのしかかった結果となってしまった。

ひとこと

 ネイマールを下げて中盤として投入されたエメリがミスの引き金になったのはいろいろと切ない。これで3トップがよりアンタッチャブルになってしまったのならば、より戦い方の幅は狭まってしまう。ガルティエ監督の胆力がより試されることになっても不思議ではない。

試合結果

2023.1.29
リーグアン 第20節
パリ・サンジェルマン 1-1 スタッド・ランス
パルク・デ・フランス
【得点者】
PSG:51‘ ネイマール
SDR:90+6’ バログン
主審:ルディ・プケ

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