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「Catch up La Liga」~2023.2.5 ラ・リーガ 第20節 マジョルカ×レアル・マドリー ハイライト

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最後まで噛み合わないマドリーの攻守

 ベンチ入りのメンバーの少なさを見れば、この日のレアル・マドリーのメンバーのやりくりの苦しさはわかるだろう。起用をできるメンバーは徐々に目減りしている上、この試合が終わったらクラブW杯で出国をしなければいけない。帰国したらリーグ戦でバルセロナを追走しつつ、CLではリバプールを相手にしなければいけないのである。

 今節のマジョルカとのアウェイゲームも厄介だ。離島への遠征な上に、得点も失点も少ないマジョルカは簡単な試合が見込める相手ではない。

 案の定、マドリーはややこしい展開を強いられることになった。マジョルカのプランはミドルゾーンに構える5-4-1。トップの位置はアンカー周辺に浮遊する形である。マドリーはひとまずサイドから押し下げていきながら様子を見る。マジョルカはボールの位置まで中盤のラインを下げつつ、バックラインはコンパクトな形を維持する。

 5バックで後方に人員を割く形のマジョルカに対してのマドリーのアプローチは比較的淡白だった。左サイドはヴィニシウスという相手をつっつきたがる選手がいた分まだよかったかもしれない。右サイドはアセンシオがやたらとインサイドに絞ったことに加えて、SBのカルバハルも早い段階でボールを持ったことで高い位置を取れない。

 つまり、このマドリーには右の大外レーンの奥に立つ選手が不在だったのである。奥行きのない淡白な攻撃の印象はこうした幅を取る作業がなく、強引に一発を狙うスタンスで不発が続いたからだろう。

 右の大外に人がいない問題もそうだが、この日のマドリーはボールを持たされる側としての矜持を持っていたかどうかは怪しい。非保持でロングボール一発で進まれるようでは、絶え間なく攻撃に移行するのは厳しいのである。ライン間に侵入するイ・ガンインのドリブルから陣地回復されてしまうのはまだ仕方ないとして、ムリキへのロングボールにバックラインが体を当てることもままならないのは気になる部分。ボールを跳ね返すことができず、マジョルカは一発蹴り出すことで比較的簡単にマドリーの攻撃を寸断することができていた。

 マジョルカの先制点もこのマドリーのバックラインの煮えきれない対応が原因である。サイドからのクロスを上げられる一連の流れとエリア内でのムリキへのプレーの制限の掛け方、どちらもバックラインが寄せきれずに全く相手のプレーを制限できていない。エリア内でのターゲットが実質1枚だったマジョルカにとっては省エネで得点を取ることができたと言っていいだろう。

 先制点が試合の展開の変化をもたらすことはなかった。失点はマドリーが目を覚ます契機にはつながらず、試合間隔の厳しさを感じさせていたし、マジョルカはソリッドに守ることで試合を分断し続け、マドリーの攻撃の威力を下げることに成功し続けていた。カウンターの狙いも定まらない、ポゼッションは淡白、そして迎撃守備には怪しさがあるとマドリーは明らかに苦しい前半を過ごしていた。

 後半も同じ文脈での試合が続いていた試合だったが、左サイドのヴィニシウスの抜け出しからPKを獲得。ライコビッチの飛び出しがやや遅れたことにより、同点のピンチを迎えるマジョルカ。しかし、これはライコビッチ自らがセーブ。アセンシオのステップを完璧に見切り、セービングで難を逃れる。

 この時間帯の前後はマジョルカの前進を抑制しながら、マドリーが圧をかけることができていた時間帯と言えるだろう。マジョルカは74分のイ・ガンインの前進まで反撃の機会を待たなければいけなかった。

 しかし、マジョルカは次の選手交代でガンインが下がると再び勢いを取り戻す。マドリーの支配力は低下し、両軍陣地にボールが行き交う展開になった。

 以降もマドリーがゴールに迫れたのはヴィニシウスの強引な突破とマリアーノのボレーくらいのものだろう。攻守のチグハグさが最後まで抜けなかったマドリーはバルサに敗戦という大きな置き土産を残し、クラブW杯に旅立つことになる。

ひとこと

 機能性もなければ理不尽さもないとなれば、マドリーはこうなってしまうこともあるだろう。この日のマドリーは論理性を欠いていた分、きっちりと威力が落ちる普通のサッカーチームだった。

試合結果

2023.2.5
リーガ・エスパニョーラ 第20節
マジョルカ 1-0 レアル・マドリー
エスタディ・デ・ソン・モイシュ
【得点者】
MLL:13′ ナチョ(OG)
主審:エルナンデス・エルナンデス

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