ふとしたきっかけでジリジリは台無しに
首位を走るナポリは日曜のランチタイムゲーム。ミラノ・ダービーがある今節は2位以下を突き放す大きなチャンス。アウェイではあるが、このチャンスをきっちり生かしたいところである。
スペツィアは5-3-2という比較的後ろが重くなりがちなフォーメーションを採用する。ただし、スペツィアも高い位置からのプレスを捨てているわけではなく、前からのプレスで相手を捕まえに行くことも多かった。2トップが2CB、ロボツカにはアンカーのエスポージトをぶつける形でデュエルを挑む。
ナポリは危険な失い方をするわけではないが、なかなか攻めあぐねていた部分もある。このプレスを回避しても敵陣に築かれた5-3-2のブロックを攻略するタスクが残り、おいそれとチャンスまではいくことができない。スペツィアはやばいと思ったらきっちりと自陣まで下がって守備を組む準備ができていたということだろう。
スペツィアの守備を破ろうとしたのはナポリの左サイドである。左サイドの奥ではクワラツヘリアがファウルを奪いまくり、FKのチャンスを演出。陣形で見れば5-3-2からサイドにボールがあるときはスペツィアはきっちりとそちらのサイドにスライドをすることができていたのだが、クワラツヘリアだけは止められずにファウルを犯してしまっていた。
もう1人、キーになったのはマリオ・ルイ。5-3-2に対しては保持側はSBのポジションが安全地帯になりがちである。スペツィアはナポリのSBに対してIHをぶつけることで高い位置から捕まえに行くこともあった。ただし、中盤の優先事項はあくまでナポリの中盤を捕まえること。やや絞り気味とはいえ、スタート地点がややサイド寄りなことをふまえると、多少横に移動しながら相手を捕まえにいかないといけない。
そういう意味では絶妙にスペツィアの中盤が届かない位置に立つことがとてもうまかったマリオ・ルイ。ボールキャリーからの前進やアーリー気味のクロスでスペツィアのゴールに襲いかかる。CKなど空中戦自体の流れは得点の匂いはあったのだが、スペツィアが踏ん張り前半は完封。ナポリはオシムヘンを使った裏抜けはもう少しやっていいように思えたが、ショートパスにこだわりがある傾向が強かった。
一方のスペツィアは左サイドを軸に攻勢に出る。WBのレツァが余るなど、ナポリは全てのサイド攻撃を封じているわけではなかったが、インサイドで跳ね返しが間に合えば十分。スペツィアは普通のクロスは簡単に跳ね返すことができるナポリの守備陣を前になかなか一工夫してゴールに迫ることができず。散発的なカウンターで何回かチャンスがあったくらいだろう。前半は共に少ないチャンスに終始し、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
そんな緊迫した前半が嘘のような後半の立ち上がりだった。ボールをきっちりと自分たちのものにする過程で信じられないくらいあっさりとハンドでPKを献上したレツァ。ナポリは棚から落ちてきたPKをクワラツヘリアが決めるだけで前に出ることができた。
スペツィアはカウンターからの方が攻撃は有力。速攻からナポリの中盤の後方のスペースを増やしながら攻めていく。ナポリはカウンターの応酬に付き合い早い攻撃が続く時間帯も。オシムヘンはダイナミックな抜け出しから超決定機を迎えることができている。
オシムヘンが花開いたのは68分のこと。高く上がったボールに競り勝ち、貴重な追加点を叩き込むことに成功する。73分にもオシムヘンはネットを揺らし、さらにリードを広げていく。
終わってみれば3得点での完勝。ジリジリしていた前半はふとしたきっかけでワンサイドに流れてしまったという印象だ。
ひとこと
心の底からスペツィアは勿体無い。均衡のままで幻の後半が見てみたい。
試合結果
2023.2.5
セリエA 第21節
スペツィア 0-3 ナポリ
スタディオ・アルベルト・ピッコ
【得点者】
NAP:47′(PK) クワラツヘリア, 68‘ 73′ オシムヘン
主審:マルコ・ディ・ベッロ