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「Catch up Serie A」~2023.2.10 セリエA 第22節 ミラン×トリノ ハイライト

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変曲点で流れに乗りトンネル脱出に成功

 守備が崩壊気味というエクスキューズはあったものの、ミラノ・ダービーでは非常に消極的な3バックを敷いたまま重い腰を上げられずにあっさりと敗れてしまったミラン。この日のトリノ戦でも同じ3バックを敷きながらも、立ち上がりにいきなりテオ・エルナンデスが敵陣深くまで侵入したのは、先週のダービーとは異なる自分たちであるとサン・シーロのファンに証明するためのプレーだったかもしれない。

 トリノもミランと同じ3-4-3を採用したため、完全に噛み合うミラーフォーメーションとなった両チーム。となると、非保持側はどこまで積極的にプレッシングを行うかは迷う部分である。相対的に言えば積極的にマンツー気味の守備をしていたミランでさえも、最終ラインに強くプレッシャーをかけていたとは言い難い。どちらのチームもバックラインはボールを持つには困らなかった。

 ただし、中盤にボールを刺そうとすると、そこはお互いに守備が厳しい部分。安直なバックラインからの楔は相手のカウンターの引き金になる。カウンターから前を向いた時の破壊力はレオンはさすがである。スタメン復帰のふさわしさをアピールするかのようなドリブルで陣地回復を図る。

 だが、時間の経過とともにボール保持で主導権を握るようになったのはトリノの方だった。トリノはミランの後方の守備の基準を乱しにかかる。特に積極的な前線の降りる動きはミランのバックラインにどこまでついていくか?を問うものだっただろう。ミラノ・ダービーで後ろが重たくなる3バックを採用した経緯を考えれば、こうした降りる動きにミランが完全についていくのは難しい。

 右シャドーのミランチュクの降りる動きを軸にミランのマークを外すことに成功したトリノ。前線の降りる動きとセットで高い位置を取る中盤の関係性から徐々に敵陣に進んでいく。

 ミランの攻め手はこうしたトリノのプランよりも単発で個人でボールを運ぶカウンターがメインになっていた。28分にレオンがテオとの2人の関係性で前を向いて抜け出した動きは相当久しぶりにクリーンに抜け出した動きであった。

 アタッキングサードに運ぶ過程ではトリノの方が優勢だったが、アタッキングサードにおけるもう一声という部分が物足りないのは両チームとも同じ。バックラインのパフォーマンスの不安定さな分、失点の空気があったのはミランの方だが、逆に言えばそうした相手の助けがなければ得点の匂いがしなかったとも言える。前半はスコアレスで試合を折り返す。

 前半と同じ流れで始まったと言える後半。ボール保持はトリノが主体で試合を進める。そんな試合の変曲点となったのはトリノのバックラインのプレー。スフールスのバックラインからのドリブルでのダイナミックな持ち上がりでトリノの攻撃にアクセントをつける。このドリブルを止めたミランはカウンターからレオンが決定機を迎える。

 スフールスのドリブルがミランの攻撃にスイッチを入れたと言えるだろう。レオンのシュートをきっかけにここからミランは立て続けにシュートチャンスを迎えることとなる。トリノも負けじと負傷交代に絡めて左サイドの攻撃を強化。リカルド・ロドリゲスを1列下げる采配で一歩も下がらずにミランと張り合う意志を見せた。

 アグレッシブさが増したこの時間帯に結果を出したのはホームのミランだった。セットプレーの流れからテオ・エルナンデスが二次攻撃となるクロスを放つと、これに合わせたのはジルー。ヘディングでネットを揺らしミランが喉から手が出るほど欲しかった先制点を手にする。

 ミランはこのゴールをきっかけに、後ろに重心をシフト。ロングカウンターから追加点を狙う形でトリノに牙を向くことも忘れなかったのはよかったポイントである。

 バックラインの不安定さが拭えなかった分、トリノの攻撃を受けに回る怖さもあったのは事実。だが、なんとかジルーのリードを守り切ったミラン。ようやく2023年の公式戦2勝目を挙げ、未勝利の長いトンネルの脱出に成功した。

ひとこと

 普通に試合を進めていただけでは得点の匂いがしなかっただけに、スフールスが試合を活性化させた流れに乗れたのはミランにとっては幸運だった。ヒーローはジルーだが、光が当たらない時間帯に縦の推進力を見せたレオンもまた称賛されて然るべきである。

試合結果

2023.2.10
セリエA 第22節
ミラン 1-0 トリノ
サン・シーロ
【得点者】
MIL:64′ ジルー
主審:ジョバンニ・アイロルディ

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