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「EURO2020ハイライト」~Group C Match day 1 オーストリア×北マケドニア~ 2021.6.13

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■圧力増加の積極策で歴史を切り拓く

 共に勝てばEUROの本戦での初勝利。オーストリアと北マケドニアの一戦は歴史の1ページを手繰り寄せるための大一番となる。細かい部分で違いはあれど、両チームの非保持におけるコンセプトは似ていたように思う。5バックで最終ラインの人数を揃える。そして、サイドチェンジを許さずに同サイドに封じ込める。

 というわけでこの試合は相手の守備の同サイド圧縮をどのように解決するか?がテーマになってくる。その答えを先に出したのはオーストリアだった。解決策として提示したのはスーパープレー。ザビッツァーからの逆サイドのライナーへの高速ピンポイントクロスである。素早く低弾道で通した逆サイドへの一撃はクリティカルヒット。超絶美技でオーストリアが一歩前に出る。

 対する北マケドニアが手にしたチャンスはオーストリアのミスに乗っかったものだ。味方に偶発的にぶつけた締まったボールからマケドニアがチャンスを迎える。最後にこぼれ球が目の前に来たのはパンデフ。北マケドニアが歴史の扉を開けるならば、この男しかありえないという神の啓示があったかのようだった。確かにパンデフしかありえない。英雄が北マケドニアのEURO史上初の得点を決めて、同点に追いつく。

 ここから前半終了まではやや北マケドニアが優勢だったか。オーストリアの方が高い位置で止めようという意識が強い分、北マケドニアには前に進むスペースが与えられていたように思う。

 同点で迎えた後半。徐々にボールロスト後のプレスを強化したオーストリアが主導権を取り返す。圧で勝るオーストリアが北マケドニアの陣内でのプレー時間が増えていく展開に。北マケドニアはエルマス、バルディのキープからアリオスキなど脚力のある選手のフリーランで一刺しを狙っていく。オーストリアはキープを狙う北マケドニアの中盤に圧をかけてミスを誘発していく形だ。

 勝負の分かれ目となったのは終盤の選手交代。エルマスを前にスライドさせて、ドローもOKというスタンスを見せた北マケドニア。選手層を考えれば仕方ないことだと思う。一方のオーストリアは2トップを総入れ替え。これを皮切りにエリア内への放り込みを増やしていく。加えて、この日は3バックの中央を務めていたアラバを解放。自由度を高めて相手陣に入る頻度を増やす。

 決勝点となったのはその2つの変更の掛け合わせ。クロスの受け入れ態勢強化とクロスの出し手となるアラバの解放がオーストリアの決め手になった。左サイドからアラバが放ったクロスはピンポイントでスペースに。グレゴリッチに走りこむスペースを教えてあげるようなクロスは、人数は十分揃っていた北マケドニアでも対応はできなかった。

 仕上げは決勝点を挙げたグレゴリッチの相棒。アルナウトビッチが試合を決める3点目で交代した2トップはそろい踏みだ。歴史的な初勝利を掴んだのはオーストリア。終盤の交代の積極策で圧力をかけて北マケドニアをねじ伏せた。

試合結果
オーストリア 3-1 北マケドニア
ブカレスト・ナショナル・アレナ
【得点者】
AUS:18′ ライナー, 78′ グレゴリッチ, 89′ アルナウトビッチ
MKD:28′ パンデフ
主審:アンドレアス・エクベーク

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