終わってみれば全勝通過
グループCはすでに通過順位と通過チームが決定。首位はバイエルン、2位はインテルという形でノックアウトラウンド出場チームが決まっている。そのため、ネームバリューの割にはどこかリラックスした雰囲気が見られたカードだった。
しかしながら、両チームとも敵陣でのプレッシングには非常に意欲的だった。安定してビルドアップで相手のプレスを回避することが出来ていたのはバイエルンだろう。2CBがインテルの2トップにつかまっている状態を利用して、2トップの脇に立つSBからボールを前進させていく。スタニシッチとマズラウィが前進の主役としてボールを前に進めていく。
それに比べるとインテルのビルドアップはややぎごちなさが目立った。インテルは普段以上に活発に選手がポジションを入れ替える姿が目立つなど工夫はしていた。特にダルミアンが3バックの右に入っている右サイドは非常にポジションチェンジが多かった。
だが、このポジションチェンジがどこまで効果的だったかは疑問が残る。ポジションを入れ替わることによって発生する隙をうまく前進させることが出来ていないように見えるし、可変で動いた先のポジションが選手の特性にマッチしているようにも見えない。バレッラがダルミアンの後ろにいるのとかはちょっとよく効果があるのかわからない。
そういう意味でバイエルンの高い位置から同サイドに閉じ込めるプレッシングは非常に効果があった。相手をハーフコートに押し込んで、ショートカウンターを発動する形でバイエルンは圧力を強めていく。
とはいえ、インテルも敵陣まで進めばチャンスはあった。とりわけ前がかりな中盤の背後でFWがボールを受けられればチャンスになる公算は強かった。インテルがミドルシュートを連発していたことからも、バイエルンはこの試合ではややバイタルの管理が甘かった。そのうちの一本がマネの手に当たり、OFRでの検証が実施されたが、これはおとがめなし。個人的には妥当な判定のように思う。
一方のバイエルンも押し込んでからの武器があった。それはセットプレー。バイエルンはCKから先制点をもぎ取る。マークを外しやすいラウタロをパヴァールで狙い撃ちする形は先制点以外の場面でも何回かのシーンで見られた形である。バイエルンはサイドの裏抜けからボールを運び、セットプレーを得て相手を追い詰めるというサイクルを繰り返しながらインテルのゴールに迫っていった。
リードを得たバイエルンは落ち着いてポゼッションする時間を増やしながら試合をコントロールしていく。インテルは60分に3枚の交代を行うが、ギアチェンジというよりはプレータイム管理のように見える。ジェコは高い位置での基準点を入れ替えるという意味合いが強かったようにも見えたけども。
間延びしたライン間への縦パスなど、ジェコの空中戦以外にも戦えるポイントが見えてきたインテル。だが、シュートまで持って行く頻度は圧倒的にバイエルンの方が上。追加点は前半のインテルのお株を奪うようなミドル攻勢。チュポ=モティングのミドルが矢のように突き刺さり試合は決着する。
3強といわれたグループだが、終わってみればバイエルンは全勝で通過。インテルとバルセロナに格の違いを見せつけて危なげなくグループステージを終えた。
ひとこと
GSを通じて苦しんだ感のなかったバイエルンのビルドアップがもう少しプレス強度が高まるノックアウトラウンドでどうなるのかが楽しみ。
試合結果
2022.11.1
UEFAチャンピオンズリーグ
Group C 第6節
バイエルン 2-0 インテル
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
BAY:32‘ パヴァール, 72’ チュポ=モティング
主審:イヴァン・クルチアク