■まったりムードを吹き飛ばす雪だるま式の悪循環
前節はリバプール相手に5失点と就任早々大クラッシュを引き起こしてしまったラニエリのワトフォード。今節は同じマージーサイドに本拠地を構えるエバートンとの対戦である。
ワトフォードはメンバーこそ多少入れ替えたものの、前節の課題を覆い隠せていたとは言い難い。WGの守備位置が高い割には後続がついてこず、WG-SB間にぽっかり空くスペースを使いながら、エバートンに前進を許す。もともとエバートンもオープンな撃ち合いの方が得意なチーム。序盤から殴り合いとなった一戦は早々にホームのエバートンが先制点を奪う。
決めたのはゴードンのカウンターからのデイビス。手薄なサイドからボールを押し下げたエバートンがCHの攻撃参加で圧力を上乗せし、一気にワトフォードのゴールを打ち破って見せた。
前に出ていけば間延びし、後ろに構えれば長いボールを飛ばされるしでなかなかきっかけを掴めないワトフォード。しかし、同点弾は突然に。セットプレーから前半の内に追いついてみせる。見事なセットプレーではあったが、エバートンの守備陣はほぼ動くことができなかったのは気になった。
それでも試合はエバートンが優勢だった。前後分断で生まれるギャップをついてエバートンは前進できていたし、カウンターの好機をワトフォードが活かせる感じもしなかった。メンバーが代わっても展開は同じ。リシャルリソンの久しぶりのゴールでリードを奪った70分台はこのまままったり試合が終わるものと思えた。
しかし、流れを変えたのはミスの連鎖。イウォビ、デイビスの2人のクリアミスで再度ワトフォードにコーナーを与えると、これをクツカが押し込み同点に。
ここからは流れは一気にワトフォードに。もともとドゥクレがいてなんとか成り立っていたCHの守備範囲に丸投げするやり方はこの日も健在。ただし、ドゥクレがいないので純粋に機能性は落ちる。CHがカバーできない範囲はCBがカバーに出てくる。エバートンの守備は前から取る試みを積極的に行う分、後ろへの皺寄せが雪だるま式で積み重なっていく守り方である。
同点にされた直後、展開がもたらす焦りからか、ワトフォードのカウンターに対してゴドフレイが前に出ていきあっさり交わされてしまう。CBがリスクを先送りにすれば当然その先にはGKしかツケを払う存在はおらず、そこを破ったワトフォードにあっさり逆転を許す。
そこから先はエバートンの守備陣の拙いPA内での対応が目立つばかり。今季ここまでの鬱憤を晴らすかのようにゴールを積み重ねるワトフォードを前に、何もできなかったエバートン。ミスの連鎖とセットプレーの拙さで明け渡した主導権の代償は高くつくことになってしまった。
試合結果
2021.10.23
プレミアリーグ 第9節
エバートン 2-5 ワトフォード
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:3′ デイビス, 63′ リシャルリソン
WAT:13′ 80′ 86′ キング, 78′ クツカ, 90+1′ デニス
主審:グラハム・スコット