向こうのセットプレーすらチャンスに
4バックと3バック、中盤の構成を見てもいかにも噛み合わせが悪そうな両チームの対戦である。立ち上がりはやや様子を見ていたケルン。相手のバックラインにボールを持たせる形でスタートする。
フランクフルトは3バックという構造的な優位を生かして安全運転でポゼッションを始める。ボールは外循環を中心でWBを軸とした多角形を形成。コロ・ムアニの裏抜けなど中央を回避する形で敵陣に入り込んでいく。
フランクフルトは時折前からのプレスを仕掛ける。サイドにボールを追い込むことができると前線のプレスにスイッチが入る形。11分のブタのプレスからコロ・ムアニの決定機などはこうしたプレーが好循環した一例と言えるだろう。
徐々に流れが変わり始めるのはケルンがプレスを仕掛け始めてからである。プレスを仕掛けるというとハイプレスをイメージする人が多いだろうが、あまり噛み合わせが良くないバックラインへのへのプレッシングにはあまり積極的ではない。フランクフルトが狙っていたサイドからの進撃に対する封鎖というイメージの方がいいだろう。SBの迎撃に合わせるように中盤は横に大きくスライドしながら同サイドを封鎖する。
中央ではロングボールに対する迎撃も積極的。ボールを奪ってからのカウンターの流れがケルンは非常にスムーズだった。フランクフルトもコロ・ムアニの裏抜け等で単発で決定機を生み出すことはあった。クリーンに抜ければ大きなチャンスにはなっていたので、1点決めれば正義!ということかもしれないが、ボールを奪って前に送るという部分では徐々にケルンが優勢になっていく。
決め手になったのはセットプレーだった。後半に左サイドからのFKを合わせる形でマークを外したヒューバースが先制ゴールをゲット。動き出しで華麗にフリーになることができており、わずかなタッチでコースを変えてみせた。
ここから先はこのセットプレーがキーになる。フランクフルトはセットプレーの機会を得ることもあったが、ニアを超えずに跳ね返されてカウンターを喰らう場面が目立つようになる。2点目はまさしく、CKを跳ね返すところからのカウンターから得点が決まったのだが、得点が決まる前においても十分に危険な場面はあったため、ケルンの得点パターンとして予期できる形ではあった。
フランクフルトはカウンターの推進力でもケルンの後塵を拝した感があった。スピード感に欠けており、急ぎたい場面でもスローダウンしてしまうことが多かった。
ケルンはそんなフランクフルトをよそにセットプレーから3点目をゲット。完勝に花を添える一撃でフランクフルトを一蹴してみせた。
ひとこと
セットプレーとカウンターの鋭さで勝負ありだろう。特にセットプレーはフランクフルト側の機会もカウンターの火種にするなど、運動量を武器にしたケルンの厄介さをフランクフルトがモロに受けてしまった試合だった。
試合結果
2023.2.12
ブンデスリーガ 第20節
ケルン 3-0 フランクフルト
ライン・エネルギー・シュタディオン
【得点者】
FCK:49′ ヒューバース, 71′ 86′ スキリ
主審:ダニエル・シーベルト