■段違いの加速性能でアムステルダムでゴールショーを披露
リバプールに劇的な敗戦を喫し、勝ち点を逃した前節のアヤックス。上位陣についていくためにもこのナポリとの180分は非常に重要なものになるのは疑いの余地はない。グループAを三つ巴にしないためにもアムステルダムで首位叩きを狙っていきたいところだ。
どちらのチームもプレスのライン設定は高いが、極端なハイインテンシティなプレスを仕掛けてくることはない。例えば、ベルハイスのマーカーがアンカーのロボツカだったように、バックラインに対して同じ枚数で追いかけ回すということはなかった。
よって、まず問われるのはバックラインからのビルドアップ。アヤックスはGKも絡めたビルドアップで対角に長いボールを飛ばしていく。サイドに振りながら時間を作り、味方を押し上げる形でナポリのプレスを回避。先制点となった場面は右サイドからの大きな展開を受けた左サイドはベルフワインとブリントで時間を作る。飛び出す時間をもらったテイラーがアクセントとなり、アヤックスはサイドを崩し切って先制する。
ビハインドになったナポリもすぐに反撃に。キム・ミンジェの跳ね返しからクワラツヘリアが時間を作り、オリベラのオーバーラップを誘発。最後はラスパドーリがファーにつめて同点となった。
同点になってからはアヤックスのボール保持をナポリがハイラインで跳ね返す展開が続く。立ち上がりはトップが背負いながら押し上げに貢献していたアヤックスだが、時間経過とともにバックラインからのフィードの精度が低下。逆にナポリは段々と跳ね返しが板につくようになった。
ボールを持っている局面に置いてもナポリが違いを見せるように。彼らは縦パスのコースを作る動き直しがえぐい。前を向いた選手が少ないタッチで縦に出せるようになっている局面があまりにも多い。アヤックスもライン間で前を向ける瞬間はあったけど、ナポリに比べると加速性能が段違いだった。
この切れ味の違いでナポリがだんだんとアヤックスに牙を向くように。ショートコーナーからディ・ロレンツォが勝ち越しゴールを奪うと、アンギサのトランジッションからあっという間に3点目。アヤックスが収まらなかった次の瞬間には圧倒的にナポリが優位の盤面になっており、ゴールを決めたジエリンスキはほぼ独走で1on1で制した。
後半も前に出てくるアヤックスを早々にナポリがへし折る。ハイプレスでパスフェールのミスを誘うと、再びボールを奪ったアンギサを起点にラスパドーリがゴール。試合の流れを決定的なものにする。
敵地にも関わらずゴールショーは止まることがない。左サイドでクワラツヘリアがワンツーで抜け出して5点目をゲット。ワンツー前にあえて右に大きくステップを踏むことで、次の自分の動き出しをより効果の大きいものにしているクワラツヘリアのスキルが光るゴールだった。
悪い流れが止まらないアヤックス。大量失点だけならまだしも、タディッチが不用意な退場で次節まで目に見える影響を及ぼしてしまったのが誤算と言えるだろう。
4-2-3で最後までアグレッシブな姿勢を貫いたアヤックスだったが、最後にナポリはもう一刺し。エンドンベレのアクロバティックなアシストで、シメオネが仕上げの6点目を決めてみせる。
完全にアムステルダム・アレナを支配したナポリ。リバプールを撃破した実力がフロックでないことを証明した大勝となった。
試合結果
2022.10.4
UEFAチャンピオンズリーグ
Group A 第3節
アヤックス 1-6 ナポリ
アムステルダム・アレナ
【得点者】
AJA:9′ クドゥス
NAP:18′ 47′ ラスパドーリ, 33′ ディ・ロレンツォ, 45′ ジエリンスキ, 63′ クワラツヘリア, 81′ シメオネ
主審:フランシス・リティシェラ