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「Catch up 日本代表」~2023.3.28 キリンチャレンジカップ 日本×コロンビア ハイライトレビュー

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サイド攻略への整備の精度

 序盤はボールが両方のサイドを行き交う落ち着かない立ち上がりだった。そうした中で先制点を決めたのは日本。右サイドで町野、西村のキープから時間を作ると、攻め上がった守田からのクロスがファーに。三笘がムニョスに競り勝ってのヘッドで早々にゴールを決める。

 この先制点は三笘にとってはもちろん、町野にとっても大きいゴールになった。以前の代表戦では全くボールが収まらなかったのだが、このシーンではキープから見事に時間を作り出して見せた。そのほかのシーンでも相手を背負ってのキープなど、できることの水準を引き上げてこの試合を迎えたなという印象である。

 日本の先制点をきっかけに試合は徐々に落ち着くように。ボール保持側には時間が与えられ、ビルドアップからの攻略が求められるようになった。コロンビアは中盤のマークを合わせるように3枚で守る4-2-3-1を採用。日本のバックラインにはそこまで大きなプレッシャーがかかることはなかった。

 前回のウルグアイ戦で見られたSBの絞るポジショニングは少々減ったように思う。特に低い位置においては。SBに求められているのはむしろ外に開いてSHの背後でボールを受けることに見えた。

 しかしながら、コロンビアのSHは日本のSBに背後を取られることに徹底して抵抗していた。日本のCBとSBの中間ポジションを取りながらどちらのマークにも行けるように準備。シュミットからのロブ性のパスならば、バックステップでSBにマークに出ていくし、CBにボールが入れば外を消しながらプレスにいく。

 コロンビアの3トップと日本のバックラインの駆け引きはコロンビアが優勢。日本は粘り強くやり直した(やり直しながらでもトライしたこと自体はとてもいいことのように思う)が、コロンビアのSHの2人を出し抜くことができず、SBがいい形でボールを受けることはなかなか難しかった。CHが縦関係になり最終ラインに落ちる形も引き続きトライしていたが、こちらもコロンビアの陣形を動かす役には立たなかったように見えた。

 ようやくSBが存在感を放ったのは37分。大外に三笘のインサイドを取る形でバングーナガンデがボールを受けることができた場面である。

 対するコロンビアのボール保持はアンカーのカスターノが低い位置を取りながらCBを横に広げる。SBが高い位置に進出しながら大外レーンを占有。中央ではウリベ、アリアスは上下動しつつ、SHはインサイドに絞りつつゴール前まで進出していく。

 前進のコンセプトに関してはコロンビアも似たようにサイドからの進撃で攻撃に決着を付けたかったように見える。どちらのサイドにおいてもデュエルではコロンビアが優勢。特にコロンビアの左サイド側では時にアリアスとボレのポジションチェンジなども織り交ぜながらボール保持でフリーの選手を作ることができていた。

 コロンビアの同点ゴールの場面は日本がやりたかった形に近いかもしれない。マチャドが抜け出す形を作ると、左サイドを抉るように侵入。板倉が前に迎撃に出て行った分、菅原が対応に躊躇したこと、そしてバングーナガンデの絞りが遅れてしまったことでデュランのシュートを許してしまったことが日本にとっては痛恨であった。

 コロンビアは明確にサイドから攻め手を見出すことができていた。ただ、おそらく日本も三笘と伊東が相手と正対してボールを持つことができれば、コロンビアのSBに対して優位を作ることができたように思う。40分の伊東の西村へのクロスを見れば想像がつく。足りなかったのはWGでいい形でボールを渡すための道筋。サイドにボールを渡す道筋の整備の精度が日本とコロンビアで異なっていたように思う。

 後半の立ち上がりは日本はいいフィーリングだった。板倉はパスをつけては受け直すことで、徐々に相手の前線を動かしながら前進することができていた。57分には上田と堂安で決定的なチャンス。ニアで潰れずにボールをキープした上田が折り返すことに成功したため、堂安がボールに近寄らなければ1点もののシーンだったと言えるだろう。上田もまた少しずつできることが増えていることを示している。それだけにヘディングで彼自身が迎えた決定機は決め切りたかったはずだ。

 ただし、日本のプレッシングが効かない状態は後半も継続。攻め込む機会が多かったのは明らかにコロンビアの方だった。左右どちらのサイドからも自在に攻め込むコロンビアに対して日本は苦戦。バングーナガンデの負傷で瀬古が入って守備的な顔ぶれになった左サイドでもコロンビアのサイド攻撃を食い止めることができず。伊藤が裏を取られ、瀬古が入れ替わられて深い位置を取られてしまい、ボレにオーバーヘッドを許してしまい、勝ち越しゴールはコロンビアに。

 終盤に4-4-2ダイヤモンドのフォーメーション変更を実施した日本。IHが高い位置を取り、中盤がぽっかりなくなっていたので個人的には少しペドロビッチオマージュにも見えたりした。前線とバックラインまでの距離がコンパクトで縦パスの起点と終点を増やして前線へのパスコースを作り出したというコンセプトも含めて。

 しかし、最後まで日本は同点ゴールを奪うことができず。3月シリーズの2試合はいずれも未勝利で終えることとなった。

ひとこと

 町野、上田、西村など前線はカタール組の主力ではないメンバーの台頭が見られたのは心強い。SBのポジションは話題になっているが、森保さんのこれまでの慣例からするとポジションに役割を与えるというよりはハマったキャストに対する当て書きに終始することが多いので、今は気にしすぎなくていい気もする。仕組みの中でどれだけ前進の助けになっているかをコーチ陣がどのように評価するのかの方が今は興味深い。保持では最後まで抵抗を見せたが、根性マンツー以外のプレッシングに対する答えがいまいち見えてこなかったのもやや気がかりだ。

試合結果

2023.3.28
キリンチャレンジカップ
日本 1-2 コロンビア
ヨドコウ桜スタジアム
【得点者】
JPN:3′ 三笘薫
COL:33′ デュラン, 61′ ボレ
主審:ムハンマド・タキ

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