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「Catch up La Liga」~2023.3.19 ラ・リーガ 第26節 バルセロナ×レアル・マドリー ハイライト

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伏兵の2発で鮮明に見えるタイトル

両チームの勝ち点差は8。優勝争いのレースにあてはまれば、崖に片手でぶら下がっているレアル・マドリーを上にいるバルセロナが蹴落とせるかどうか?というのがこのクラシコの構図になる。

どちらのチームもベースになっているフォーメーションは4-3-3である。だが、特に保持においてはここからズレを作ることで工夫を凝らしている印象に見えた。

 よりシステマティックにズレを作っていたのはバルセロナの方。左サイドのビがインサイドに入り、大外レーンはSBのバルデに明け渡していた。こうなると、バルセロナの中盤は実質4枚の運用も同然。レアル・マドリーが普通に4-3-3で守っていたのでは追いつかなくなる。

 バルセロナはパス交換から中盤でフリーマンを作ると、大きくサイドに展開。バルデ、もしくはラフィーニャに前向きでボールを持たせて勝負を促す。

大外をSBに明け渡してMFをWG起用というとイニエスタを使っていた時代に近いように思えるかもしれないが、サイドに展開で来てからは抜ききらないハイクロスでもOKというスタンスを見ると、あの時のバルセロナとは違うものなのだなと思い知らされる。もちろん、それが悪いことというわけではなくレヴァンドフスキがいれば実効性は十分なのだから問題はない。

 レアル・マドリーは右WGのバルベルデが中盤の4人目の選手として登場する。しかしながら、バルセロナほど誰がどこに立つかが整備されているわけではなく、バルセロナよりも自由度が高いものだったように思う。バルベルデが下がることによって空白になる3人目のストライカーはモドリッチになる場合も、バルベルデ自身が舞い戻る場合もある。よって、マンツー気味に現れる中盤の4枚目は両チームにとってややこしい案件ではあった。

 ちなみにマドリーの盤面上のアンカーはカマヴィンガではあるが、事実上のアンカーはクロースだろう。左サイドの低い位置に降りるクロースに比べれば、サイドに顏を出しまくっていたカマヴィンガは明らかに動き回るタスクを拝命していたように見える。

 試合は立ち上がりに左サイドを集中的に攻めたレアル・マドリーがやや偶発的な形から先制点を奪ったこともあり、バルセロナがボール保持を積極的に行っていく時間が多かった。前半の終盤からバルセロナは積極的にレヴァンドフスキを基準点として活用するケースが多かった。レヴァンドフスキは中央だけでなく、左右に流れながらボールを裏に引き出す動きでマドリーのラインを押し下げて見せた。

 前半終了間際の同点ゴールはレヴァンドフスキが裏に引っ張った動きから。この動き以降、マドリーは押し込み続けるバルセロナの攻撃に対して、ラインアップのきっかけをつかむことが出来ず。入り込むスペースが空いていたマドリーに対して、セルジ・ロベルトが走り込んでの先制ゴール。先発抜擢に応えるゴールでハーフタイム前に試合を振り出しに戻す。

 後半もバルセロナはレヴァンドフスキを積極的に活用していくプラン。レアル・マドリーは左サイドから進撃のヴィニシウスを使いつつバルセロナのゴールに迫っていく。

 ボールを保持し、ハイプレスでボールを取り返すことが出来ていたバルセロナに対して、マドリーは徐々に押し込まれる時間が増加する。困ったアンチェロッティは選手交代で活性化を図る。しかしながら、バルベルデを中盤に戻し、3人のアタッカーをシンプルに置いた形はなかなか機能しない。

 攻守のバランス云々というよりはアタッカーを3枚にしたことで4-3-3の立ち位置が守られるようになり、ポジションの移動の自由度が下がっていたということだろう。バルセロナでいう4人目としてのガビと基準点になるレヴァンドフスキはマドリーには見当たらなかった。前者は仕組みの部分も大いにある話ではあるが、ベンゼマの崩しの局面での貢献度の低下は目につく。この試合だけではなくて。

 個人技で何とかできる選手がここからのマドリーの命綱になる。ルーレットを決めるカマヴィンガやロドリゴの登場で相棒を獲得したヴィニシウスなどはそうしたズレを個人技で作り出せる選手である。特に後者はアセンシオのゴールまで生まれていたのだが、オフサイドであったため取り消し。人数をものともせずに突き破っていくヴィニシウスとロドリゴは強い存在感を見せたといっていいだろう。

 しかし、決定的な働きをした中盤は彼ではない。左サイドでレヴァンドフスキと近い位置にいたバルデがクロスを上げたのは交代で入ったファティではなく、中盤から走り込んできたケシエ。意外性のあるクロスをケシエは見事に沈めてバルセロナは終盤に決勝ゴールをゲット。

 1得点目に続く伏兵のゴールでバルセロナはレアル・マドリーに勝利。優勝を2文字がくっきりと見えてくる勝利でタイトル獲得の具体性が一気に増すこととなった。

ひとこと

 ベンゼマの不振はとても気になる。スコアリングもそうだが、シンプルにチャンスメーカーとしての機能が落ちているのはここ数試合の傾向と一致。大舞台ならばあるいはと思ったりしたが、今日もベンゼマは低調を引きずっていたといわざるを得ないパフォーマンスだった。

試合結果

2023.3.19
ラ・リーガ 第26節
バルセロナ 2-1 レアル・マドリー
カンプ・ノウ
【得点者】
BAR:45’ セルジ・ロベルト, 90+2‘ ケシエ
RMA:9‘ アラウホ(OG)
主審:デ・ブルゴス・ベンゴエチェア

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