プレス回避とデ・リフトで心を折る
先週、首位攻防戦でバイエルンに立ち向かったウニオン・ベルリンは5-3-2の専制防衛を敷いていた。スタンスで言えば、今節のシュツットガルトはウニオン・ベルリンの真逆。つまり、相手陣からのオールコートマンツーを軸とした勇気ある作戦を敢行した。
高い位置からのプレスでそれなりに引っ掛けることに成功するシュツットガルト。しかしながら、10分も経たないうちにバイエルンは徐々にシュツットガルトのプレスを平定するようになる。列を降りるキミッヒはいとも簡単にボールを押しつかせるし、ムシアラはボールを引き取りに降りてきた分、加速して敵陣に一気に迫っていく。
追いかけてもなかなか捕まらないバイエルンに対して、徐々にシュツットガルトの前線はプレッシングに尻込みするようになる。こうなると、シュツットガルトは苦しくなる。守備の基準点を失ったシュツットガルトは撤退守備では混乱気味。21分には入り込んでくるゴレツカを捕まえきれずにあわやというシーンを作られてしまう。
シュツットガルトはロングカウンターでの前進は難しい。よって、根性でプレスに行く必要がある。35分付近で遠藤、原口のプレッシングから勢いを取り戻したシュツットガルト。ここからセットプレーを得るなど日本人をきっかけでシュツットガルトは気持ちを入れ替えてハイプレスを行う。
しかし、そうしたシュツットガルトの勢いをへし折るのがバイエルンである。デ・リフトのミドルによって、撤退するシュツットガルトのブロック守備を破壊。前半のうちにリードを確保する。
迎えた後半、再びシュツットガルトの守備陣はプレッシングのエンジンがかからずに意気消沈する形になる。まぁ、前半のプレス回避を見たら当然な気がするけども。そんな中で原口は深い位置で縦パスの起点になるなどできることをやっていた印象がある。
まったりとした雰囲気から当然のように追加点を奪ってしまうのがバイエルンの恐ろしいところ。降りてくるムシアラという加速装置から中央でパスをスムーズに繋ぐと、決めたのはチュポ=モティング。すっかりバイエルンのフィニッシャーが板についてきたチュポ=モティングがリーグ戦二桁ゴールに乗せる10点目を決める。
これで試合はだいぶのんびりとした空気になった。シュツットガルトもボールを持つ機会は増えるが、バイエルンが最後のところではきっちり攻撃をシャットアウト。バックラインだけ引き締めて中盤より前の強度はだいぶ落とすような形になった。
88分のペレアのゴールはスタジアムの空気に緊張感を呼び戻すものだったが、結局最後まで同点ゴールを産むことができず。前日のドルトムントにピッタリつく形で同勝ち点に再び並びかけた。
ひとこと
点を取らないのにハイプレスの心を折るのは強いチームの証拠。
試合結果
2023.3.4
ブンデスリーガ 第23節
シュツットガルト 1-2 バイエルン
メルセデス・ベンツ・アレナ
【得点者】
VFB:88′ ペレア
BAY:39′ デ・リフト, 62′ チュポ=モティング
主審:クリスティアン・ディンガード