■11人では健闘できても…
第1節ではアヤックスに完敗を喫したレンジャーズ。ホームにリバプールを粉砕したナポリを迎えるこの試合はかなり苦戦を強いられるだろうというのが戦前の見立てだった。
しかし、レンジャーズの立ち上がりは非常に鮮烈なものだった。敵陣深くから相手を捕まえるハイプレスマンマークでナポリに先制攻撃を行うレンジャーズ。ポジションチェンジを積極的に行うナポリに対し、かなり強気でついていくあたりレンジャーズはかなり原理的にマンマークを取り入れているように見えた。ボール奪取後に素早くサイドから攻め上がり、モレロスがフリーでヘッドしたシーンは先制点となってもおかしくなかった場面だ。
レンジャーズはバックラインからの繋ぎも落ち着いていた。バックラインから数的優位を使い、対角パスで右のWBであるタヴェルニエに長いボールをつけることでナポリのプレスを逃していた。左サイドではケントの突破も光っており、左右の高い位置に起点を作ることができていた。中盤でのセカンドボールの回収も効いており、保持でもアドバンテージは十分にあったと言えるだろう。
レンジャーズのプレスに立ち上がりは戸惑っていたナポリだが、序盤を凌ぐと落ち着きを取り戻すのはさすが。中盤のロボツカのターンやジエリンスキの降りる動きなどを活用し、相手のマークの隙を縫いながら前進する。ポストからのレイオフなど近い位置での少ないタッチを使ったコンビネーションは見事で、人より早くボールを動かすことで、レンジャーズのマンマークを外していた。
それでも前半の展開は互角か、レンジャーズがやや優勢の印象。ナポリ相手に大健闘でハーフタイムを迎えることとなった。
後半も前半と陸続きの展開。レンジャーズがハイプレスの圧力を活用する形で前に進み、セットプレーからチャンスを得るなど優勢に展開を進める立ち上がりとなった。ナポリは前半よりも長いボールを有効活用。トップのシメオネに積極的にボールを当てて前進させていく。
展開に刺さったのはこのナポリのダイレクト志向。ロングボールから繋ぐことで抜け出したシメオネがPKを獲得。さらに、このファウルを犯したサンズは2回目の警告で退場。以降は数的不利で試合を進めることに。このPKはジエリンスキが止められるが、ポリターノが押し込んで先制。かと思いきや、PKは蹴り直しの判定に。蹴り直しのPKもジエリンスキが再びマクレガーに止められてしまい、ナポリは先制ゴールとはならなかった。
しかし、その後は数的優位に立ったナポリが内容面でも優勢に。レンジャーズの前進阻害やプレスを回避する部分においても、ナポリはよどみなく行うことができるようになった。
そして、再びナポリにチャンス。バリシッチがPA内でハンドを犯してこの日3回目のPKの機会を得る。三度目の正直となるPKをポリターノが決めてようやく先制したナポリ。この先制点でペースを握ると、ワンツーで抜け出したラスパドーリが追加点をゲット。さらに、アンギサのボール奪取からエンドンベレがトドメの3点目を得る。
レンジャーズにとっては奮闘していただけに非常に退場が悔やまれる。11人では十分に戦えることを示したが、10人になって以降の戦況はかなり厳しく、勝ち点を取るのは難しかったと言えるだろう。
試合結果
2022.9.13
UEFAチャンピオンズリーグ
Group A 第2節
レンジャーズ 0-3 ナポリ
アイブロックス・スタジアム
【得点者】
NAP:68′(PK) ポリターノ, 85′ ラスパドーリ, 90+1′ エンドンベレ
主審:アントニオ・マテウ・ラオス