■宿敵の笑顔を消し去ったヒットマン
2017年にプレミアの舞台で初めて実現したM23ダービーだが、間違いなく今回の対戦は同ダービー史上最も高い注目度で行われることになる。チェルシーとマンチェスター・ユナイテッドの敗戦、そしてリバプールの引き分けを受けてブライトンにとっては勝てば首位浮上がかかる一戦となってしまったのだ。
対するクリスタル・パレスも成績こそ伸び悩んでいるが、チームのソリッドさは昨シーズンよりも確実に成長。倒しにくいチームへと変貌を遂げつつある。
立ち上がりいい入りをしたのはホームのクリスタル・パレス。特にボールの受け手となる中盤に強いプレスをかけて中央のパスへのプレッシャーをブライトンにかけていく。これにブライトンは完全に屈した形。攻守の中盤の要であるビスマを欠いてしまえば、ここでリスクを取れないのも無理はないけども。
こうしてパレスは中央のパスコースを寸断に成功。ブライトンのビルドアップルートはサイドに限られる。サイドからの攻撃も珍しくククレジャがいる左サイドに偏るブライトン。早めにプレスに来るクリスタルパレスにここからも脱出口を見つけることが出来ない。
一番、ブライトンが効果的だったのは縦に蹴りだしてしまうこと。ウェルベックとパレスのDF陣の裏抜けタイマンが最も勝機があった攻め方となっていた。逆に言えば、それだけパレスはうまくブライトンを阻害したということでもある。
パレスの攻撃はSBを肩上げする3-2-5気味の変形。IHの2人、特にギャラガーがボールサイドに積極的に顔を出し、アウトナンバーとなり守備の狙いを絞らせない仕組みになっていた。
特にブライトンの対応が後手に回りやすかったのは彼らの左サイド。バーンがやたらと対面のギャラガーを追いまわして動き回り、ククレジャがそれをカバーできないという関係性でたびたび同サイドのハーフスペースは穴が空いていた。その脇の甘さを突いたクリスタルパレス。ギャラガーの突破に対してトロサールが安易に飛び込んでしまい前半終了間際にパレスに先制点を献上する。
後半、4-3-1-2に変化しながら攻勢を強めるブライトン。クリスタルパレスは前半ほどの積極的なプレスは見せずに撤退気味に。だが、ビスマの不在の影響は大きく、押し上げるようなポゼッションも高い位置から捕まえるようなショートカウンターもブライトンはどこか停滞気味。むしろ76分のアイェウのチャンスでパレスが試合を決める機会すらあったくらいである。
だが、これはダービーマッチ。最後まで何が起こるかわからない。終了間際、グアイタの何気ないキックがあっさりと自陣まで戻ってくると、これをモペイが逃さずにあっさりとループを決めて見せる。ぬか喜びストライカーから一変、決定機を逃さないヒットマンになりつつあるモペイが一撃で試合を振り出しに戻し、宿敵から笑顔を消し去って見せた。
試合結果
2021.9.27
プレミアリーグ 第6節
クリスタル・パレス 1-1 ブライトン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:45+2′(PK) ザハ
BRI:90+5′ モペイ
主審:アンドレ・マリナー