最下位を踏み台にジャンプアップ
19位と20位という逆天王山を迎える両チーム。だが、今年の残留争いは1勝で順位がガラッと変わるほどチームの間隔が詰まっている。1勝すれば全てをひっくり返すことは十分に可能。特に、勝ち点的にはそこまではなれていないもののなかなか最下位から脱出できないサウサンプトンにとってはまたとない大チャンスである。
立ち上がりはサウサンプトンのこの試合に臨む意気込みが表れているかのような展開だった。バックラインからボールを握り、ウェストハムの4-1-4-1ブロックの攻略に挑む。ウェストハムはサウサンプトンのビルドアップに特にプレッシングをかけて制限してくる様子がなかったので、前に進むフェーズはサウサンプトンは比較的問題なくこなすことが出来ていた。左右に揺さぶる対角パスと中央に刺すCFのポストの合わせ技でサウサンプトンはウェストハムのブロック対してアプローチを行っていく。
だが、終盤の仕上げがアバウトだったのは玉に瑕である。バックラインからの前進はスムーズだが、アタッキングサードにおける侵入がこの日のサウサンプトンはイマイチ。押し込んだ後に攻め切ることができない。
ウェストハムは序盤のプレッシングこそ勢いがあったが、徐々に押し込まれてトーンダウン。自陣深い位置からの陣地回復ができない状態が続いてしまい、一方的に攻撃を受け続ける時間が続くことになってしまう。
しかし、試合はそんな流れに逆らう形で動く。ワンチャンスを決めてリードを奪ったのは劣勢のウェストハムの方だった。セットプレーからアゲルトが決めて先制。きわどい抜け出しだったために長いVARルームでのチェックとなったが、最終的にはゴールが認められる。
ゴールが入ったことでウェストハムはペースをフラットに戻すことができた。自陣に押し込まれて呼吸ができない時間を回避できた感覚だ。ポスト、サイドからの裏抜けなど徐々にゴールに迫る場面が増えていく。
失点後もサウサンプトンは保持こそできていたが、ゴールに迫るのに苦労。左サイドのプローのシュートがようやくきれいな形でゴールに迫れるシーンだった。
追いかける格好になったサウサンプトンは後半もボール保持から攻略を探る。途中交代で左サイドに入ったスレマナはそれなりにアクセントになっていた。
ウェストハムは後半は色気を出さずに徹底的にスペースを消す形で抗戦。PA内にCHが常駐するなど低いラインできっちりと迎え撃つことで色をくっきり。攻撃はロングカウンターからのイングスという割り切り方で優先事項を整理した印象だ。
総攻撃を仕掛けるしかないサウサンプトン。タワーとしてオヌアチュを投入し、パワープレーに打って出る。しかしながら、シュートチャンスを生かすことが出来ないまま試合は終了。逆天王山はウェストハムが逃げ切り勝利。最下位脱出を狙ったサウサンプトンを踏み台にして、一気にジャンプアップを決めた。
ひとこと
セットプレーからワンチャンスを生かしての徹底抗戦。ここに来てようやくウェストハムらしい相手にとって嫌なかち方ができるようになってきた。
試合結果
2023.4.2
プレミアリーグ 第29節
ウェストハム 1-0 サウサンプトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:25′ アゲルト
主審:ポール・ティアニー