泥臭くもぎ取った大きな勝ち点3
立ち上がりは左サイドに流れることでポイントを作って攻め込んだウェストハム。だが、基本的にはフラムのボール保持が長く占める形で試合は進んでいく。
CBが開き、GKを活用しつつグラウンダーのパスからボールを動かしていく。ウェストハムの2トップは中盤を受け渡しながら、変わる変わるフラムのバックラインにプレスをかける形。よって、実質フラムがボール保持を長くすることを許容する振る舞いだった。
2トップの脇からボールを進めることができていたフラム。だが、その先のアクションにおいては物足りなさが残る。プレスには引っかからない。押し下げるフェーズも困らない。だが、ミドルゾーンより先に侵入していく手段がない。ウィリアンがボールを受けるスペースはないし、放り込んでも競り勝てる可能性があるミトロビッチはスタンドで虚ろな表情でピッチを眺めているだけである。
よって、ウェストハムとしてはそこまで困るような流れではなかった。むしろ彼らが気にしなければいけないのは自らの前進である。サイドに流れるFWから泥臭くというのは前進という武器の強度としてはフラムと似たような精度であり、得点のチャンスをなかなか生み出すことができない。
苦しい最終局面での粘りから得点を捻り出すことに成功したのはウェストハム。コーファル、ボーウェンという右サイドの深い位置での突破からオウンゴールを誘発。ほぼノーチャンスの攻め手から抜け目なくゴールに辿り着く。
フラムにとってはより厳しい展開に。ウェストハムは撤退の意識を高めた分、フラムはさらに深い位置に進むことが許されたが、インサイドの守りはさらに強固に。セドリックのクロスをヴィニシウスに届かせること頼みという得点パターンはゴールをこじ開けるにはあまりにも乏しい。
後半もフラムがボールを持ちながらこじ開けるトライをする流れは継続。2枚の選手交代で右に移動したウィリアンを軸にトライアングルからチャンスを作る形を模索するが、なかなか解決策を見つけることができない。
一方のウェストハムの狙いもそのウィリアン。降りていきながらボールを受けたがるウィリアンに対してちょっかいかけてカウンターを誘発する。
フラムはこのカウンターを迎撃するのにファウルで相手を止める場面が多く、押し込まれたウェストハムも同じくドリブルからファウルを犯すケースが多かった。よって、後半のチャンスのほとんどはセットプレーによるものだった。
この状況はリードしているウェストハムにとっては歓迎だろう。セットプレーからの怖さを感じるプレーも少なく、問題なく守れる時間が続く。終盤はラインが間延びするせいでフラムがライン間への縦パスを入れてからのチャンスが出てくるように。
ウェストハムは冷や汗をかく場面もあったが、最後はファビアンスキが凌いでリードを守り切る。またしても前半の先制点をキープしての逃げ切りでウェストハムは大きな連勝を決めた。
ひとこと
ブロック守備を敷いての逃げ切り勝利。カウンターの精度は寂しさはあるが、徐々にウェストハムはらしさが出てきた。
試合結果
2023.4.8
プレミアリーグ 第30節
フラム 0-1 ウェストハム
クレイヴン・コテージ
【得点者】
WHU:23‘ ハリソン・リード(OG)
主審:ジャレッド・ジレット