鬼門越えはまたしてもお預け
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首位をひた走るアーセナルにとって終盤戦はじめの関門として立ちはだかるアンフィールド。6連敗中のこの地は優勝に向けた最終試験の1問目といったところだろうか。
序盤はリバプールの奇襲から始まった。リバプールは3-2型のブロックからアレクサンダー=アーノルドを内側に絞る形で起用する。しかしながら、これに対してアーセナルは非常に素早く対応したと言えるだろう。中盤からジャカが重心を上げて早めにプレッシャーをかけることと、前線と中盤がコンパクトな状態でのプレスを両立。リバプールの狙いである低い位置からの組み立てを阻害する。
アーセナルは手薄になった後方でも守備陣が奮闘。ジャカが前に出るため、後方を同数で受ける選択肢をしたアーセナルに対して、リバプールは積極的に放り込んでくるが、ホールディングやガブリエウといったバックラインは問題なく跳ね返して見せた。
ボール保持でもアーセナルは好調。リバプールの中盤をバックラインのボール回しで引き寄せながら、陣形を前後で分断。アーセナルのWGとリバプールのバックラインが対峙した最初の場面であるサカにボールが入ったシーンを先制点に繋げて見せた。
勢いに乗るアーセナルは前半のうちに追加点をゲット。左サイドにリバプールのバックラインのスライドを強要し、ファー側に飛び込んだジェズスに合わせて点差を2点に広げていく。
しかし、リバプールもやられっぱなしではない。前半終了間際に左サイドの追い越す動きを重ねることで左サイドからアーセナルの守備ブロックを下げさせると、フリーになったヘンダーソンからファーのサラーにボールがつながり追撃弾を手にする。
後半の頭はリバプールが一方的に攻め立てる立ち上がりとなった。左右のサイドからのクロスを中心にアーセナルを自陣に釘付けに。サラーが失敗してしまい、同点にはならなかったがホールディングが犯したPK判定となったファウルはリバプールの押し込んだご褒美と言えるだろう。
一方的に押し込み続けるリバプールはチアゴを投入。狭いスペースをこじ開けるための方策としてのエクストラカードを入れる。しかし、この交代はどちらかというと試合を流動的な方向に持っていったと言えるだろう。中盤のデュエルで明らかに勝てるポイントを見つけたアーセナルは反撃の糸口を掴めるように。試合はオープンな形で終盤を迎える。
試合を動かしたのはまたしても交代策だった。アタッカーを増員するリバプールの交代と、バックラインを増員するアーセナルの後半は求める最終盤のプランの利害が完全に一致していた。両者合意の上でリバプールが押し込む形で迎えた終盤戦は86分のフィルミーノのゴールによって、同点でフィニッシュ。アーセナルの鬼門越えはまたしてもお預けとなった。
ひとこと
チャンスをたくさん作ったリバプールからしても、多くの時間をリードで過ごしたアーセナルからしても勝ち筋がある試合だった。
試合結果
2023.4.9
プレミアリーグ 第30節
リバプール 2-2 アーセナル
アンフィールド
【得点者】
LIV:42‘ サラー, 87’ フィルミーノ
ARS:8‘ マルティネッリ, 28’ ジェズス
主審:ポール・ティアニー