■緩まず、荒れずの90分
攻守の切り替えが早く、アグレッシブなスタイルで人気を博した昨季の昇格組のリーズ。中立のファンも多いチームが昨季開幕戦として対戦したのがリバプールだった。
この日も昨年の開幕戦のようなリーズとリバプールの撃ち合いだった。互いの攻撃のターンがどんどん切り替わっていくアグレッシブなゲーム。
そんな中で気になったのがチアゴの先発起用。トランジッション合戦になった際のリバプールの面々では少し見劣りする部分もある。もちろん、リバプールならば試合を落ち着かせて寝かせることもできるだろうが、この日のリバプールにはそんなつもりはなかったように見えた。それに特に守備面においてややアラが見えたので、彼を起用した意図は個人的には見えにくかった。
ただ、組み合いに付き合ったリバプールがうまくいってなかったわけではない。むしろ、リーズを上回っていたと言えるだろう。特に効いていたのは両CBのフィード。これまでの試合でもそうだったが、ファン・ダイクの帰還は守備面だけでなく、攻撃面でも非常に大きな影響を与えている。大きく正確なフィードのおかげで相手のチームは狭く狭く守ることができない。
リーズは今季からプレス隊であるバンフォードのサポートとして、IHのロドリゴを早めにフォローに行かせるシーンが目立っており、CBのケアには昨季以上にケアしている。だが、それでも彼らにショートカウンターでボールを引っ掛けるシーンは数多くは訪れなかった。
先制点もCBが非常に効いていた場面。ただし、ファン・ダイクではなく、マティプの方である。逆サイドから大きな展開を引き取ったことで1stプレスラインを超えたマティプ。今季、ここまで好調なリバプールの右サイドの連携に自陣深い位置から混ざる事で、アウトナンバーを作ることに成功。彼の持ち上がりが先制点を呼び込んだといっていいだろう。その後のオフサイドでゴールが取り消しになったシーンもマティプは攻撃参加で貢献。リバプールの攻撃のアクセントとして効いていた。
30分を過ぎるとややリーズはトーンダウン。馬力の部分でリバプールが渡り合える上に、大きくサイドに振られる機会が多いことでダメージがいつもより早めに溜まっていたのかもしれない。序盤は効いていた、トランジッションから素早く裏のバンフォードに狙う形も時間の経過とともに見られなくなってくる。
後半になるとリーズは再び盛り返しはするが、依然としてリバプールが優位。トランジッションの局面からマネとジョッタがチャンスを作ると、その流れのCKからファビーニョが追加点。試合を決める。
ただ、リバプールにとっては勝ってなお手痛い一戦。エリオットの大怪我は今季好調だっただけに残念である。軽傷を祈りたい。
だが、その後の両チームのプロフェッショナルなリアクションは非常に目を見張るもの。過度にヒートアップすることもなく、流し過ぎることもなく、黙々と互いに勝利を目指していた。バンフォードとアリソンの接触など、ややピリッとする場面もあったが、互いにすぐ手を取り合いながら立ち上がるなどとてもクールなリアクション。
両チームにとって飲み込むのが難しい試合になったのは確かだろうが、彼らはできることをやった。エリオットが再びピッチに立つ時が1日でも早くくることを祈っている。
試合結果
2021.9.12
プレミアリーグ 第4節
リーズ 0-3 リバプール
エランド・ロード
【得点者】
LIV:20′ サラー, 50′ ファビーニョ, 90+2′ マネ
主審:クレイグ・ポーソン