苦境に立たされたまま幕を閉じた4月
トップハーフとボトムハーフの境界線にいる2チームによるロンドンダービーである。両チームとも3バックのフォーメーションを採用。いずれも重心は低く、後ろに重たい5バック型の形で非常にもっさりとした立ち上がりとなった。
両チームとも共通して守備は後ろに余る状況を作っているので、前線は簡単にフリーにはなれない。よって、どのように敵陣に侵入していくか?という設計の部分が重要になってくる。
率直に言って、両チームともこの部分がうまくいっていたとは言い難かった。チェルシーは4バックにシフトする形でビルドアップを行っていく。チャロバーとシウバがGKの脇を挟むように立ち、フォファナはSBのロールを務める。
基本的にはバックラインはブレントフォードの2トップの脇でボールを持つことができるが、これが中盤の助けになっていない。コバチッチやエンソはブロックの外でしかボールを持つことができず、全身の助けにならない。
ようやくエリアに侵入できたのは13分。ギャラガーとのワンツーで抜け出したチルウェルがイェルゲンセンを出し抜くことができたシーンである。右の大外がアスピリクエタでいいのかも問題で、より押し上げることができていた右サイドも決め手不足を露呈した印象が強い。
ブレントフォードのボール回しは外に循環する形が重心。いつものようにセットプレーで泥臭くチャンスを作っていくスタンスである。こちらも綺麗なエリアの侵入が成功したのは29分のオンエカの侵入まで待たなくてはいけなかった。
指を咥えていてはいけないと思ったブレントフォードは徐々にプレッシングを強化。攻め込む機会を増やしていくと、セットプレーから先制。アスピリクエタのオウンゴールを誘発し、攻めきれない前半に貴重な先制点を奪い取る。
追いかけるチェルシーは後半にシフトチェンジ。大外にスターリング、ムドリクの2人を置く形で大外からクロスの有効打を見つけることで追撃を狙っていく。
ブレントフォードはきっちりと受けに入る役割を果たした。外ではデュエルを受け入れ、インサイドはきっちりと閉じるという優先度の付け方でチェルシーの攻撃を受け切る。
外からの武器がはっきりした分、攻勢に出ることができたチェルシー。後方が押し上げることができていた右サイドから主導権を握りながら攻め込んでいく。
だが、結果を出すことに成功したのはブレントフォード。カウンターから右に流れたムベウモから追加点をゲット。ワンチャンスからチェルシーをさらなる苦境に追い込む。
そのままチェルシーは無得点で終了。チェルシーはこれで4月のリーグ戦は未勝利かつ、得点もブライトン戦の1得点だけという苦しい状況になった。
ひとこと
ランパード、辛いね。
試合結果
2023.4.26
プレミアリーグ 第33節
チェルシー 0-2 ブレントフォード
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
BRE:37′ アスピリクエタ(OG), 78′ ムベウモ
主審:アンディ・マドレー