■オフサイドトラップで見られた前触れ
電光石火の先制点を挙げた初戦だったが、退場者を出してしまいサウジアラビアに逆転負けを喫してしまったベトナム。2戦目の相手はオーストラリアと非常にタフな試合が続いていく。
戦い方としては大枠ではサウジアラビア戦と同じ。5バックを軸に低い位置でオーストラリアを迎え撃ち、ブロック守備で凌ぎながらの戦いである。修正点としては、CHが前に出ていきすぎることで無駄に食いつく頻度が減ったこと。
ベトナムはその分、前方への推進力を失ってしまっていたが、穴を開けずにオーストラリアの保持に対してジリジリと食らいつく。サウジアラビア戦はここで前に出ていき過ぎたことでライン間にスペースを生み出してしまっていたので、そこは初戦の反省を生かしているといえそうだ。
オーストラリアは4-3-3気味で前のタレントを増やす形で対抗。フルスティッチがアンカーに入り、前は5人で攻略に挑む。しかしながら、なかなかブロックの攻略はできない。ワンタッチパスが2つ続いて繋がればチャンスにはなるが、有効打となるパスが連続で繋がることはまずない。
WGとSBにはそれぞれベトナムのWBとワイドCBがマンマークで対抗。サイドから崩そうとするもなかなか手が出ない。初戦で裏抜けで活躍したメイビルもスピードに乗った状態でなければ、なかなか持ち味を発揮できず。裏に一発で通そうとしてもスピードで明確に上回れる選手がいないため、攻めあぐねる。
むしろ少ないながらも危険なシーンを作り出したのはベトナムの方。早い攻撃からハンド風味のプレーを誘発。OFRまでこぎつけるが、原判定が覆らないというレアケースでPKは認められず。前節と同じくベトナムはOFRで運が転がってこない。
その後も攻め手が見つからないオーストラリア。一番のチャンスはベトナムがオフサイドトラップを掛け損なったFKのシーンだろう。この場面では何を逃れたが、このシーンは失点の前兆だった。左SBのスミスを主体としたクロス攻勢から二次攻撃を狙うオーストラリアに対して、ラインアップが遅れたベトナム。これを見逃さなかったオーストラリア。最後はグラントが詰めて前半終了間際に先制する。
後半、ベトナムは攻勢に出るために攻撃的な配置に変更。前節得点を挙げたグエン・クアン・ハイをWGから中盤に動かし、ボールを運べる選手を増やす。前半よりもゴールに迫る機会は増えたベトナムだったが、運んだ後のプレーに精度が伴わず、ライアンを脅かすようなシーンを作ることができない。
一方のオーストラリアも前半よりも間延びしたベトナムの陣形を崩せず。撤退した時にボールを回して時間を使うならわかるけど、明らかに攻め切れる時に煮え切らない攻撃をしているのは1点差ということを踏まえても不満。日本などが得意なショートカウンターはあまりうまくないのかもしれない。
共にジリ貧だった終盤戦だが、前半終了間際の先制点を守り切ったオーストラリアが逃げ切り成功。予選2連勝スタートを飾ることとなった。
試合結果
2021.9.7
カタールW杯アジア最終予選 第2節
ベトナム 0-1 オーストラリア
ミー・ディン・スタジアム
【得点者】
AUS:43′ グラント
主審:アブドゥラフマン・アル・ジャシーム